Nのために/湊かなえ
⚠️ネタバレ注意❗️
またしても映像化されることになった湊かなえ。
勢いはとどまることを知らない。
以前、「夜行観覧車」を提供した TBS 。今度は「Nのために」だ。
迂闊にも、榮倉奈々主演のスポットCM を見てしまった。ここは先入観無くして、早急に読破せねば❗️
う~む、相変わらずダークワールドだ。
文庫本解説の千街晶之氏によれば、湊かなえに代表される、厭な読後感を残すタイプの作品を「イヤミス」と呼ぶらしい。
確かにこの作品は不快感満載である。
まず、登場人物の誰にも魅力を感じない。つまり、感情移入できないのだ。
各々のキャラは立っているし、その行動もある程度理解はできる。だが、友達にはなりたくないタイプばかりということだ。
さらに、納得できない事柄が多いということも不快感を覚える理由のひとつである。
例えば、もと成瀬家の放火事件はうやむやにされたまま解決していないこと。
例えば、希美が置き去りにした母親のその後が、《おさななじみだという王子様が現れた》というたった一行で終わらせていること。
例えば、一次選考を通過した西崎の小説「貝殻」の以後の結果が示されていないこと。
例えば、何故希美が余命半年なのかの説明が無いこと。
挙げていけばきりがないが、決して作品として失敗という訳ではない。これがイヤミスなのだろう。
湊かなえ作品の特徴として、モノローグ形式の文体が挙げられるが、この作品でも、各章が登場人物それぞれによって語られる。
これは、会話している感覚に陥るため非常に読み易い。
しかし、この会話にすっかり騙されていたことがある。
第三章の途中まで、安藤が女だと思っていたことだ。
《その頃、わたしと安藤は将棋にはまっていて …… 女子大生っぽくないですか?》の一文に、てっきり安藤も女子大生だと思い込まされていたのだ。
第三章で、安藤本人の述懐を聞くまで、安藤=女 に何の違和感も無く読み進めてきた僕は、まんまと湊かなえの罠に嵌められていたという訳だ。
案外これは僕だけの勘違いで、安藤=男 は、周知のことで作者も意識していなかったのかもしれないが。。。
ともあれ、ここに至って、本作品の原点とも言うべきタイトル『Nのために』に立ち帰る。
ではNとは誰なのか?
登場人物があらかた出揃った辺りで、男は名字がN、女は名前がNなどと勝手に決めつけた自分も悪いのだが、望が男の名前とは、一杯食わされた。
(それにしても、登場人物全員が、名字か名前のどちらかにイニシャルNを持つというのも如何なものか?
アパートの管理人までがNとは…)
では、この作品の主人公は誰なのか?
大方は、冒頭と末尾を語る杉下希美を指名するであろうが、果たしてそうなのだろうか?
「灼熱バード」を著し、ラプンツェルの塔から姫を連れ出そうとし、最後は十年の刑に処されたN。
そう、西崎こそがこの作品の主人公と言えるのではなかろうか?
その西崎が、事あるごとに口にする『文学』。イコール『灼熱バード』『貝殻』という小説。小説=ノベル(novel)
つまり、Novel のために❗️とは、いささか強引すぎるであろうか?
TVドラマは、おそらく榮倉奈々が杉下希美役であろうが、あとの配役は全く知らない。
西崎役は誰になるのだろう? イメージは藤木直人なのだが、旬ではないな。。。
まぁ、これも先に小説を読んだ者の特権ということで締めくくりたいと思う。
