*完全妄想のお話。BL要素含みます*
翔先生とのデート、嬉しいけど緊張もする…
だってこのデートでおいら…
ちゃんと告白しようと思ってるから…///
先生は、おいらのアプローチを冗談だと思ってるはず。
いつもはぐらかすし、まともに聞き入れてくれないし。
どうやったら本気だって思ってくれるかな…
「解けた?…って、全然できてないじゃん…」
『ぅ…だって…色々気になって…集中できないんだもん…』
「…そんなんじゃデート取り消すよ?」
『えっ…ヤダヤダっ…ガンバるっ…』
「ふっ……これはあれだな……早々に約束果たさないと、ずっと上の空のまんまだなww」
『うっ…///そうかもしんない…///』
「…それは困るな…そうだなぁ…今週末はどうだ?土曜日とか空いてる?」
『もちろん空いてるっ!』
「じゃあその日な?」
『やったぁ♪…明後日だよね?ぅわぁ…もうすぐだぁ…///』
「だから、今日明日はしっかり勉強するんだぞ?当然、デートのあともだけど。」
『はいっ///』
俄然やる気出てきた♪
デート取り消されないようにしっかり勉強しようっと♪
それから、ひたすらに問題を解いていた。
分かんなくなったらすぐに質問して…
より解きやすい方法を教えてもらったり。
「…そういえば……ぃや、やっぱりいいや…」
課題プリントの最後の問題を解いている時だった。
不意に翔先生が何かを言いかけた。
『…なんすか?』
その言い方って、なんか気になるんだよなぁ…
「ごめん、今聞くようなことじゃないから…明後日にでも聞くよ…」
『…すんごい気になるっ…』
「たいしたことじゃないから……あ、そろそろ時間だね。問題もちょうど解き終わったみたいだし…」
宿題出しとくね、って渡されたプリント…
う〜…帰ってからも勉強漬けかぁ…
でも頑張んないとデート取り消されちゃうし…
ん?
プリントと右隅になんか番号が…
『しょお先生!?これって…』
「俺の私用の携帯番号…適当なメモ用紙を持ち合わせてなかったから…登録したら消しといて?」
『はぁい!やったぁ…先生のプラベナンバー…んふふ♪嬉しいな///』
口頭でもいいのに、って思ったけど、授業中のこの個室はスマホ触るの厳禁だからかな。
「学校の宿題と、そのプリントが終わったら電話して?明後日のこと、色々決めよう…」
『はいっ♫』
「じゃ、今日はここまで!お疲れ様!」
『ありがとうございましたぁ♫』
さてと!
早く帰って宿題たち終わらせようっと♪
あ、でも…先生って何時頃帰ってくんのかな…
何時頃電話していいか、聞いとこ!
教室を出て少しした所でまたUターン。
そしたらちょうど翔先生が教室から出てきたところだった♪
『しょおせんせぇ♫あのさぁ、何時頃電話したらいい?』
近い距離ではなかったから、先生に届くように叫んだ。
そしたらしょお先生、慌てて駆け寄ってきて…
「こらっ…声でけぇ!!」
って、おいらの口を手で塞がれた…
『んーーっ///』
く、苦しいっ…///
「あ、すまない…///…て言うか、あんなこと大声で叫ぶなよ…誰に聞かれた分かんないぞ?」
『あんなこと?』
「…電話する、ってやつ…」
『あ〜!…それがなんかマズイの?』
「…俺と大野は、先生と生徒の関係なわけ。…個人的に電話なんて、特別扱いしてると思われるだろ?」
『…そっか……先生の立場が悪くなっちゃう?』
「まぁ…」
『でも実際、特別扱いしてくれてるよね?』
「や、約束を果たそうとしてるだけだよ…まだ特別なんかじゃ……ない…」
『そっかぁ…まだかぁ…もう少しかなぁ…』
やっぱ先生は、おいらのことはただの生徒の一人としか思ってないんだよね。
でも、まだ、って言葉に少しだけ希望を持てた。
まだ、ってことは、いつかは、って…
だから明後日のデートで絶対っ…
少しでもおいらのこと、意識してもらえるように頑張るんだからっ!!
「電話は9時以降ならいつでもいいから。じゃあ、気を付けて帰りなよ?」
夜9時って…
あと3時間以上もあるじゃんかぁ…
待ち遠しい…
早く電話越しに翔先生の声聞いてみたい。
その前に宿題終わらせとかないと!
よしっ!
今度こそ帰ろ!
潤は…終わったかなぁ?
LINEしてみよ〜♪
…やっぱ先に先生の番号、登録しよ〜っと♪
バッグに仕舞ったプリントを取り出し……
『っと……わぁぁ…』
挟んでたクリアファイルを逆さまにしちゃって…
中からバサバサとプリントが落ちてしまった…
…やべぇやべぇ。
早く拾わねぇと…
「何やってんの、智…ほら!」
『あ、じゅ〜ん!あんがと!』
ちょうど通りかかった潤が拾ってくれた♪
「……この番号なに?」
『へへっ♪翔先生のプラベナンバー♪』
「まじ!?」
『まじ♬』
「やるじゃん。着々とステップアップしてるねぇ…」
『へへっ♪あとねぇ、明後日になったよ?デートすんの♪』
「もうすぐじゃん!…あ、北村せんせー、さよーなら〜」
[さようなら。気をつけて帰るんだよ〜]
「は〜い!」
直接教わってはいないけど、おいらも挨拶しとこ…
『さよぉならぁ…』
小さく頭を下げながらすれ違う…
[…ぁ、キミ!]
『へ?おいら?』
通りすぎた辺りで、不意に呼び止められた。
[塾に来る時、櫻井…先生と一緒に来てた?]
『ぁ、はい…そぉですけど…』
[…櫻井くんはまだ新人で強く言えないこともあるかもだから、僕が代わりに忠告するけど…]
『はぃ…?』
[あまり先生に馴れ馴れしくしないこと。生徒と先生の距離を保ちなさい。あらぬ噂を立てられかねないよ?]
『……あらぬ噂って…』
[…大体予想はつくよね?…そういうこと。塾の評判にも繋がるんだから気を付けてくれないと…]
『………』
[…分かった?]
『…はぃ……』
[よし。じゃあ気を付けて帰るんだぞ?]
『はぁい……』
そんなに馴れ馴れしかったかなぁ…
「帰ろ?」
『ん…』
「…前にね、そういうことがあったんだって。」
隣りで話を聞いてた潤が徐ろに口を開いた。
『へ?』
「北村先生との最初の授業の時にさ、俺も忠告を受けたんだ。」
『先生に馴れ馴れしくするなって?』
「そう。…なんかね?この塾ができたばっかの頃、もう20年近く前らしいけど、講師が生徒に手ぇだして、警察沙汰にまでなったことがあるんだって。」
『そぉなんだ…』
「…一歩間違えたら、自分が当事者になってたかも、って、北村先生言ってた。」
『え?』
「…なんかね、若い講師にやたらグイグイくる生徒がいたんだって。誰彼構わずにね。」
『ふ〜ん…』
「で、ターゲットになった1人の講師が本気になって、誘いに乗ったら手のひら返されて…その子被害者ヅラして…警察呼んだんだって。」
『え〜…なにそれ…先生は悪くなくない?』
「だけど、未成年者に手を出したのは事実だし、さらには塾の講師が、ってのが話題になって、当時は塾の存続も危うかったってさ…」
『………』
「…その人、北村先生と同期の人だったらしくてさ、先生も当時は相当ショックを受けたって…」
『…そうなんだ……』
でもおいらは本気だし。
…もしも翔先生が応えてくれたとしても、手のひら返すようなことしないし!
それでもダメなのかなぁ。
ただ本気で好きなだけなのに…
おいら…好きになっちゃいけない人を好きになっちゃったのかなぁ…