今人です。
僕が出演しておりました、ゲキバカ「ローヤの休日」
本日、無事千秋楽を終え、全日程を終了しました。
ただでさえコロナ禍の公演で、さらに最終日が緊急事態宣言の開始日となるなど色々と大変な状況にも関わらず
劇場までお越しいただいたお客様、配信をご覧いただいた皆様、応援シートをご購入いただいた皆様。
色々な形で、たくさんの方の応援の気持ちに触れることができました。支えていただいて演劇ができていることを再確認いたしました。
本当に、ありがとうございました。
役者・スタッフ的には、女囚Ver.も含め、最後まで1人も欠けることなく公演期間を全うできたことが、なにより嬉しいです。
梅棒で僕を知ってくださった皆様の中には、僕が「ゲキバカ」という劇団所属の俳優であることをご存知ない方が多いと思います。
公演初日にカーテンコールで一言、挨拶をしました。
梅棒の「ラヴ・ミー・ドゥー!!」大阪千秋楽で話したことと同じような部分もありますが、ゲキバカはゲキバカで、絶妙に感じ方が違う部分もありました。
ので、備忘録的な意味も含め、その時話したことを書き残しておこうかなと思います。
この、「ローヤの休日」という作品は、ゲキバカ(前身である劇団コーヒー牛乳)の代表作で、過去に3度上演され、今回が4度目の再演でした。
僕は大学生活を終えた後の2004年に、この劇団のオーディションを受けて本公演に初めて出演できることになり、
初演の2004年版に、客演として「真田役」を演じ
この公演の後に正式な劇団員となった為、自分の役者人生において思い入れのある作品なのです。
その後、2007年に再演。
そして3度目の再演である前回。
それが、ちょうど10年前の2011年。
3月16日が東京公演の初日でした。
稽古の終盤に東日本大震災が起き、開催の是非を問われる中での開幕でした。
計画停電による上演時間との睨めっこ、マスト化された避難訓練、客席で鳴り響く緊急地震速報、本番中も関係なくやってくる余震。
夜の街は節電のためにネオンが消され、飲みに行くことや、演劇を含めたエンタメを楽しむ行為が
「不謹慎」という言葉で叩かれる風潮にまみれていました。
チケットの払い戻しが相次ぎ、客席は全く埋まらない。
お越しいただいたお客さんも、少なからず怯えながら、気まずい思いをして劇場に足を運び、こそこそと顔を背けて劇場から出て、楽しい体験を誰にも共有できないまま過ごす。
我々俳優も、どこかに後ろめたい気持ちを抱えたまま。
今再びこの作品をやることになった2021年。
奇遇にも、10年経った今とあの頃ととても状況が似ています。
当時も、この状況がいつまで続くのか
エンタメ界が冷え込んだ後にどこまで回復できるのか、とても不安でした。
けど、それからの10年を振り返ってみると、自分にとってはとても素敵な10年間。
演劇を通して、素敵な作品や素敵な人たちとたくさん出会うことができた、人生において最もキラキラした期間となりました。
きっと、観る側の皆さんにとってもそうだったはずです。この10年で、演劇を通じてたくさんの素敵な思い出が生まれたはず。
2021年現在のこの状況は、10年前より長く暗いトンネルで、もう1年以上にもなり、先もまだまだ見えてきませんが
それでもきっと、この先の10年に、とても素敵な演劇との出会いが待っているはずです。
当時を経験し、今に至る中でそれは実証済み。
きっと、楽しい演劇を観た後に、堂々と胸を張って劇場を後にし、上を向いて歩いて帰れる日々が
何の後ろめたさもなく、「こんな面白い芝居を観てきたよ!」って友達に話せる日々が、絶対にやって来ます。
その日が来た時に、最高のお芝居を作って皆様をお迎えできるように我々も頑張りますので
皆さんもどうか、演劇を愛し続けてください。
また、劇場でお会いしましょう!!!
ありがとうございましたっ!!!
伊藤今人