調子に乗った言動で学年のトップ層から無視されるようになったが、
逆に明るく振る舞った。
ちびまる子ちゃんでいう山田君みたいなキャラを演じて過ごした。

そしたら、8組のノリの良い植田と仲良くなった。

彼はダンスが得意で、
近所の公民館に毎週木曜にダンスを習いに行っていた。
大学生や他校の生徒とか中学生もいた。
一つのコミュニティーが出来ていた。

(後から知ったけど市役所の青少年育成課?の取り組みだった)

元から歌ったり踊ったりするのが好きだった俺は直ぐに馴染む事ができた。

彼女と遊ばない日は、植田とゲーセンに行ったりカラオケに行ったり、金がない時は公園でダンスをして遊んでいた。

11月になり、リア充が最も輝く文化祭が開催された。
当時は、他校の生徒もこの日だけは出入り自由なのである。
もちろん別の高校に通う彼女も招待した。

校内を一緒に歩いて、出店でたこ焼きとかも買った。

『ヒューヒュー』
『美女と野獣カップルねー』
『彼女さん可愛いねー』
『こんなヤツよりも俺と付き合ってーwww』
など男女関係なく色んなヤツから冷やかされたけど、俺は誇らしげだった。

そんな事をしていると、
いきなり植田から
『この後のダンスステージなんだが、衣装チェンジがあるから3分ぐらい適当に繋いどいて!頼む!!!」と頼まれた。。。

なぜそんな大事な事を当日言うのだ、、、と腹が立ったが、
練習の時は衣装チェンジの事など頭に無く、当時にリハーサルをやったら衣装チェンジの間に何もない時間が生まれてしまうことが判明した。とのこと。なんとも高校生らしい理由だ、、、

友人の頼みだし、ステージに登れるという高揚感から承諾した。
俺は、
この前覚えたステップをしながら、
韻を踏まないラップを披露した。

沸いたかどうかは知らないが、、、
とりあえず、盛り下がらずに繋ぎになったはずである。

文化祭も大盛り上がりで幕を閉じ、彼女と手を繋ぎながら駅に向かっていると、なぜだか彼女の元気が無い。
公園のベンチに座って話を聞いてみると

「あなたが、あんなにチャラチャラしてるとは知らなかった。
ステージに登った時なんて、
客席で一人ぼっちで不安だったし、、、
女友達もたくさん居るみたいだし、
私なんて必要無いじゃん、、、」と
泣きだした。

俺は焦った。というか、なんで泣いてるのか分からなかった。。。
彼氏に友達がたくさん居たら嬉しいだろうし、ステージに登って目立ってるなんてカッコいいでしょ!!
と思ってたのに。。。

取り敢えず、別れたくなかった。
僕には君が必要だ!と言う事で、

携帯電話のアドレス帳から彼女と家族以外の女性の登録を消した。

彼女も男性の登録を消すと言ったが、アドレス帳には幼なじみと同じクラスの5人ぐらいしか男の名前は入ってなかった。

後で思うと、彼女は『狭く深く』人と関わる人なんだろう。

そういえば彼女は友達は多くは無い。
でも、いつも友達の話をしていた。愚痴とか悪口では無く、良いところを褒めていた。
同じ中学の地元の友達と今でも買い物に行っていた。

友人をちゃんと大切にしていること、
また友人からも好かれている、
そんな彼女の事がもっと好きになった。

だから、
学校では女子とは必要以上には喋らなかった。
こちらから話しかけなければ、話しかけられる事は無い。
普通の高校生なんて、まぁそんなもんだろう。

バイトも部活もやってない、彼女とも毎日会うわけじゃない。
学力低下を防ぐために週に2回塾に通いだした。
ダンスは木曜日に行く。気が向いたら植田を捕まえてゲーセンやカラオケに行った。
週末は彼女と遊んだ。
2年生になってもそんな生活は変わらなかった。

楽しくもあったが、
夢や目標も熱意も何も無く、
ぼんやりと毎日を過ごしていた。

付き合い始めて1年が経ち、
2年生の夏休みが終わったころ、
彼女に別れを切り出された。

『大学受験のための勉強が忙しくなるから今までみたいに遊べれなくなる。他の事にも時間を使いたい。』

とのこと。

そう言えば、なんだか夏休みぐらいから会う頻度やメールの回数が減ってたよなぁ、、、
彼女の気持ちが離れていくのを感じて、愛情というか執着が強くなった。

女々しく抵抗した結果、

【距離を置く】
ということに決着をした。

いまだに良くわからないシステムだが、
当時のカップルの間では流行っていた。
もしも、どちらかがヨリを戻したいと思ったら直ぐに戻ってこれる保険みたいなモノで、
メールとか寂しくなったら電話もして良い。
みたいなものだった。

周りのカップルはケンカ別れをしても、このシステムの導入により、すぐにヨリを戻していたので、俺も直ぐにヨリを戻せると思っていた。
彼女がすぐに帰ってくると思っていた。

今まで通りメールは送っていたし、返信は遅いけど返って来ていた。

「好き」とか「会いたい」という文字は無くなったけど、たまに電話もしてたし、
勝手にポジティブに考えて、
まだ付き合ってると思っていた。

一ヶ月も経ったある日、
ゴシップ情報に詳しい隣のクラスの
文春系女子に声をかけられた。