ゴマスリ作戦が功を奏し、
評定平均を3.8まで上げたので、
志望校のAO入試を受験する為の残りの条件は
【英検2級合格】である。

夏休みは、国語と地理の問題集も解きながら、
空いた時間は英語に注いだ。

学校が休みの日曜日は、
自宅で
ハリーポッターのDVDを
英語字幕+英語音声
で観まくった。

最初の方は睡眠用BGMだった。

5回めぐらいで名シーンのセリフとこの後の展開を覚えたぐらいで、
英語音声が頭の中で日本語に直さなくても分かるようになった。
イメージは
『apple→アップル→リンゴ』だったのが、
『apple→🍎』
って感じ、、、
何言ってるか分からないですよね、すみません。

速くて聞こえなかった英語が、比較的ゆっくり聞こえるようになった。

英語音声で笑っている俺を見て、
母親は「気持ちが悪い、、、」と
言った気がするが、
日本語があんまり理解できなかった。

※塾の先生は、
英語を日本語に翻訳せずに頭の中で英語で理解できるようになる事を
「英語の耳を手に入れる」と言っていた。

海外に行かずとも、英語音声+英語字幕でDVDを見まくれば、2週間程度で英語の耳を手に入れることができるので、ゴリゴリに海外に行く予定がある人にはオススメである。

夏休みが明けて、
今まで怠けていた同級生達も目の色が変わっていた。

休み時間も問題集を解いている生徒が増えた。
俺も英検の過去問を解き漁った。
ハリーポッターのお陰で、
リスニング問題は余裕だった。
ただ、知らない単語が出てくると分からないので、
単語帳の端が茶色くなるまで読み込んだ。

10月、英検2級の試験があった。
午前は筆記試験。
午後は英語面接。

筆記試験は手応えはあった!
分からない単語は無かったし、
リスニングもほぼ聞き取れた。
長文問題が完全に訳せていないので、
何問か不安だが合格圏内だろう。

面接試験は
英語で質問された事を英語で答える。
という内容だ。

今となっては笑い話だが、、、
『How often do you eat-out?』
(あなたはどれぐらいの頻度で外食をしますか?)
と聞かれたが、
eat-outが外食と分からず、
(??食べて、出す??
そうか!

「吐く」という事か!!)

と謎な解釈をした。
陸上をやっていたときに
激しい練習をやった時は、月に1回から2回は吐いていたなぁ〜と思い出して、、、

「I ate  out about once or twice a month
when I was in the track and field club.」
(私が陸上部だった頃は、1ヶ月に1回から2回は吐いた(外食した)
と答えた。

意味は違っているが、会話が成り立っていて、
お笑い芸人のコントみたいになっていた。

そんなこんなで英検二級は合格をした。

そして、11月に大学のAO入試を受けた。
英語面接の1科目だけだった。

それも、【自己紹介】と【大学に入ったら何をやりたいか?】のたったの2問だった。

事前に塾の先生とは、
色んな質問を想定して、
色んな回答を用意していたので、
正直拍子抜けした。

取り敢えず、
「名前と生年月日と中学と高校は陸上部に入っていました」
「大学に入ったら、英語や海外の文化を学んで、海外で働く日本人に貢献したい。例えばハワイで現地のホテルマン。
中国も成長が著しいので、中国語の勉強や留学がしたいです。」

と答えた。

もちろん英語に直したのは、塾の先生で俺は暗記しただけだが、、、
そして、11月末には合格通知が家に届いた。

塾へ報告したら
『大学に入ってからクラス分けのテストがあるので、それまで勉強し続けるように!』と塾の先生が言った。

学校へ報告したら
「毎年、合格が決まってから警察のお世話になり、合格取消になる生徒が居る。あと、周りはこれから受験本番なので合格したのは公表しない事。なるべく態度にも出さないこと」と担任の先生が言った。


まあ、専門に行く予定の植田と毎週木曜のダンスに顔を出したり、時々そのまま夜中まで遊んでいたんだけどね。。。

こうして英語漬けの日々は終わりを告げた。
ちなみに、今では英語に触れる機会が無いので、英語の耳は完全に消失したし、
日本語も危うい、、、

高校の卒業式の後は、
クラスメイトみんなで近所の焼肉屋に打ち上げに行った。

その後、半分ぐらいの生徒でカラオケに行った。
ここで悪い癖が出てしまい、
人生を1/4くらい変える出来事を起こしてしまう。

【次回最終話】