うつ病の原因は炎症だった : ミトコンドリア障害という、見落とされてきた原因
— Hirokazu (@hirokazupapi) March 7, 2026
転載させていただきます。
。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。
「なんとなく気力がわかない」「理由もなく不安でたまらない」そんな状態が続くとき、私たちはしばしば「気の持ちよう」と自分を責めてしまいます。しかし、うつ病や不安障害は意志や性格の問題ではなく、れっきとした「体の病気」です。
厚生労働省の2020年度患者調査によると、うつ病や統合失調症などの精神疾患を抱える人は国内で約615万人にのぼります。コロナ禍によるストレスや生活の変化も重なり、精神疾患の患者数はさらに増加傾向にあります。
現在、うつ病や不安障害の治療には抗うつ薬や抗不安薬が使われていますが、約30%の患者では薬が十分な効果を示さないことがわかっています。長期にわたる治療は患者の生活の質を大きく下げるため、新しい治療法の開発が強く求められてきました。
そんな中、2023年6月、広島大学の延久グループが注目の研究成果を発表しました。うつ病や不安障害の発症に、細胞のエネルギーを生み出す小器官「ミトコンドリア」の障害が深く関わっていることを、マウスを用いた実験で初めて証明したのです。
さらに、ウコンなどに含まれる天然成分クルクミンがミトコンドリアの機能を改善し、うつ・不安様の行動を和らげることも明らかになりました。
この発見は、これまでとはまったく異なる切り口からのうつ病治療薬の開発につながる可能性があり、精神医学の世界に大きな波紋を広げています。日本で生まれた研究が、世界中のうつ病・不安障害患者を救う道を開くかもしれません。
■要点
-
広島大学の研究グループが、脳内のミトコンドリア障害がうつ病・不安障害の発症に関わることをマウス実験で世界初の証明。
-
ミトコンドリアが障害を受けると炎症性物質(I型インターフェロン)が増加し、脳の免疫細胞(ミクログリア)が活性化してうつ・不安様行動を引き起こすメカニズムが明らかに。
-
ウコンに含まれるクルクミンがミトコンドリアの機能を改善し、うつ・不安様行動が改善されることも確認。ミトコンドリアやI型インターフェロンを標的にした新しい治療薬開発への期待が高まっている。
うつ病・不安障害とは何か : 615万人が抱える「こころの病気」
うつ病や不安障害などの気分障害は、単なる気持ちの落ち込みではありません。脳内の神経伝達物質のバランスが乱れることで引き起こされる、医学的な治療が必要な疾患です。
厚労省の調査によると、国内の精神疾患患者は約615万人。さらに、コロナ禍に伴うストレスや生活の変化によって、うつ病や不安障害の患者数は増加し続けています
。また、長期にわたって続く慢性的な痛みも大きなストレスとなり、慢性痛を持つ患者がうつ病や不安障害を発症しやすいことも知られています。
治療には主に抗うつ薬や抗不安薬が使われていますが、約30%の患者では薬が十分に効かず、治療が長期化することで生活の質が大幅に低下するケースも多くあります。このため、まったく新しいアプローチからの治療薬・治療法の開発が、世界中の研究者から強く求められていました。
ミトコンドリアとは何か : 細胞のエネルギー工場
ミトコンドリアとは、ほぼすべての細胞の中に存在する小さな器官です。細胞が活動するためのエネルギーの90%以上をミトコンドリアが産生しており、「細胞のエネルギー工場」とも呼ばれています。
ミトコンドリアはエネルギーの産生だけでなく、カルシウムイオン濃度の調節や、体の細胞にダメージを与える酸化ストレスの軽減にも関わっています。近年の研究では、ミトコンドリアの機能異常が慢性炎症を引き起こし、がんや認知症、さまざまな生活習慣病の発症に関係していることも明らかになってきました。
しかし、ミトコンドリアの機能異常がうつ病や不安障害の発症にどう関わっているかについては、これまでほとんどわかっていませんでした。広島大学の研究グループは、まさにこの空白地帯に踏み込んだのです。
研究の内容 : 慢性痛マウスを使った画期的な実験
広島大学の延久グループは以前から、慢性痛を持つモデルマウスがうつ・不安様の行動を示すことを確認していました。このマウスたちの脳内でも炎症が起きていることも突き止めており、慢性痛とうつ・不安障害の関係を長年研究してきました。
今回の研究では、この慢性痛モデルマウスを使い、脳の「海馬」という記憶や感情に関わる部位でミトコンドリアに障害が生じていることを明らかにしました。海馬はうつ病との関連が深い脳部位として知られており、ここでのエネルギー産生の低下が、うつ・不安様行動の引き金になっていることが示されました。
さらに研究チームは、ミトコンドリア障害が起きると脳内で炎症性物質である「I型インターフェロン」が増加し、その結果として脳の免疫担当細胞である「ミクログリア」が過剰に活性化することを発見しました。このミクログリアの過活性化こそが、うつ・不安様行動を生み出すメカニズムの核心だったのです。
クルクミンとI型インターフェロン抗体 : 2つの改善アプローチ
研究グループは、発見したメカニズムを逆手に取る形で、うつ・不安様行動を改善できるかどうかを検証しました。
まず試みたのが、ウコンなどに含まれるポリフェノールの一種「クルクミン」の投与です。クルクミンにはミトコンドリアの機能を改善する作用があることが知られており、これをモデルマウスに投与したところ、うつ・不安様行動が実際に改善することが確認されました。
次に、I型インターフェロンの受容体に対する中和抗体をモデルマウスの鼻から投与する実験も行いました。この中和抗体によってI型インターフェロンの働きをブロックすると、ミクログリアの過剰な活性化が抑えられ、同時にうつ・不安様行動も改善されました。
これら2つの実験結果から、ミトコンドリア障害によるI型インターフェロンの増加がうつ病・不安障害の発症に重要な役割を果たしていることが、科学的に証明されました。
この発見が持つ意味 : 新しい治療薬開発への期待
研究グループは今回の成果について、「ミトコンドリアやI型インターフェロンをターゲットにした薬剤は、うつ病や不安障害に苦しむ多くの患者を救う新たな治療薬となることが期待できる」と述べています。
現在の抗うつ薬は主にセロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質に働きかけるものが中心です。しかし、今回明らかになったミトコンドリア→I型インターフェロン→ミクログリア活性化という経路は、これまでの薬がアプローチしてこなかったまったく新しい標的です。薬が効かない約30%の患者へのアプローチとしても注目されます。
また、クルクミンはすでに食品としても広く使われている天然成分であり、安全性の面での研究も進めやすいという利点があります。食事や生活習慣の面から精神疾患にアプローチできる可能性も、今後の研究の方向性として期待されています。
研究グループは今後、ストレスがミトコンドリア障害を引き起こす詳しいメカニズムや、I型インターフェロンによってうつ・不安障害が発症する仕組みについても研究を進めていく予定としています。本研究成果は2023年6月14日、米国科学誌「
」オンライン版に公開されました。
まとめ
広島大学の研究グループが、脳内のミトコンドリア障害とうつ病・不安障害の発症が深く関わっていることを、マウス実験によって世界で初めて証明しました。
ミトコンドリアが障害を受けると炎症性物質のI型インターフェロンが増加し、脳の免疫細胞ミクログリアが過活性化することがうつ・不安様行動を引き起こすという新しいメカニズムが明らかになりました。
そして注目したいのが、ウコンに含まれるクルクミンという天然成分がこのメカニズムを改善できることも確認された点です。
すぐに臨床応用できるわけではありませんが、日常的にウコンやターメリックを食事に取り入れることは、脳の健康という観点からも理にかなっているかもしれません。
うつ病や不安障害は、「弱さ」や「甘え」ではありません。細胞レベルでのエネルギー異常や炎症という、れっきとした体の問題です。今回の発見が、薬が効かない患者さんたちに新しい希望をもたらす一歩となることが期待されます。
■ 出典
■ メンバーシップ募集中
【最新の栄養健康関連情報を全文公開】
記事の公開をご希望の場合
·
706.6万
件の表示