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umeの読書ブログ

とりあえず本のことかな?

(注)素人朗読です。ジャンルもいろいろ。

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(以下50音順・著作権切れ作家のみ)

あ行 ・ か~さ行 ・ た~わ行 ・ 海外作家

 

【愛知敬一】

 

【芥川龍之介】

 

【岡本綺堂】

 

【折口信夫】

【片山廣子】

 

【北原白秋】

 

【桐生悠々】

 

【楠山正雄】

 

【鈴木三重吉】

 

【太宰治】

 

【知里真志保】

 

【寺田寅彦】

 

【永井荷風】

 

【夏目漱石】

 

【萩原朔太郎】 ※詩は複数まとめての編集につき50音順ではありません

 

【葉山嘉樹】 

 

【三木清】

 

【宮沢賢治】

 
【山本周五郎】
 
【吉川英治】

 

【蘭郁二郎】

 

▼海外作家

【アンデルセン】 

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【グリム兄弟】

【ジェファーソン】

【シュウォッブ】

【チェスタートン】

【ペロー】

【ポー】

【ユーゴー】

 

【岡本綺堂:編訳 『世界怪談名作集』

 

▼その他

 

梅ちらほら

 

吉川英治

 

 

梅にまつわるエッセイ五編。

すごく短いので五分ぐらいで読める。

 

でもこんな短い文章でも、吉川氏の人となりがすごくよくわかって、楽しく読めました。

最近特に感じるんですが、吉川氏の女性観って、現代的だなあって思います。

なんていうか、女性を下にみているような素振りが少しもない。

かといって上に見ているような様子もない。

男性も女性も、とてもフラットな目線で読んでいるなあと感じます。

もちろん時代小説なんかでは世相反映で男尊女卑だったりするものもあるけれど、吉川氏自身はそうは思っていなかっただろうな、って感じる。

読んでいてストレスを感じないのはそのせいかもしれません。

貨幣

 

太宰治

 

100円札を擬人化して、100円札目線で人間を観察したお話。

 

よくある設定だし、駄作かな~という感じで読んでいましたが、ラストシーンでは不覚にもグッときました。

 

ピン札として世に出たときから、いろいろな人の手を経て、最後は小さな赤ん坊を抱えた母子の元へ…。

ラストの空襲という状況も、冒頭からは全く推測できなかったです。

 

最後のシーンだけちょっと説明すると、小料理屋でぐでんぐでんに酔っ払った大尉が、この時点で100円札の所有者でした。

お酌をしていた女は子持ちで、別室にいた赤ん坊が泣き出すと大尉はそれに難癖をつけだします。

女は怒って、アンタの飲み代はもとは自分たちがお上に納めた金じゃないか、と反論します。

そうしているうちに、空襲がきて、みんなは一斉に避難します。

 

ここでこのお酌をしていた女が、ただもう必死に、酔っ払った客を救おうと手を引き、抱き起こし、進みます。背には赤ん坊を背負って。

ようやく火の手から逃れて、力尽きた女は気を失いました。

 

明け方になって酔いから目を覚ました大尉は、まだ続く大火事を眺め、、隣で女が赤ん坊と居眠りをしていることに気づいて狼狽します。

大尉は持っていた紙幣を赤ん坊の肌着の内側に忍び込ませて、立ち去ったのでした。

 

 

こういうすごくベタな展開ではあるんですけれども。

なんだかこのラストシーンを読んだときに、太宰の優しさがふわっと降りてきたような感覚に陥りました。

 

この大尉以外にも男が数人出てくるんですが、女房の着物を勝手に質に入れてしまったらしき甲斐性なし男、旅先で自殺してしまった美青年、そうして店の女相手に威張る大尉。

いずれも褒められた男じゃありません。

でもこうした弱さは作者の投影なのかもしれない…と。そして、ひたすらに生きようとする店の女に憧れのようなものを抱いていたような気がして、そう思うとすごく切ない気分になってしまいました。

 

文体でいえば、百円札の女性口調がちょっと気持ち悪かったりもするんですが(笑)