(以前に書いたことがあるが)、
一口馬主は、個人の会社名義にて匿名組合出資をしている。
同じ会社にて他に不動産なども保有をしているが、毎年の12月末が決算期のため、
法人税等の申告に向けて、現在決算処理の真っ最中である。
個人名義で一口馬主を出資している場合には、クラブからの支払調書と源泉徴収の
総額を持って、確定申告をして還付を受けるだけで良いのだが、会社となるとこれが
結構面倒でもあり、毎年の貸借対照表(BS)と、損益計算書(PL)を作らないといけない。
例として、12月末の決算において、仮に1クラブで1頭に出資する場合の、
出資者としての会社側の経理処理は、概ねこんなイメージになる。
(イメージ)
【1歳時】 出資額を「匿名組合出資金(TK)」に計上(厳密にいえば、1歳12月までは
ファンド開始前なのだが、クラブに一括払込済なので、この勘定で統一している)
【2歳時】 「昨年末のTK残高」に、飼葉代分の毎月の「追加出資金額」を加算して、
逆に馬が賞金を持ってきた場合の「出資返戻金」を減算し、期末のTK残高にする。
※運用期間中、クラブにおける競争馬のファンド経理上は、馬に対する4年の減価償却が
実施されて、獲得してきた賞金がその範囲内なら利益ではなく「出資金の戻し」と
して分配される。その範囲を超えて稼いでいると、利益の配当扱いになるため、PL上の
利益が発生する。PLの利益は、各クラブからの支払調書を元に仕訳を入れる。
【3歳以降】 処理はずっと一緒であり、その競争馬が引退した時に、BS上に残っている
TK出資金残高があれば、そこでPLの一括損失として処理をして終了する。
なお、クラブへの会費は、毎年PL上の費用として認識する。
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課題がいくつかある。
まず数年前から、この作業につき非常に手間がかかるようになった。
各クラブからの出資金残高の根拠資料は、クラブによって丁寧な先と対応しない先が
あるし、記載方法もバラバラ。更に、ファンドは2歳以上の出資馬をカウントするので、
1歳馬への出資金額がクラブからの提供資料に載っている先と、そうでない先がある。
当方側でその分を確認して、載っていない先は1歳馬分を加算しないといけない。
(自分の側で。バイマイサイド)
一昨年の決算期までは、青山に事務所を構えている中堅税理士事務所にて決算を
対応して頂いていたのだが、同所から「効率的なM&Aの仕事に集中したい」との事で、
今回の決算作業から、地元にいる税理士さんと二人三脚で、この作業に携わっている。
自身で実務もしてみて、「いつかは効率面で、現状範囲で続けるのに限界がくるな・・」
と感じた次第である。
次に、馬主さんが事業として競争馬に出資する場合に比べて、競争馬の残高に対し、
毎年の一定額で償却を取る事ができない。TK出資の残高は、個々競争馬が引退しない
限りは、ずっとBS上に残しておく処理を採る。
例えば、力が衰えている馬が、改善が見られずにズルズルと現役を続けるケースも
偶に散見されるが、BS上では既に潜在的な含み損になっていても、引退するまでは
追加の飼葉代などがTKの残高に毎月加算され、TK残高は膨れていく一方である。
どこかでそれが突如引退となったら、一括でその金額を損失計上する事になるため、
会社としては将来の損失発生などに対し、コントロールが効きづらい状況になっている。
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今年の年初に、今年の出資戦略を書いてみた。
各々のクラブの馬達の個々の現状を考えて、個人的には将来的な予想図も見据えて
練っているつもり。今年は、この内容に沿っていきたい。