『社長秘書の〜』の続きになります。
番外編として、櫻井さん目線・智くん目線を1話ずつ。
先に櫻井さん目線からお届けします♪









☆櫻井side☆









すっかり遅くなってしまった。


あ〜…早く会いたい…


だけど愛しのハニーはまだバイト中…


会えるのはもう少しあと。


帰ったら、さっとシャワーを浴びて、着替えて…


すぐにハニーを迎えに行こう。


仕方ないとは思っていても、やはり当日に祝ってもらいたい。


足早にエントランスを抜け、エレベーターに乗り込む。




…しかし風磨のやつ……


いつの間にそんな相手ができたんだ?


俺に報告……する必要もないけど…


紹介してくれてもいいのに。


…まだ紹介するまでに至ってないのかもな。


ま、そのうち教えてくれるだろ。



ポォン…とエレベーターが到着を知らせる。



…シャワー浴びるのはハニーと一緒でもいいか。


いや、仕事塗(まみ)れの身体をリフレッシュさせてから、ハニーと会ったほうが…


ブツブツと考えながら廊下を進み、部屋の前。


ピッ!とカードキーをかざしドアロックを解除する。


ドアを開け、真っ暗な部屋の中へ入る……




…ん?




ふわっと香る、いつもと違う部屋の匂いに違和感を覚えた。


その香りの中に、ハニーの香りも混じってるような気がして…


……早く会いたい、って強く念じ過ぎたのか?


幻聴ならぬ幻臭を感じてしまうなんて。


2、3日会えてないからな…


ハニー不足は否めない。






「はぁぁ…」





会いたすぎて溜め息が…


早くシャワー浴びて迎えに行こう。



…その前に水分補給だ。


そう思ってキッチンへ…


そこへ行くにはリビングを通らないといけない。


廊下を進み、リビングのドアを開けた。



ふわっと香る甘い匂い…



…あの違和感だ……


さっきよりも強く感じる。


…てか、この香りって……



正体を確かめたくて、とりあえず真っ暗な部屋に灯りを灯す。


ドア横のスイッチをパチッと押したその時だった。






\\パンパンッ!//






「ぉわっ!な、なに??」






乾いた音が鳴り響き…





『おかえりなさ〜い♪…と、誕生日おめでとぉございま〜すっ!!』




「うっそだろ…ハニー??」




『ですよぉ♪』




「でも今日もバイトって……」




『んふふ…ごめんなさい、バイトじゃないです、今日は。』




「え?…え?ていうかこの部屋……」







アルファベットの風船が、HAPPYBIRTHDAY と揺れていて…


華やかに飾り付けもされていて…






『…部屋、広すぎて…飾りが全然足りないっすけど…一応、お祝い仕様に……』



「…俺のための?」



『ふふ?他に誰がいるんですか?今日誕生日の櫻井さんのためですっ!!』



「マジか…///……こんな嬉しいサプライズ…初めてだ…///」



『ぇへへ♪ほんとっすかぁ?』



「ああ…本当だよ…ハニー、とりあえずハグさせて…///」



『ぁ、はぃ///』






ぎゅうぅぅ…






「はぁぁ///…3日振りかな…ハニーに触れるの…」





うん。この香りだ…


いるはずのないハニーの香りがしたから、違和感だったんだ。


でも、納得…


俺の幻臭じゃなかった。







『ですかね?』



「3日振りに会ったらコレだなんて…堪んないな…///」



『ふふっ///ビックリした?』



「そりゃするよ…バイトしてるはずのハニーが家に居るんだから……そもそもどうやって入ったの?」



『強力な助っ人がいるじゃないですか♪』



「……風磨か!?」



『せいか〜い♪実はまだあるんすよ?サプライズ♪ちょっと待っててくださいね?』





そう言って俺から離れ、奥のキッチンへ…





『あ、櫻井さん、座っててね?あと、電気消してもらえると…』



「ぁ、うん…」





…となると…次のサプライズは……アレか?


暗がりの中、ハニーがキッチンから戻ってきた。


その手には、俺の予想通りのものが。






『じゃ〜ん!さぁ!吹き消してください!!』






ローテーブルにそっと置かれたケーキ…


ロウソクに照らされて、HAPPY BIRTHDAY が浮かび上がってる。


その火を俺は一気に吹き消した。






『おお〜♪やった〜!おめでとうございま〜す!』



「ありがとう///」





再び暗くなった部屋。


いそいそとハニーが電気を付けてくれた。


そしてケーキの全貌が明らかに。



これは…フルーツケーキ?


いや、タルトかな?


色とりどりのフルーツが上に飾られてて。


すごく華やかで、でも可愛らしい感じのケーキ。






「美味しそ…どこのお店のケーキ?」



『あ、それ、オレの手作りっす!』



「え?………ハニーが…作ってくれたの?」



『はい……プレゼント、他に思いつかなくて…なら、ケーキを手作りしてみよう、って思って…』



「マジか…///すごいな…もうお店のケーキだよ…ハニー、ケーキ屋さんになれるんじゃない?」



『そんなわけ…///でも…ありがとうございます///』



「…しかし困ったな…」



『え?』



「ハニーが作ってくれたなんて………もったいなくて食べれないよ///」



『いやいやいや、そこは食べてくれなきゃ…作った意味ないじゃないですか…』



「そうなんだけど……どう考えてももったいない…」



『もぉぉ…///』



「ふふっ♪…ゆっくりね、まずは目で楽しんで…それからじっくり堪能するよ…」



『ぅん…』



「さてと。ちょっと着替えてくるね?」






もう外に出る必要はないんだし。


ゆったり部屋着に着替えるとしよう。



……それにしても風磨のやつ。


俺に隠し事するなんて、いい度胸じゃないか。


ハニーに鍵まで渡して…


さも何も知らない顔して…


…ああ、でも、だからか。


割りと必死に、俺がハニーのバイト先に行くの止めさせてたもんな。


行っても居ないし。


行ったら計画が台無しになる。


…ヤキモキしてただろうなww


俺がすんなり家に帰ってくれて、ほっとしただろうな。


…お礼のメッセージでも送っとくか。


最高の誕生日になったこと、伝えておこう。



良い後輩を持ったもんだな。


恵まれてるよ、ほんと。






しかしこの後…


俺は驚愕の事実を知ることになる…