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今回は 【 梅垣の手越し帯 】 てごし について、説明させて頂きます
“ 手越し帯 ”てごしおび とは
≪手機≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】 の技術を使用し製織した “ 帯 ” の事です
『手引き』 = “ 機 ”(はた) を停止させて箔を織り込むという手仕事です
絹糸の土台に『引箔』(ひきばく)= 糸状に切断された “ 金箔・銀箔 ” を織り込んで
いく技術に加え、異なる種類の『 引箔 』を同時に三枚以上織り込む事は非常に難しく
『 手引き 』をしなくてはいけません。
また、十七色前後の “ 色数 ” に制限されている緯糸(横糸)を【 手越し 】することで
四、五色加えることが出来ます。しかし、これらの作業をするには特に修練された
技術が必要です。
“ 西陣織 ”を織る手段として大きく分けると
≪ 手機 ≫ てばた = 手で織る作業
≪ 力織機 ≫ りきしょっき = 機械で織る作業があります
≪ 手機 ≫ の良さは、先程述べた『 手引き 』【 手越し 】が出来る事で箔の枚数や
色数も豊富に対応できます
そして濡れ緯組織( 糸をぬらしながら織る )という特殊な技法などにも対応できます
≪ 力織機 ≫ の良さは、早く織れる事と、均一に綺麗に織れる事です
【 梅垣の手越し帯 】は≪ 手機 ≫で織れる職人さんがいなくなった為、道具としては
≪ 力織機 ≫を使用しますが、弊社専属の伝統工芸士が『 引箔 』を“ 機 ”( はた )を
停止しながら≪ 手機 ≫同様に『 手引き 』【 手越し 】 しています。
動いている機を止める為手間がかかり、箔が裏返らないように等高度な技術が必要に
なります。また時間もかかります。
しかし≪ 力織機 ≫なので、仕上がりは“ とても綺麗 ”です。
このように双方の利点を取り入れたのが【 梅垣の手越し帯 】です。
≪ 格天小花文様 ≫ ごうてんこばなはなもんよう
この帯は、日本文化史上、最も絢爛豪華な桃山文化の粋と言われる聚楽第を移築したと
伝わる「 国宝 西本願寺白書院 」の格天井をモチーフとしています。
西本願寺は寺院でありますが、当時は二条城とともに江戸幕府の迎賓館的役割も兼ねて
おり、桃山建築の最高水準と言われています。
特に白書院の天井絵は精巧な装飾金具のある格天井と、絵画的な天井絵が折衷する事で
格式とやわらかさを兼ね備えた独特の美意識を構成しています。
この格天井をモチーフとし、現在の西陣織において最高水準の素材、技法を用いて
製作した帯地です。
技法としては弊社独自の「有職綴錦」という製織方法を用いています。
また、織機を止めて色数の足りない処を小杼で手越しする技法も用いています。
緯糸(横糸)組織である綴織の表現を、経糸(縦糸)組織である錦地で表現したものです。
いわゆる、綴織は太くて少ない経糸に、緯糸を経糸が見えない程、つめて織り上げる織物です。
従って、力強い糸地となりますが、重くて硬いものとなってしまいます。
そこで、錦地に使用する程細くて数多い経糸に、極細の緯糸を綴以上に組織率を高める
( 曲尺一寸の丈に130横 ) 事で、軽くて力強い地風を作りました。
この軽くて力強い地風こそが、有職綴錦の特徴です。
上の写真は 【 別腹文 】 下を半分程隠して頂いたら、それがお腹の場所にくるイメージです
【 参考本 】
【 留袖 】【 色留袖 】【 訪問着 】にも合せて頂けます
手機にも簡単な技法から難しい技法があるように、力織機にも同様の事が言えます。
手機にしかできない技法もありますが、手越し( 力織機 )の場合も、織物によっては
手機よりきれいに仕上がるものもあります。
手機と力織機の最大の違いは、意匠・材料等全てが同じでも、最後の製織段階の道具である
“ 手機 ”か“ 力織機 ”かだけなのです。
梅垣手越し帯は ≪ 手機 ≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】の技術を使用している “ 帯 ” です
難しい説明になってしまいすみません。“ 帯の写真 ”だけでもお楽しみ頂けたら嬉しいです
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
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