堺への蟄居を命じられた利休は、
突如として京へ呼び戻される。
利休は心静かであった。
自らの過ちを認めず、
権力の横暴を見せつける指導者なら、
従う理由は無い。
齢70にして、十分満足する世の中を過ごす。
今さら老齢の粋を超えた者が、
まさか野心家であるかの如く理由で
放逐とは、己の生きる道に共感する割に
浅慮さが虚しい。
「殿下もいつかこの境地を知れば」
「侘びて寂れる美意識にたどり着くであろう」
罪人となる自らを自重しつつも、
秀吉への最高の教育をしてやろうと、
逆に心沸き立つものを感じてる。
「許されるほうが吉か」
「意地を貫き通す事が吉か」
利休は命じられるまま聚楽第の
屋敷へと帰ってくる。
早速、完全武装した兵達が屋敷を取り囲み、
命令を伝える使者が現れる。
「許しがたき横着の数々」
「申し開きあれば、
許しを請いに参れと」
「殿下からのご要望である」
「その命に従わぬなら、切腹を申し渡すとの事」
奉行衆が署名し、秀吉の押印が印された
命令書を見せつける。
使者には利休が素直に従えば、
丁重に秀吉の元へ引き立てる様に、
念を押されてる。
火急な知らせに動揺する諸大名らには
利休が従順ならば、
この度の蟄居させる件は無効であると、
秀吉は内示している。
蒲生氏郷からの早馬の行き来きで、
弟子達は徳川家康、前田利家に泣きついてる。
それらしか止める手立てはない。
だが、利休からの返事は。
「辞世をしたためます故に」
「暫しのご猶予を」
思いもよらぬ利休の返答に、
命令を伝える奉行衆らも絶句する。
「・・・りっ、利休殿!」
不本意な返答に動揺する奉行らを
尻目に、意気揚々と屋敷に入ると、
ぴしゃりと門扉を閉ざしてしまった。
続く🌷