*完全妄想のお話。BL要素含みます*
☆side 翔☆
「……俺と出掛けるって、言ってなかったんだな?」
車に乗り込んですぐに、大野に問いかけた。
『ごめんなさい…なんか言い出しにくくて…』
ま、当然っちゃ当然か。
塾の講師と出掛けるなんて、そうそう賛成されるわけない。
ましてや、こんな冴えない俺と、だなんて。
大野のお母さんが寛大な方で良かったな…
「…とりあえず了承は得たんだ。今日は楽しもうな?」
『はいっ///』
「…///…よ、よし、じゃあ出発するからシートベルト…」
『もう締めてる〜♫』
「ふはっ…行く気満々ww」
『えへへ♫だって楽しみなんだもん♪ね、どこの水族館行くの?』
「あ〜…実はまだ決めかねてて。…3ヶ所に絞ってはみたんだけど……ほら、これ…」
準備してきたものを大野に渡す…
『すげぇ!!これ…しょお先生が作ったの?』
水族館を調べて纏めて、その周辺にあるオススメスポットも調べてファイリングしただけなんだけど…
『んはっ!修学旅行のしおりみてぇ!細かく予定組まれてる〜すっげぇ!』
そんなに驚くことか?
「…で、どこの水族館行きたい?」
調べてみれば、水族館て結構あって。
淡水魚専門だったり、深海魚をメインに展示してる水族館だったり、もちろん、所謂一般的な水族館も。それも近場から少し足を伸ばして行くような所まで様々だ。
俺はその中から、ちょっと足を伸ばして行く一般的な水族館と、近場の水族館、もう1つ深海魚メインの水族館をチョイスしていた。
『ぅえぇ…迷う〜…けど、やっぱ今日はココかな…』
大野が選んだのは、ちょっと足を伸ばして行く水族館。
『でも遠いかな…運転するのしんどくない?』
「片道1時間弱…問題ない。ココ行きたいんだろ?」
『ぅん…』
「じゃ決まり。出発するよ?」
『はいっ♫』
大事な生徒を乗せての運転…
若干緊張している俺…
そんな俺をよそに、大野は鼻歌なんか歌ってこれから行く水族館のパンフレットを眺めてる。
「…どうしてそこにしたんだ?」
『前から行ってみたかったとこなんだぁ♫』
「そうか…」
『んで、行く時は好きな人とデートで、って決めてたから…///』
「…ぇ……」
『この水族館を候補にあげてくれてて良かったっす♫』
「それは……俺で合ってるのか?」
『…へ?』
「…いや、その……好きな人…と、って…」
『ぅん?…ずっと言ってるじゃん♪おいらの好きな人、しょお先生♫だから合ってるっすよ?』
「そっ、そうか……///」
この状況でふざけてるわけじゃ、ない、よな…
大野は本気なんだ…
『…ねぇ、しょお先生?』
「な、なんだ?」
『先生も今日のデート、楽しみにしてたでしょ♪』
「ぇ…ぃやっ、そんなことは…」
『…こんなプランまで考えてくれてるのに?絶対楽しみにしてたってww』
「それはっ…」
俺の性格上、きちんと予定を組んでないと不安になるからで…
でも実際……
ここに行ったら大野は楽しめるかな、とか…
これ一緒に食ってみたいな、とか…
予定を組みながら、すでに大野とデートしてるみたいな気分になってたかも…
…え、これって俺……
大野とのデート、楽しみにしてたってことになるのか?
「……そうかもしれない…///」
『んはっ♪嬉しいなぁ♫それに先生、いつもと雰囲気も違うもん!髪の毛セットしてるよね♪』
「これはっ…梓…妹が勝手にっ…」
デート行くなら少しイメチェンして、驚かせちゃえ、って…
いつもは前に下ろしてる前髪を、掻きあげて固められたんだ…
冴えないこの顔をあまり晒したくないんだけど…
『あずさ?ちゃん、ナイスっす…めっちゃ似合ってるから…///』
「…似合ってる?」
『はい♪めっちゃカッコイイ…イケメン度アップしてドキドキしてる…///』
「…俺はイケメンじゃないぞ?」
『なに言ってるんすかぁ!しょお先生はイケメンさんですっ!!』
「…俺がイケメンと言うのなら、大野だってイケメンだろ?綺麗な顔立ちしてるから…」
『そっ…そんなことないっす///!』
ぁ、照れた…?
…その顔は可愛いな……
………いや、可愛いって…何言ってんだ俺…
けど、今日の格好も…なんかイイ感じで…
「…その服もよく似合ってるし。制服姿しか見たことないから新鮮だな…」
『ぅおぉ///ありがとうございます///…デート用に新調したんで……潤が選んでやるっつって全身コーデしてくれて…』
「潤、って特進の松本?……あいつが選んだ服…なんだ?」
『そうっす♪あいつセンス良いっすよね♫』
「へぇ…」
…なんだろうな、松本が絡むと妙にモヤッとする。
松本が苦手とか嫌いとかじゃなくて…
大野と仲良くしてるのがモヤる……
……この感情って、もしかして俺…
…もしかしてっていうかやっぱり俺、大野のこと特別だと思っているのか?
可愛いと思ったり、他の男と仲良くしてたらモヤッたり…
…大野に恋を……している…かも……///