品川洲崎の男
藤沢周平
(文春文庫「日暮れ竹河岸」収録)
ちまちまと1ヶ月半もかけて読んできた短編集『日暮れ竹河岸』ですが、これが最後の作品です。
この本のコンセプトというのが、浮世絵からのイメージで作ったお話、ということだそうです。
文筆家の想像力っていうのはすごいですね。全19作品すべてハズレなしでした。
さて、ラストのこの作品は不貞モノでした。びっくりだよ。笑
甲斐性もないくせに亡き前妻のことを偲んで泣く亭主にカッとなった女が衝動的に家出をして、たまたま出会った中年男と懇ろに…という内容。
男の方は完全に遊び。名前も素性も一切明かさず。
また女の方もそれはそれと割り切って、お互いに名乗ることもなく。
関係は何度か続いたけれど、ある日突然約束の日に男は現れず、それきりになっていました。
それから半年後、たまたま買い物に来ていた女は、道の向こうにその男を見かけます。
店の亭主によると、男は近くの大店の旦那で、最近若くて美人な嫁さんを貰ったんだとか。
さらにさらに、子供までできたといいます。
急に関係が途切れたわけを悟り、女は当然気に食わない気分になります。(人妻なんですけどね…)
そんでなんと、男の店に押しかけた!!すごいぞこの行動力。
突然現れた訳ありの女の姿に、男はもう隠しきれないぐらいにうろたえます。
その場に居合わせた人がしーーーんと静まり返るぐらい。
それを見たら、女はカッカしていた気分がすっと冷えた。
そして、余裕たっぷりに男に向かってにっこりと微笑みかけた。で、立ち去った。
背後では店の者たちの騒然とした声。
いやいやとんだ爆弾ぶっこみましたねこの女。たくましいわ。
最後は今の亭主に気持ちが戻っておしまい。
ヒロインがキャリアウーマンっぽくて現代風な作品でした。