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江戸川乱歩

 

 

これを読んだら江戸川乱歩のイメージが変わると思います。

(乱歩好きな人に言わせると、こういう作品こそが乱歩の味が出ているらしいそうで)

 

探偵ものによく見るような、変態的なかおりは微塵もありません。

むしろロマンティックなほのぼの系。でも落語っぽいオチがあって笑っちゃいました。

 

 

あらすじ

中年の男が主人公。

よく行く公園で顔なじみになった男がいました。

不思議なことに、主人公の方も、男の方も、どちらも初対面な気がしません。

どこかで会ったことがあるのだろうか、とお互いの生い立ちやら、過去にどこどこへ出かけた話などをしばらくするも、一切の接点はありません。

しかし、間違いなくどこかで見覚えが…。

 

ある日、その謎が解けました。

よく会うその男は、主人公の初恋相手の弟さんなのでした。

弟さんは弟さんで、姉の遺品の中に主人公の若い頃の写真を見つけていたのだと言います。

それで、お互いに面影を認めて初対面だと思えなかったのでした。

 

ここで主人公の気持ちがちょっと高揚します。

かつて片思いをしていた相手が、自分の写真を…? と。

 

その写真は、懐中鏡(手鏡、コンパクトの類)の細工の中に忍ばせてあったそうです。

ついでに、鏡の袋には英語でイニシャルが刺繍してある。それが主人公の名前と一致するのだ、と言います。

 

ひょっとして両思いだったのかしらん、と期待しちゃいますよね。相手はもう亡くなっていますけれども。

 

弟さんからその想い出の鏡を譲り受け、主人公はどきどきしながら帰宅。

 

さて、主人公は既婚者です。

後ろめたいこの鏡を妻に見つかっては、ヒステリー起こされちゃうことが予想されますが…

見つかっちゃいました!

 

ところが妻は意外な反応。

この懐中鏡はどこから出てきたの? と懐かしそうにニコニコしています。

学生時代に、修学旅行先で失くした自分の鏡だと言うのです。

手癖の悪い同級生がいて、おそらくその子が盗んだのだろうと思っていたのに…と。

 

主人公、びーーーーっくり!

妻は主人公がいろいろと説明する前に、刺繍のことやら写真のことやらを話し出しました。

それはそれは、かわいらしい片恋の想い出。恋愛祈願で刺繍したんだとか。

ええ、妻のものだと確定ですわこれ……笑った。

 

淡い思い出が勘違いだっただけじゃなく、憧れの女の子が実は盗人だったことにもがっくりです。笑うしかない主人公。

どうか奥さん大事にして下さい。笑

 

ああ面白かったー。