【ごめん、もう少し遅くなりそう】

【10時までには帰れると思う】





こんな日に限って、アクシデントは付いてくる…


取り引き先とのトラブルに社長自ら足を運んだり…


新規参入の会社へ挨拶へ伺えば、予定にない会食をねじ込まれたり…


そんなこんなで、気付けばもう夜も8時を回ってる。


アニキの誕生日…あと4時間ほどで終わってしまうよ…


大野くん、待ってるだろうな…






「風磨…誰かと約束でもしてたのか?」



〈ぇ?〉



「頻りに時間を気にして…何度もメッセージも送ってるだろう?」



〈ぁ、いぇ…すみません、勤務中なのに…〉






…観察力えぐいんですけどww






「いや…だったらすまない…遅くなってしまって…」



〈いえっ…ボクは大丈夫ですっ…それより社長ですよ!もうすぐ誕生日終わってしまいます…〉



「仕方ないさ。最高責任者だからな。それに…たとえ日付けが変わってしまっても、ハニーからのお祝いはいつでも嬉しいから。」



〈でしょうね♪〉






大丈夫ですよ♪


一旦帰れば、あなたのハニーが待ってますから♪






〈では社へ戻りますね!〉



「ああ。」






あとは残務をこなし、明日の予定を確認すれば…






「よし…なんとか乗り切ったな。あぁ…もうこんな時間に…帰って支度すればハニーを迎えに行くにはちょうどいい時間か…」




〈そうですね!〉






今からお送りすれば、10時ちょい前…


2時間ほどですが、大野くんと誕生日を過ごせますよ!





〈ではマンションまでお送りしますね♪〉




「ああ。よろしく頼む…」





駐車場までの移動の間に、大野くんにLINEを…


今から会社出るよ、って送ると、すぐに既読になって…





【もう準備万端っす!早く櫻井さんの驚く顔が見たい〜ワク(ง ˙˘˙ )วワク】





って返ってきた。


すごく楽しみにしてるんだろうな…






「…風磨…」




〈はいっ!〉




「今日はもう遅いから。自力で帰るよ。おまえも早く帰ってやりな?」




〈ぇ…でも……〉




「待たせてるんだろう?」






待たせてるのはアニキのほうなんですっ…






〈ボクは大丈夫です!社長をお送りするまでが仕事ですからっ…〉






お1人で帰してしまって…もし、気が変わってそのまま大野くんのバイト先まで行かれたりしたらっ…


計画が全て台無しになってしまう…


なんとしてでも、俺が送り届けないと!






「しかし……相手の方は…待ちくたびれているんじゃ…」




〈待ちくたびれてますけどっ…それでもボクは社長優先ですっ…〉






待ちくたびれてるのは大野くんなんですけどねっ…






「…優秀な秘書だよ、まったく…少しくらい我儘言ってもバチは当たらないぞ?」




〈我儘なんてそんな…社長を困らせるようなことは言いませんよ…〉




「ふっ…ありがとう…今度お詫びも兼ねて、みんなで食事でもしよう♪」




〈ぁ……はぃ…〉






それは叶わないことですけどね。


だって俺に相手はいませんから。


でもご厚意は素直に受け取って。


さぁ、早くお送りしなければ!






夜も遅い時間、車通りは少なくて。


スイスイとマンションへと行ける。


この調子だと…


9時半には着けるかな。


できるだけ早く…


2人には、少しでも長く誕生日を過ごしてほしい…




……大野くん、もう少しだからね!



アニキのマンションに近づくと、なんだか俺もドキドキソワソワしてきて…



落ち着かないww



大野くんもこんな気持ちなんだろうか…



…身を潜めて待ってるのかな。



……ちゃんと電気消してるよな?



部屋に明かりが点いてたら…



それこそ、計画が台無しに…



アニキのマンションが見えるとこまでやってきた。



電気は……



ん〜分かんねぇな…


階数、数えんの無理…



どうか点けていませんようにっ!!





地下駐車場へと入り、エントランス前で車を止める。





〈お疲れ様でした!〉





車を降り、後部座席のドアを開ける。





「ありがとう…今日は本当にすまなかった…お相手の方にも謝っておいてくれ…」




〈お心遣いありがとうございます…〉






アニキが(居もしない俺の)相手のことを気にかける度、胸が痛い…


…隠し事はツラいなww






「じゃ。明日もいつも通りに頼むな?」




〈ぁ、はいっ!〉





…いつも通り……


大丈夫…なのかな…


…なんて下世話か///




車を降り、エントランスへ入っていくアニキを見送る。


…もうしばらく、ここで待機。


万が一、アニキがエレベーターに乗る手前で、


やっぱりバイト先へ行こう!


…ってなった時に、全力で阻止しないといけない。





…アニキがマンションの中へ入って10分経過。


もう大丈夫…かな?



きっと今頃……




わっ!ってなって…


えっ!?って驚いて…


ウソだろっ…これハニーが??



…みたいな?



ピスピスキャンキャン、大野くんに戯れついてる姿が目に浮かぶ…




さてと。


俺も帰ろ♪


明日、アニキからの言葉が楽しみだな。


大野くんが部屋に入ってるってことは、少なからず俺の協力があったからだ、ってバレるわけで。



隠してたこと、怒られるかもなww







\\ヴヴッ…//





ん?


LINE?





〈ふっ…このタイミングで?〉





【風磨さんっ!大成功っす!!結果知りたかったでしょ?大成功っすよ〜♪】





2回も言ってるww


大成功って。


それだけ嬉しかったんだろうね…


真っ先に教えてくれるくらいだし。


てか、今LINEできる状態なんだ?


…アニキ、ピスピスキャンキャンにはならなかったのか。





【本当にありがとうございました!後日改めてお礼させてください!】





お礼なんて…


俺が、2人のためにやりたかっただけだから。


俺は…2人が仲良くいてくれることで幸せ感じれてるから…


逆に俺がお礼したいよ。


幸せ分けてくれてありがとう、って。





\\ヴヴッ…//





あ、またLINE…


え…今度はアニキから…






【風磨…やってくれたなっ!】






ぅげっ…


やっぱ怒ってる??


大野くん、素直に全部白状したのかな…




【俺に隠し事するなんていい度胸じゃないか】


【でも…サンキューな?ハニーを助けてくれて】


【おかげで最高の誕生日になったよ】






〈……っす///〉




アニキからのメッセージに思わず頭を下げる…


すべてはアニキのため。


喜んでもらえて、何よりです!!







〜Fin〜





え?誕生日の様子はないの?
ってお声が飛び交っているような…(笑)

……見たい?覗いちゃう?
みんな好きねぇ( *´艸`)←当たり前か♪
じゃあ社長秘書の番外編てことで♪
(…もはやどれが本編か分からない(笑))

サプライズバースデー、お祝いしましょう(*•̀ㅂ•́)و✧