
(写真はクリックされましたら拡大します。
漫画「ボヘミアの魔女 ジョアンナ」からです。)
恐らく中学生によるものが大部分ではないかと
見受けられますが、時折ネット上のカトリック教
関連の話題の場所で、中世ヨーロッパで行われた
「魔女狩り」の話を持ちかけて、「キリスト教=絶対悪」
とする主張を試み、青い炎を燃やしてキリスト教否定に
かかる人の姿を見かけます。
わたくし自身は「魔女狩り」の蛮行に関して、それは
全く弁解の余地のない大変な過ち、歴史的汚点であると
信じていますが、一方それは初期のごく一部にカトリック
のわずかな者が関わったものの、大半はプロテスタント
によるものであり、それを「キリスト教」と一括して
談じる観点からまず無理がある事、更にそれはその
宗教と云うよりも、政治などをも含んだ極めて人間的な
産物であったという事実から、わたくし自身は少なくとも
そうした見地のみからの批判の仕方は、欧米の反キリスト教
体制主義者にも見られる事ですが、その都度無理がある
ように感じています。
幾つかのアメリカのテレビ番組などでは、当時の裁判と
残酷な拷問を再現して紹介する事が行われましたが、
丁度日本語でのそうした事の紹介を本日読む機会が
ありました。
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1564年、アムステルダムでの魔女事件は、わずかな言動
から発生したのだった。
この時告発されたのは、フォユケ・ヘルマンス・フマン・
プロウズィルという女性であった。
彼女は病気で入院中に高熱を出し、熱にうなされて何事
かを口走った。
それを聞きとがめられて、魔女として告発されたのである。
病気であるにも関わらず法廷に引き出された彼女は、
自白を強いられて拷問を繰りかえされた。
耐え切れずに、彼女は次のような事を告白したと記録
されている。
「悪魔を手助けして嵐を引き起こし、船を転覆させた。
あるいは悪病を流行らせた。」
熱に浮かされた状態で彼女は様々な魔女の仕業を
裁判官に繰り返した。
しかしやがて意識を取り戻すと、自分の告白は真実
ではないと取り消した。
そこで拷問が再開され、彼女はついに獄死してしまった。
………………
魔女の皮膚は針で刺しても痛みを感じないものと
されたので、それを判定する特別の針(刺しても
痛くないインチキのもの)を作らせ、全身を刺した
という。
しかし何故、このようなインチキ裁判が行われたの
であろうか。
魔女裁判にかけられた人は、実は女性だけでなく、
商売がたきや憎い相手なら誰でも構わず裁判所に密告
する人が多かったからだ。
時には親兄弟でも密告し、大声でわめいただけで「魔女」
にされてしまった人もいた。
裁判所では引き立てられた魔女容疑者に対して、悪魔と
取り交わした約束や、魔女集会に参加した仲間の名前の
告白を迫ったりした。
その質問に答えられず、苦し紛れに友人の名前を口走っ
ても、友人ともども魔女と判定されたという。
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「魔女」と認定された人は全財産を没収され、また
拘束中の食事代や拷問代が家族から徴収されるため、
ドイツのハンブルク市ではそうして日本円にして約
70億円の議会収入となったそうです。
また処刑料も別途にあり、火あぶり刑が約6万円など、
刑ごとに料金が定められていたそうです。
人間の果てしない欲望と、手段を選ばない行動は
恐ろしいと感じます。