荒野のガンマン | キネマの天地 ~映画雑食主義~

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(ほぼ)一日一本のペースで映画の感想を書いてます。

荒野のガンマン [DVD]/モーリーン・オハラ,ブライアン・キース,スティーヴ・コクラン
¥3,990
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内容:サム・ペキンパー監督による劇場長編第1作目となったアクション西部劇。敵討ちを目論む主人公が復讐相手を探し当て、正体を隠して男と行動を共にし、対決のチャンスを狙う。スローモーションを使ったバイオレンスシーンなど、独特の映像美で描く。 (amazonより)


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はい!今日からサム・ペキンパー 特集を始めますよーっと♪ヽ(゜▽、゜)ノ

ってワケで一発目は、1961年製作の西部劇「荒野のガンマン」です!





仇敵ターク(チル・ウィリス)への復讐の機会をうかがっているイエローレッグ(ブライアン・キース)は、そのさなかに事故で酒場女キット(モーリン・オハラ)の幼い息子を誤射してしまった。夫の墓に息子を埋葬すべくアパッチ居住区を通ろうとするキット。イエローレッグは償いのために彼女のあとを追うが…。(Amazonより)




はい、哀切な眼差しと強烈なバイオレンス描写で知られるサム・ペキンパー監督の、

記念すべき劇場映画初監督作品です。それまでに何本かのTVシリーズを撮ってる

みたいだけど、DVD化されてるのかな? 後で調べてみますね。


ともあれ、このデビュー作ですが・・・うーん、さすがに粗い。粗いけど、しかし紛れもなく

ペキンパーの作品だなと納得させるだけのオリジナリティーも十分に観て取れる作品ですね。



流れ者のガンマンイエローレッグ(ブライアン・キース)は、とある目的を持って旅を

続けていた。その日も行きついた町の酒場にぶらりと立ち寄ったイエローレッグは、

そこでイカサマ賭博がバレて吊るしあげられている男を見つけ愕然とする。

その男こそイエローレッグが追い続けていた南北戦争時の仇敵、タークだったのだ。

タークの相棒で腕利きガンマンのビリーと協力しタークの救出に成功したイエローレッグは、

三人でヒラの街に新しく出来た銀行を襲撃しようと持ちかける。

ヒラの街に到着した3人だったが、折も折3人が狙っていた銀行を別のグループが襲撃、

銃撃戦となりイエローレッグの放った銃弾が偶然居合わせた少年に命中し、少年は

命を落としてしまう…ってなお話。



一風変わった西部劇です。西部劇の主人公と言えば腕利きのガンマンと相場が

決まってそうな物ですが、本作の主人公イエローレッグは昔受けた傷が元で

満足に狙いを定める事も出来ないんですね。当然撃てども撃てども銃弾は当たらず、

それが元で無関係な少年まで死なせてしまう始末(-。-;) 

こういったいわゆるヒーローとは一線を画した主人公像からしていかにも

ペキンパーらしいですねー♪ヽ(゚◇゚ )ノ


で、亡くなった少年は、ヒラの街の人々に後ろ指をさされながらも女手一つで懸命に

少年を育ててきた美しい踊り子キット(モーリーン・オハラ)のたったひとりの息子で、

子供を亡くし絶望の淵にあるキットは街を出て故郷の街シリンゴに少年を埋葬しようとします。

しかし道中には危険なアパッチ族の居住地があり、イエローレッグは罪悪感から道中の

護衛を申し出るものの、イエローレッグを許せないキットは少年の遺体を馬車に載せて

ひとりで出発してしまう。慌てたイエローレッグはターク達を引き連れてキットの後を

追うが…という展開です。



仇敵タークを討つ機会を窺いながら、キットへの罪滅ぼしの為に危険な旅に同行する

イエローレッグ。この辺の設定が西部劇でありながらロードムービーみたいでもあり

なかなか面白いですねー。タークはイエローレッグの正体に気付いていないのですが、

腕利きでキレ者の相棒ビリーが付いている為にイエローレッグも迂闊に手が出せません。

果たしてイエローレッグは復讐を遂げる事が出来るのか?、またキットを守りきる事が

出来るのか?と、このようにストーリーは面白いのですが、難点を言えば所々に映像が暗くて

何が起きているのかわからない個所がある事と、主人公が「銃を撃てなくなった男」だけに

アクションシーンが少なく、いささか地味に感じてしまう事でしょうか。特にあのアパッチ族の

追跡者と対決する洞穴のシーンは、暗くて見えないわ淡白だわでちょっと拍子抜けでした。





総評。

「西部劇」として観ると物足りなさを感じるのは否めませんが、本質的にはコレは

復讐に捉われた男の“心の解放”の過程を描いたロードムービーでありラブストーリー

あるとワタシは思うので、その辺ペキンパーらしいセンチメンタリズムとロマンティシズムが

既に顕れててなかなか見応えありましたよ、ヒロインのモーリーン・オハラもさすがの

美しさでしたし♪

ってワケでなかなかの佳作でした。オススメ