*完全妄想のお話。BL要素含みます*









終わっ……たぁぁ……


翔先生のおまじないのおかげで、残りの4教科、やりきれた。


手応えは…あるっちゃあるけど…


あんま自信ない…


結果が分かるのは、来年になってから。


…それまでずっとソワソワしてるんだろうなww





「智!」



『ぁ…じゅ〜ん!』



「終わったな♪どう?いけそ?」



『分かんねぇよぉ…』



「手応えは?」



『…あるような…ないような?』



「ふふっ…微妙だ?」



『うん…』



「大丈夫だよ。あんだけ頑張ったんだから!」



『うん…だといい…』





ポンポン、と労うように肩を叩かれ、そのまま肩組まれて…





「よし!じゃあ……行きますか!!」



『へ?どこに?』



「おいおい…そりゃないよ…模試終わったら遊び行こ、って…勉強教えてくれたお礼っつうことでさぁ…誘ってくれたの忘れたの?」



『あ〜!あれ、今日行くん?』





おいらは別の日に、って思ってたけど…





「善は急げってね♪」




ま、いっか♪





『お〜!じゃあ行こう♪』






どこ行く?何する?なんて話しながら塾を出て…


…ていうか……





『あ〜…今日ってクリスマスイブだったな…』




街中が煌びやかでうきうきしてる。

そしてやたらとカップルが多い気がする…

あ〜あ。

せっかくなら、翔先生と過ごしたかったなぁ。





「……俺で悪かったな?」



『へ?』



「櫻井先生と来たかったでしょ?」



『うっ…あ〜…まぁ….///』





カンのいい奴めっ…

思ってたこと、見透かされてるじゃん///





「早くデートできるといいね?」



『ぅん…』





けど、常においらを応援してくれる良い奴///


模試の結果次第じゃ、またデートおあずけかもしんないんだけどな…





「そうだ!これからさ、デート用の服、買いに行こうよ!」



『へ?ふ、服?デート用の?』



「そ♪いつも会う時は制服じゃん?私服姿も可愛いんだぞ〜ってアピるチャンス!」



『…可愛いって…おいら男だよ?…てか、デートしてくれるのか、まだ分かんねぇし…』



「大丈夫だって!自信持ちなって!」



『ん〜…でもおいら、服の流行りとかよく分かんねぇし…』



「だから!今から俺と選びに行こって♪」



『そっか♪…んじゃあ、おねげぇしゃ〜す♪』



「ふふっ♪おっけ♪任せなさ〜い!どこがいっかなぁ…あ、駅んとこのショッピングモールにしよ!」





そうしておいらは、潤の計らいで服を買うことになった。


ショッピングモールに着いたおいらたち…


だけど、腹減ったな、ってなって、まずはフードコートで腹ごしらえして。


そのあと、服を探しに色んな店、回ったんだけど…


潤が選んでくれる服って、なんか独特でww


潤が着れば似合うんだろうけど、おいらには到底似合いそうもなくて。





「ねぇ、これは?」



『…なんか派手…』



「え〜そうかなぁ……んじゃ、これは?」



『…おいらの趣味じゃねぇ……』



「ん〜…そしたら…こっちは?」



『おぉ!それならおいらでも着れそう♪』





やっとまともなやつ選んでくれた〜♪

オフホワイトのニット!

暖かそう♪





「おっ♪やっと靡いたwwそっか、智はシンプルなやつがいいんだな♪」





やっと気付いたかww




「そしたら…これだけじゃシンプルすぎるかな…ぁ、ねぇ、コートとかどんなの持ってる?」



『コート…っつうか…ダウンジャケットしか持ってねぇよ?』



「何色?」



『黒!』



「なるほど……黒は合わせやすいしね…でもせっかくだからコートも新調してみない?ほら、このダッフルコート可愛いし、このニットにも合うと思うんだけど…」



『お〜いいかも…』



「試着してみな?」



『ん!』





ついでにこれも!って、ブラウンのコーディロイパンツを持ってきて…


おいらには思い付かないコーデだなww


潤が選んでくれた一式を持って試着室へ行き、さっそく着てみる…



…ふへへ///



意外と似合ってる?


なかなかやるなぁ、潤のやつ〜♪




「智〜?どぉ?着れた〜?」





試着室の外から潤の声がしたから、おいらはカーテンを開けて見せてみた。




『着れた〜♪どぉ?どぉ?』



「おぉ!いいね♪可愛い!」



『…可愛くは…ないと思うぞ?』



「ふふっ♪似合ってるってこと!!その格好で櫻井先生に会うの想像してみて?先生、きっとドキドキするぞ?」



『…そっ…かなぁ///?』





だといいけどなぁ///


…ていうか、まだデートできるかも分かんないのに。


…いや、できると信じて!





『じゃあ…これ、買ってくる〜♪』



「お♪気に入ってくれた?俺のコーデ♪」



『じゃなきゃ買おうなんて思わねぇよぉ♪』



「そっか♪ありがと♪」



『…礼を言うのはおいらじゃね?』



「いいじゃん!ほら、早く買ってきなよ!」



『ん!』





うほっ…


けっこうな値段だなww


そりゃそっか、全身コーデだもんな。


服にこんなに払ったの初めてかもww


貯めてた小遣い、半分なくなっちまった…


でもこれも櫻井先生とのデートのためだし!


これで少しでもおいらのこと、意識してもらえると嬉しいなぁ…





『お待たせ〜♪いいの選んでくれてあんがとね?』



「どういたしまして♪でも、選ぶのも楽しかったからおあいこだよ♪」



『そぉ?』



「おぅ♪」



『ふ〜ん…ぁ、そうだ…潤は買いもんしねぇの?』



「ん〜…ちょっと気になってるシルバーアクセの店があんだよね。そこ行ってみたい…」



『じゃあ行こ!何階?』



「えっと…このフロアかな。少し離れてるけど…」



『おっけ♪…あっち?』



「ううん、こっち!人多いからはぐれないでね〜」





そう言うと潤は、おいらの腕を引っ張って歩きだした。




『…はぐれないから大丈夫だよぉ…引っ張んなくても。もしはぐれても携帯あんだから連絡取れるじゃん?』



「…そうだけど!…なんか心配ww」



『んはっ…なんだそれww』



「……智ってさ、年上が好きなの?」



『へ?なんだいきなり……べつにこだわりはねぇけど…でもそうだな、どっちかっつうと年上のほうが安心すっかも。』



「……ふ〜ん。」



『ふ〜ん、て…それだけ?どうしたんだ?』



「べっつにぃ?…あ、ここだ♪着い……たぁ…けどっ…やっぱ今日はいいや!」



『は?なんでぇ??』





気になってる店なんだろ?

せっかく来たのに…何も見ないつもり?




『なぁ、なんで?来たかったんだろ?入ろうよ!』


「ぃぃ今はっやめといたほうがいい!それより俺、く、靴も欲しかったんだっ…スニーカー!あっちの店に行こうっ…」




やめといたほうがいい?

…意味分かんねぇ。




「ほ、ほらっ…行くよっ…」




強引に肩を組み、無理矢理おいらを店から離そうとしてる。


…なんかおいらが見ちゃいけないもんでもあんの?


気になるっ…


でも、潤に頭を固定されてて振り向けない…


だけど頑張ってちょっとだけ振り向いてみた。




「わっこらっ…振り向くなっ…」




あ…れ?


あの髪型、あの眼鏡…


もしかして、翔先生!?


うわぁ///


こんなとこで会えるなんてっ♪


…てか、なんで潤は阻止したんだ?


潤の腕を振り払って、翔先生に駆け寄ろうとした。




「智っ…待てって!!」




だけど…すぐに分かった。


潤が阻止した理由。


…阻止してくれた理由。


それは…


翔先生の横に、女の子がいたから…


おいらたちと同じくらいの…


小柄な女の子…


親しげに、楽しそうに笑ってる…


翔先生がその子にアクセサリーを選んであげてる…


そっか…


翔先生、彼女がいたんだ…


だからおいらのこと、軽くあしらってたんだ…


そっかそっか…


おいら、先生のこと、なんにも知らないもんな。


彼女がいるなら、そう言ってくれればいいのに。





『…潤……』



「だから振り向くなって…」



『ごめん……』





おいらに気付かせないようにしてくれてたのに。


でも遅かれ早かれ、知ることなんだよな。


…せめてこの服、買う前がよかったな。


デート用の服、無駄になっちゃったよ…