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とりあえず本のことかな?

宇宙女囚第一号

海野十三
 
今まで何作か海野十三作品を読んできたけれど、どうもこの作家さんは話を突然悲劇的に終わらす作風なんですかね?
詳細がわからないままスパッと話が終わってしまう印象。
 
このお話で面白いモチーフとなっていたのは、電気による立体の転送です。つまり、FAXの立体版。
どこでもドアのSF考察系ネタを知っていれば話が早いかも。
つまり、ドアを通して分子原子をバラバラにして、その情報からまた再構築する、という感じのやつ。この作中では電信符号という言葉で説明していました。
 
さて、作中で主人公が博士の研究室にいくと、なんとも奇妙な生物がいました。一見するとうずくまった裸の女。
しかし、よく見ると顔がのっぺらぼうで、角が3つ出ている。角の先端には目がある。
手足はあるが指はなく、蔓のような触手になっていた。
体中には、小さな黒い斑点があります。
 
博士の話によると、その生物は上記と同様の装置を使って火星から転送されてきたのだというのです。同じような装置を火星人も持っているのだろうと。
そして小さな黒い斑点は、転送の際についたものだと。
 
主人公はその黒い斑点について考えます。
眼の前の生物は、生きていはいるが意識が無い。
それは転送の際についたこの黒い斑点が何か悪影響を及ぼしているためではないか…。
そういう考えを博士と話すうちに、博士は早まって絵理子(主人公の婚約者)を火星に送ってしまった、と告白するのでした。
 
 
って、ここで終わりかーい!!とツッコミたくなりました。
これ、絵理子さんが火星に転送されたとして、黒い斑点のせいで脳にダメージ受けて、どっちにしろもう前の絵理子さんではいられないってことよね。そしてこちらにいる火星生物を転送し返しても、さらにダメージ負ってしまうことになるよね。
救いがない話。
 

断崖の錯覚

 

太宰治

 

 

太宰らしいお話にある意味安心してしまうという…いやイカンイカン。

 

主人公は小説家にあこがれている学生。

実家が裕福なので、他の学生よりは余裕のある生活ができています。

ふと思い立って、熱海まで旅に出ます。

 

有名な文人が宿泊したという旅館に宿をとり、本名ではなくある新進作家の名を騙っての逗留。小説家のフリです。

 

数日滞在するうちに、行きつけの店の娘と馴染みになりました。

主人公はその娘をモデルに、勢いで小説を1本書きあげます。自分でも傑作だと思える出来栄えでした。

 

主人公はその小説を娘に見せますが、娘は数ページ読むと「私はこんなに美しくないから読むのが苦しい」と言って読むのをやめてしまいます。

主人公はその原稿がこの娘を苦しめるのならば、と、一枚一枚原稿を裂いてしまいます。

 

その後、ひとけの無い朝方、二人は山を散歩しました。

甘い雰囲気の中。娘は幸福そうに主人公を呼びます。主人公が騙った、あの新進作家の名を。

 

たちまち主人公はスッと青ざめました。

この小説好きの娘が恋しているのは、自分ではない別の人物なのだと。

断崖で、彼は娘の体を押しました。

転落した娘は、3時間後に遺体となって引き上げられます。

 

主人公はその後の町の様子を把握するために逗留を伸ばし、娘が事故で死んだのだと結論付けられたのを知って町を後にしました。

 

 

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最初についた嘘が思わぬ引き金となって、娘を殺すまでに至ってしまったわけですが。

娘への愛情よりもプライドの高さが勝つんだなと、主人公の弱さにやるせなさを感じます。しょうもない。

この結論を見てしまうと、原稿を破ったのもある種の自己陶酔なのかもしれませんね。

 

いやほんっと、太宰作品って男性キャラのメンタルが弱いわ。うーむ。

 

デパートの絞刑吏
 

大阪圭吉

 

 

デパート前の路地で、転落死体が見つかった。

 

…という、まず事件が起きてから主人公がそれを推理解決する、という今や古典的な形式の推理小説でした。

主人公が犯人を追い詰めていくスタイルも、現代の刑事ドラマや探偵もののそれと同じ。

 

うーん、特記することは特にないかな。

最後まで読んだらどんでん返しでもあるかしら…と期待したけれど、予想の範囲を超えず。

 

1932年のデビュー作らしいです。

今ではこのテの推理モノって溢れているから、新鮮味はないけれど、時代を考えるとなかなかすごいですね。

殺人モノの推理小説はあまり好まないけれど、こういう短編をたくさん読んだら見えてくるものもあるかもしれない。