斬る | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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レンタルビデオ鑑賞日誌



(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

斬る [DVD]/仲代達矢;高橋悦史;星由里子;東野英治郎
¥4,725
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内容:岡本喜八監督が、山本周五郎の原作を仲代達矢と高橋悦史共演で映画化した痛快時代劇。政道が乱れ暴力と非道が支配する江戸末期。圧政に苦しむ上州小此木藩にぶらりと現れたふたりの剣豪が、城代家老の殺害事件をきっかけとする藩政改革に遭遇して…。 (Amazonより)


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はい!今週の岡本喜八 監督枠は、1968年製作「斬る」です!!





天保四年。空っ風が砂塵を巻き上げる上州は小此木領下に二人の男がふらりと現われた。ひとりはやくざの源太。もうひとりは、田畑半次郎。実は百姓に厭気がさし、田畑を売って武士になろうとしている男である。二人が姿を現わしてから間もなく、野々宮の宿場で城代家老溝口佐仲が青年武士七名に斬られた。小此木藩は溝口の圧制下住民たちの不満が絶えず、つい最近、やくざまで加った一撲を鎮圧したばかりだった。しかし、血気盛んな青年武士たちにとって、腐敗政治は許せるものではなかったのだ・・・(goo映画より)






・・・はい、これまた傑作ーーーッ♪ヘ(゚∀゚*)ノ



ほい、文句無しに面白かったです!! コレもレンタルに無かったから買っちゃった

ソフトの一つなんだけど、いやぁ買って良かったですねー♪:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

映像特典を含め、今後きっと何度も観るであろうお気に入りの一本になることでしょう。



天保四年、空っ風の吹き荒ぶ上州藩に一人の男がやってきた。男の名は田畑半次郎

(高橋悦史)、武士になりたいがために農地を売った元百姓であり、この藩の家老

鮎沢田宮(神山繁)が浪人を集めて侍に取り立てていると聞き遥々やってきたのだ。

五日間飲まず食わずのままようやく関所に辿り着いた半次郎だったが、しかしそこは

メシにありつこうにも食う物も無いほど荒廃していた。聞けば、城代家老溝口佐仲

圧政によって領民の生活は困窮を極めており、つい先ごろも一揆が起きたばかりだという。

 空腹に耐えかねていると、そこにもう一人腹を空かせた浪人が現れた。源太(仲代達矢)

名乗るその素浪人は、侍になるのも考えものだと半次郎に嘯く。

 とその時、七人の若侍が現れた。笈川哲太郎(中村敦夫)を中心とする彼ら七人は

溝口の圧政を見兼ねて決起、これから江戸へ向かう溝口をここで待ち受け斬り捨てようと

していたのだ・・・ってなお話。



誤解を恐れずに例えて言うならば、本作はさしずめ「椿三十郎」「七人の侍」

といった趣ですね。仲代さん演じる何やらいわくありげな素浪人 兵頭弥源太は

そのままご自身がかつて演じた椿三十郎を、高橋悦史演じる侍を夢見る

元百姓 田畑半次郎は「七人の侍」で三船敏郎が演じた菊千代を彷彿とさせます。

で、その二人を中心に、若き情熱滾らせ決起したものの罠にはまり窮地に陥った

七人の若侍と、彼らを討つべく差し向けられた荒尾十郎太(岸田森)率いる浪人隊の戦い、

そしてその裏に隠された恐るべき陰謀を描いております。



んでもってストーリーから演出からもう何から何まで面白かったですねー!

オープニング、荒れ果てた関所の村に上州名物空っ風が砂塵を巻き起こす。

もうこの映像からしてマカロニ・ウェスタンみたいで目が釘づけにされる完璧な出だしですし、

侍対貧しい浪人や百姓、巨悪対清く情熱に燃える若侍といった構図も、「定番」ではあるが

面白いからこそ「定番」になってるワケで。加えて岡本監督特有のユーモアやダンディズムが

しっかり盛り込まれている事により、黒澤作品とはまた違った娯楽時代劇として

ちゃんと差別化されているのも素晴らしい!!ヘ(゚∀゚*)ノ

それを俗っぽいと言ってしまえばそれまでだけど、より庶民的な娯楽作品を作り続ける事に

生涯徹した岡本監督の矜持の現れですからね、何が批判に値しましょうか。

面白れーものは誰が何と言おうと面白れーのだっ!!ヘ(゚∀゚*)ノ



キャストも素晴らしかったです!

「殺人狂時代」同様にどこかすっとぼけた可笑しみを発散しながらやっぱりカッコいい仲代さん、

猪突猛進型で純真な田畑半次郎を溢れんばかりのバイタリティで演じた高橋悦史さん、

とある目的の為に心ならずも若侍討伐を引き受ける浪人隊隊長を演じた岸田森さん、

狡猾であくどい権力者を演じさせたら天下一品の神山繁さん、

若者らしく清く正義感に燃える七人の若侍を演じた中村敦夫さんや中丸忠雄さん、

他にも物語のヒロインとなる星由里子さんや田村奈巳さん、何を考えてるのかわからない

とぼけた御老人を演じた東野英治郎さんなどなど、いずれも個性溢れる方々ばかりで

退屈なシーンなど一つもありませんでしたよーー!ヽ(゜▽、゜)ノ

中でも岸田森さんの渋カッコ良さはホレボレしちゃいました!




あとこれは作品そのものとは関係ないんだけど、もうひとつ面白かったのが映像特典として

収録されていた、2006年ベルリン映画祭での岡本喜八特集に関するドキュメント。

この時が岡本作品としては欧州初上陸だったそうで、喜八監督のご婦人や“岡本組”の

面々による舞台挨拶の模様などがインタビュー付きで収められています。

上映後に出口で観客の一人一人を出迎える岡本夫人の姿はとにかく感動的ですし、

仲代さんや田村奈巳さんが語る喜八監督との思い出話も面白く、喜八ファンならずとも

映画好きならばきっと一見の価値があると思いますよー♪




総評。

個人的には「椿三十郎」にも全く引けを取らない傑作だと思います。

音楽や恐ろしいぐらいテンポ良いカット割りなどいちいちシャレてて素敵ですし、

やっぱり喜八監督はもっと評価されてしかるべきと思うけどなぁ。

ってワケで徹頭徹尾面白い娯楽時代劇である本作、もちろん

オススメです!!!