雪の比丘尼橋
藤沢周平
(文春文庫「日暮れ竹河岸」収録)
みじめなみじめな爺さんのお話でした。作者も容赦ないわあ。
もう長いこと一人で生きてきた爺さん。
そろそろ体も満足に動かせなくなってきて、ことに腰痛はひどい。
けれど働かなければ生活費にすぐ事欠く日々だから、体調の良いときだけあちこちへ大工仕事の手伝いに出てなんとか暮らしていました。
そんな彼の欠点の一つが、酒癖の悪さ。
おでん屋の屋台で酔っ払って、まず亭主に絡む。
次に、居合わせた他の客に絡む。
「俺のこと笑いやがったな」とかなんとか、わけわからん被害妄想で絡む。
けれど、見るからに弱そうな爺さんなので、他の客も適当にあしらう。爺さんはそれが面白くなくて、暴れた。
そしたらさすがに客も黙ってないですよね。
店から爺さんを連れ出して、持ち上げて雪の上に放り投げた。
爺さん悶絶。
打ちどころが良くなかったのか、腰痛は悪化。
そのまま動けずにいると、通りかかった若い女が親切に手助けしてくれてなんとか家に帰り着いた。
そして、若いときに死んでしまった自分の女房を思い出した。
女房が心配していた通りの人生を歩んでいることに思い当たる。
気づいたらしくしくと爺さんは泣いているのでした。
うん、救いが無い。
だが若い頃の女房への仕打ちからすると、本人も自分の人生はこれで仕方ないと納得してそうでもあります。
だからすすり泣くのかなあ。
愚かで悲しいなあ。