銭形平次捕物控 酒屋火事
シリーズ#59
野村胡堂
3件続けて酒屋ばかりを狙った火事。
ことに3件目の三村屋の火事では焼死者まで出てしまいました。
犯人、そしてその動機は一体…?
実は会話文がいつも以上に江戸弁でわかりにくくて、一旦読んだ後に再読しました。
わかりにくい会話がかなりの部分を占めておりまして参った参った。
野村胡堂作品はいつも会話の分量が過剰な気がするなあ。
本編に戻ります。
3件目の被害となった三村屋には、美しい年頃の娘がおりました。
そろそろ婿取りの話も持ち上がっていて、その立候補者多数。しかし、父親も生半可な相手では承知しません。
多額の持参金とともに婿入してくるであろう相手の見当までついていた頃でした。
この火事で三村屋の財産はすべて炭になってしまいました。
婿取りどころじゃない。
そうこうしていると、犯人としてしょっぴかれた男がいました。
娘とひそかに思い合っていた仲吉という身内の男です。
娘はまさか仲吉がそんなことをするわけがない、と平次に泣きついてきました。
さてここから平次が大活躍です。
現場にて聞き込み開始。
アリバイのある者、ない者、物証などなど…
真犯人はすぐに見つかりました。
こいつがまあ、ヤバイ男でして…。
もともとはこの娘に思いを寄せていたんですね。
でも全く相手にされないのでだんだんと恨みに…。
しかも性癖と言うかなんというか、火事が好きだった。危ないヤツです。
最初は他の酒屋に火をつけてみた。
いきなり本命の三村屋だと自分が疑われるかもしれないと思ったわけですな。
そしてさらにもう1件。とんだとばっちりです。
最後に、本命の三村屋に放火。
一家全員を葬ろうという勢いだったけれども、ふと思い直して
「そうだ、火事場から娘を助け出して命の恩人になってやろう…!」なんてサイコパスめいたことを実行。あぶない。あぶないよコイツ。
見事平次に全部暴かれて、御用になりました。
娘さんは貧しい暮らしになっちゃうけれど、覚悟もできていたみたいだし、好きな人と一緒になれそうでそれだけが救いでした。
平次も温かい目で見守っているふうな描写が良かったです。