銭形平次捕物控 大盗懺悔
シリーズ#003
野村胡堂
もっともらしいこと言ってるけど、結局あちこちに迷惑かけてるじゃん!!
と思ったお話でした。
江戸市中で謎の盗難事件が多発していました。
盗まれはするんだけど、その品物が必ず3日以内に戻ってくる、というもの。
一体何が目的なのかサッパリですが、この盗賊を人は「怪盗風太郎(かぜたろう)」とあだ名していました。
さて、その盗難事件の解決に平次がご指名されます。
とある旗本屋敷にこの風太郎が入り、なんと千両箱を2つも盗んだという。
盗まれたその金は、実は京都での寺への寄進用にと、公儀から預かったもの。この旗本はそれを届ける使者としての役目を負っていたのでした。
幸いに、御墨付(※将軍直筆の重要書類)は盗まれておらず、それだけはホッとしたところでしたが、2000両はなんとしても見つけ出さねばなりません。
もし予定の出立日に間に合わなければ、責任をとって腹を切らねばなりません。
探し回ってなんとか2000両は敷地内の泉水に沈められているのを発見しました。
しかし、今度はあの御墨付が盗まれてしまった。
これはお金と違って代えの効かない唯一のもの。焦る焦る。
出立の期日はもう明日・・・。
で、ここから一気に解決に向かいます。
見張りをしていた平次は怪しい若い娘を発見しました。
それまでもたびたび若い娘の目撃情報はあったのですが、盗みの手口はどうみても怪力の男性によるものだったので、謎の存在だったのです。
実はこの娘、風太郎の娘でした。
ネタバレしちゃうと、父親は病的な盗癖の持ち主。
盗むこと自体が目的なので、盗んだ品物に関しては興味がありません。
それに心をずっと痛めていた娘は、いつもこっそりと品物を返却に行っていたのでした。
娘を捕らえた平次は、ここで父親をおびき寄せるために一芝居打ちます。
旗本屋敷の庭を借りて、娘を公開拷問するんですね。もちろん芝居なので、娘を痛めつけているフリですけれども。(たぶん娘も同意の上での芝居)
見物人が大勢いる前で、仕置き人が娘を打ち据えます。
で、まんまと父親が名乗りをあげた。「風太郎ってのはオレのことだ!!」って具合に。
ここから父親の身勝手な言い分が続く。
例の盗癖について。
それともう一つ、ここの旗本に恨みがあるのだ、ということ。
なんでも若い頃、花見の最中にこの旗本と揉めたことがあるらしい。
旗本も若気の至りだったのでしょうね、酒も入っていて斬りつけちゃった。
それをずっと恨みに思っていて、「いっそ腹を切らせてやる」と仕返しをしたんだそうな。
あ、ちなみにこの旗本さん、今ではすっかり真面目ないいお侍さんですよ。ほんとに若気の至りという言葉がピッタリ。
風太郎の話を聞いて、旗本さんは心の底から申し訳なさそうに黙祷していた。それを見て、風太郎も思うところがあったみたい。
世間を騒がしたこの父娘だけれども、平次は情けをかけて見逃してやることにしました。
盗癖を理解してくれということを父親は訴えるんですけれども、これって理解してやるべきことなのかな?
(病気ではあるんだろうけど、ダメなもんはダメだし)
江戸からいなくなったこの父娘、またどこかで同じことを繰り返さなければいいのですが。娘さんが気の毒でした。