六白金星
織田作之助
途中で放り出しそうになりながらも、中編だからなんとか最後までたどり着けた感じです。
織田作之助ってこういうダメ男を中心とする人情噺の作風なのかなあ。
医者の父
妾の母
出来は良いが、人格に問題アリの兄
出来が悪く、愚鈍な弟
この4人の物語。
主人公は弟の楢雄です。
描かれているのは子供の頃から、30ぐらいまで…になるのかな。終盤は年齢がよくわからなかったです。
子供の頃に母が妾であることを察した兄が、段々とクズ化していくのがどうもこうも、読んでいて鬱々とした気分にさせられます。
自分が何かうまくいかないと、それもこれも全部妾の子どもだからだ、と責任転嫁して不貞腐れる。でも母親はそんな長男を特に可愛がって甘やかす。
次男は子供の頃から頭が悪いとされ、問題行動も多い、今で言えばなにかしらの障害を持っているようなふうに描かれています。(成長した姿からはそんな様子もそれほど感じません)
この兄弟、成長すると医者になるんですよ、怖いですよ。
父親が医者だったから、そういうツテなどもあってですが、この時代の闇を見た気分。お金を積んでコネを使って学校に入ってしまえばいいんだものな。もちろんそこで勉強する必要はあるけれど。
しかしこの兄弟、そろいもそろって褒められた学生生活を送っているわけじゃない。弟に至っては最下位でなんとか学校を卒業したというふう。
父親は遺産を残して亡くなったけれど、その取り分を巡って兄は母に嫌味をチクリ。(それほどおかしい配分でもないのに、母の取り分が自分より多かったことに納得行かなかった様子)
ただ、本妻側とは大きく揉めている様子は無くて、そこは良かったかな。そこまでドロドロやられたら読破できなかった気がします。
その後、お見合いがうまく行かなかった長男は母を責めます。妾の子だからだー!と。実際の原因は違うんですけどね。
母親はそれまでさほど関心の無かった次男にもすり寄っていくんですが、次男の恋人にケチをつけて別れさせようとします。
そんなこんなで次男の心は離れ、次男はらい病の病院に務めることに決めてお話は終わるのでした。
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らい病のことは作中で何度かレプラという言葉で出てきます。
妾とその息子たちの話ではあるけれど、らい病というものの当時の人々の認識が少しだけ分かる。
次男がらい病病院で働くことにしたのも、母と離れるためです。
そして兄は、弟がそんな病院で働いては自分の履歴にも差し障りがあると思って必死に止めようとする。
兄はクズではあるけれど、悪い人間じゃないしよく現実にいるタイプ。こうやって保身に走るのが生臭いです。
もうね、みんながみんな、ちょっとずつクズな部分抱えているんです。
人間ってそういうもんよ!と言ってしまえばそれまでなんだけど、小説の中でぐらいもうちょっと爽やかでも良いような…あるいは、乱歩ぐらい180℃ぶっ飛んだ方向で攻めるとか。
いかんせん生々しすぎる(笑)
うーん、次はもうちょっとスカッとするお話を読みたいな!