【 梅垣の手越し帯 】 てごし 21 ≪ 住吉祭礼文 ≫ | umegakiorimono ときどき日記

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京都西陣の織元梅垣織物が ≪ 作り手の気持ちを伝える為に “ 西陣織帯地 ”や“ 西陣の事 ”
そして “ 美味しいお店やちょっとした出来事 ” ≫ を紹介させて頂く日記です。
 
『 和装や京都に興味のある方は、是非ご覧ください 』


いつも “ ときどき日記 ” をご覧くださりありがとうございます。


今回は 【 梅垣の手越し帯 】 てごし について、説明させて頂きます。
( 説明が重複しますが、お許し下さい )

“ 手越し帯 ”てごしおび とは 
≪手機≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】 の技術を使用し製織した “ 帯 ” の事です。

『手引き』 = “ 機 ”(はた) を停止させて箔を織り込むという手仕事です。
絹糸の土台に『引箔』(ひきばく)= 糸状に切断された “ 金箔・銀箔 ” を織り込んでいく技
術に加え異なる種類の 『引箔』 を同時に三枚以上織り込む事は非常に難しく『 手引き 』を
しなくてはいけません。
また、十七色前後の “ 色数 ” に制限されている緯糸(横糸)を【 手越し 】することで四、
五色加えることが出来ます。しかし、これらの作業をするには特に修練された技術が必要です。

“ 西陣織 ”を織る手段として大きく分けると ≪ 手機 ≫ てばた = 手で織る作業 
            ≪ 力織機 ≫ りきしょっき = 機械で織る作業があります
≪ 手機 ≫ の良さは、先程述べた『 手引き 』【 手越し 】が出来る事で箔の枚数や色数も豊富
に対応できます。
そして濡れ緯組織( 糸をぬらしながら織る )という特殊な技法などにも対応できます。
≪ 力織機 ≫ の良さは、早く織れる事と、均一に綺麗に織れる事です。

【 梅垣の手越し帯 】は≪ 手機 ≫で織れる職人さんがいなくなった為、道具としては
≪ 力織機 ≫を使用しますが、弊社専属の伝統工芸士が『 引箔 』を“ 機 ”( はた )を
停止しながら≪ 手機 ≫同様に『 手引き 』【 手越し 】 しています。
動いている機を止める為手間がかかり、箔が裏返らないように等高度な技術が必要になります。
また時間もかかります。しかし≪ 力織機 ≫なので、仕上がりは“ とても綺麗 ”です。
このように双方の利点を取り入れたのが【 梅垣の手越し帯 】です。   

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           ≪ 住吉祭礼文 ≫ すみよしさいれいもん

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この 「 住吉祭礼文 」 は、俵屋宗達が源氏物語を描いた、国宝「関谷、澪標屏風」をモチーフにしています。

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「 引き箔 」( ひきばく )と呼ばれる 『 技法 』 を用いています。
( 説明が重複してすみません。)
「 引箔 」 は、和紙に薄い金銀箔を張った無地のものや、漆に顔料を混ぜて多彩な色を出した
ものです。
またそれらを組み合わせて模様を表したもの等を極細に裁断し、それを一本一本織り込む技法で
もあります。
帯地に上品な光沢を持たすことができる素材ですが、その制作工程や織り込む技術は高度な職人
技を必要とします。

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≪ 素材について ≫

【 絹糸 】 高品質の繭から最も細い糸を使用し、絹本来の 『 しなやかさ 』 を求めています。

【 金箔 】 和紙に本漆を薄く引き、その上に本金箔を二度張り ・ 三度張りした昔ながらの
     製法の箔を用いて、絹風を損なわないようにしています。

【 染 】 天然草木染めに近い含金染料を使用する事で、重みのある色彩を出すと共に、耐光
    堅牢度を高めています。

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この引箔に用いた本金箔は本金の中でも 「 縁付け 」 と呼ばれる特殊な打ち方をしたもので、
非常に軟らかく、土台になる漆に馴染み易く 「 引箔 」 の質感を上げています。
( 実際に使用している本金は色違いです )

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        上段の写真は実際に織れ上がった “ 本金箔 ” です。
        下段の写真はまだ切断されていない “ 本金箔 ”です。

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            ≪ 本金箔が切断される前の状態です ≫

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上の写真は本金箔を “ 糸状 ” に切断されたものです。箔が何枚か集まらないと綺麗に切断で
きない為、又、熟練された技が必要な為、これを切断される職人さんがいなくなってきました。
( 切断だけが工程の一つです )    ( 向きが違っていてすみません )

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上の写真は 【 別腹文 】 下を半分程隠して頂いたら、それがお腹の場所にくるイメージです

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                 【 参考本 】

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手機にも簡単なものから難しい技法があるように、力織機にも同様の事が言えます。
手機にしかできない技法もありますが、手越し( 力織機 )の場合も、織物によっては手機より
きれいに仕上がるものもあります。
手機と力織機の最大の違いは、意匠・材料等全てが同じでも、最後の製織段階の道具である
“ 手機 ”か“ 力織機 ”かだけなのです。
梅垣手越し帯は ≪ 手機 ≫ 同様に 『 手引き 』【 手越し 】の技術を使用している “ 帯 ” です。

いつも難しい説明になってしまい、すみません。“ 帯の写真 ” だけでも、お楽しみ頂けたら
嬉しいです。


2013年も残すところ、あと僅かとなりました。

今年は本業でのカタログ作りや展示会等のお手伝いなどで、更新が少なくなってしまいすみませんでした。ブログの更新が少なくなってしまったにもかかわらず“ とどき日記 ” を沢山の皆様
にご覧頂き心より感謝しています。ありがとうございました。

今年を振り返ると、安倍政権になり経済効果は私達市民レベルではまだ実感としてはありませんが、6月にあった富士山の世界遺産登録や、9月の東京オリンピック・パラリンピック開催決定
に日本全体が歓喜に包まれたような気がします。特にオリンピック東京招致委員会の皆さんの
最終プレゼンテーションでは日本の団結力の強さで “ 勇気と感動 ” を頂き “ 将来の希望 ” を感じさせてもらいました。
東北地方太平洋沖地震での被災地の復興も政府に加速して頂き“ 全ての皆さんが、早く笑顔になれますように ” と願っています。

来年も皆様にお楽しみ頂けるようなブログにしてゆきたいと思っていますので、宜しくお願い致します。
皆様、どうぞ良いお年をお迎えくださいますように。


< 補記 > お借りしているアメブロの書式が変わり、以前アップしているもので画像・文字等がお見苦しくなっていますが、お許し下さい。



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