3日前の夕食時に、
主人が
「急だけど明日、おふくろを○○医院に連れてくわ。」
私
「えっ、どうしたの?どこか具合が悪いの?」
主人
「いや、なんかな、へその所から膿が出ていてえんだって。」
私
「へそから膿?なんで?」
主人
「わかんねえ。あり得ねえよな。」
私
「あっ、おばあちゃんてお風呂にあんまり入んないんだよね。
もしかして、痩せてしまったからへその穴に雑菌が溜まり過ぎて化膿して膿んだんじゃないの?」
主人
「そんなんで膿むか?
確かに風呂、毎日入んねえんだよ。俺が入れって言って、
今日は入るよというくせにやっぱよすよと言って、ほっときゃ、一週間どころじゃねえんだは。
10日ぐらい?、もっとかな、入んねえんだよ。あり得ねえんじゃんか。まったくよう。
それかもな。」
私
「49歳の時に私、胆嚢の摘出の手術をしたでしょ。
その時に入院期間を短くしてもらうために腹腔鏡のできる病院を探してやってもらったでしょ。
右胸の下と、左胸の下と、右腹と、へその所の4か所に
3センチぐらいの切れ目を入れて。その切れ目でへその所の切れ目が一番直りが悪かったの。
雑菌が溜まりやすいので消毒を丁寧にと拭き取りもしっかりとと言われて。
それを思い出したんだけど、、、たぶん、おばあちゃん、
おへそを洗って拭いてないんじゃないかな。」
主人
「それだわ、きっとそうだわ。
それがよう、おふくろ時々、骨粗しょう症の注射をすんだよ。
それをしたせいだとか言ってんだよ。
前にもあったからって言うんだわ。
あり得ねえんじゃんかなあ。」
私
「うん、あり得ないと思う。
たぶん、風呂にも入らず、コタツにずっーと入っていて温まり過ぎて
へその雑菌が化膿したんだと思うよ。」
主人
「明日の朝、病院に電話して時間を聞いて行ってくるわ。」
私
「ちゃんと側についていて先生の話を聞いてきてね。」
主人
「あ、聞いてくるよ。」
翌日の夕食時のこと。
主人
「まったくようー、恥ずかしいったらありゃしねえ。
△△(私の名)が言ってた通りだわ。もっと呆れたわ。
おふくろって用、何十年と風呂に入っても、石鹸で体を洗わねえでよ、
湯船につかってるだけだってよ。
あり得ねえんじゃんか。
それも、親父がおふくろに石鹸で洗わねえほうがいいんだと言ったからって
言ってんだよ。
真に受けて聞くか?分かりそうなもんじゃんかな。
耳が遠いから、医者がよう、でっけえ声で外まで聞こえる大声でよ、
おふくろに 『あか!!!』って何度も聞こえるまで言ってんだよ。
『こんな患者さんは初めてです!!!』って怒鳴っててよ。
おりゃあ、恥ずかしかったわ。
石鹸使わねえで何十年もって、、、、、」
と、すごい気落ちの主人の様子。
私
「そんなに大きい声で、それは恥ずかしかったね。
でも、やっばりだけど想像を超えて、石鹸で洗ってなかったとは、、、びっくり。」
娘が
「えっーーー!!! なにそれ! 」
と、言って大笑い。
つられて私たちも笑いだしてしまった。
私
「じゃあ、膿んだところを消毒してくれたの?」
主人
「あー、膿を出してくれたんだけど、全部取り切れてねえから、明日も来てくれって。」
私
「そんなに? 、、、じゃあ、だいぶ痛かったんじゃないの?
恥ずかしくて言えなかったのかな?」
主人
「恥ずかしい?そんな気持ちを持っているとは思えねえ。
少しいてえって言ってたけどな。
原因は垢だって言われても恥ずかしい顔もしてねえよ。
親父のせいにしやがってよ。
なんなんだ、相当バカだわ。
ボケてからじゃねえんだぞ。もっと前から洗ってねえって、、、あり得ねえ。」
私
「さすがにびっくり。
そういえば、おばあちゃんから石鹸やシャンプーの匂いがしたことが無いね。
えっ、もしかして頭の毛も洗ってないの?」
主人
「いや、美容院へ行く前にシャンプーしてから行ってるわ。
なんで、夜、風呂入ったときに洗わねえんだって思ってたんだよな。」
私
「また、あちこちに電話をして話してなければいいけど。
恥の上塗りになるけど、大丈夫?」
主人
「知るか、ほんとバカだわ。」
私
「不思議だよね。化粧は欠かさないのに、一日に何度も直してんのに、
服装も気にして小奇麗にしているのに、髪の色も髪形も気にするのに、
なんで肝心かなめの体を洗うをしてこなかったのか、、、。」
主人
「だってよう、医者がよ、おふくろにボディソープの説明をして、
俺に帰りに買って行くように言ったんだぜ。
こんなことを言われてんだぞ。
おかしいわ、おふくろは。」
私
「パパ、疲れたね。
おじいちゃんは小言も言わず、よくかばい続けたと思わない。」
主人
「ほんとだな。」
私
「内臓が化膿しているわけではなかったから安堵した。
これでちゃんと体を洗ってくれればいいけど。」
主人
「あー、きつく言い聞かしたからな。」