天才モーツァルトが遺した最も有名な楽曲の一つ。直訳すると『小夜曲』を、現在、日本で5本の指に入るであろうヒットメーカー作家の伊坂幸太郎がタイトルに冠した本作。
期待しすぎたのだろうか❓ ガッカリである。
連作短編集として、それぞれに面白く読めるのだが、かと言って特別心に響くものがない。
ミュージシャン斉藤某の希望で執筆されたという2篇と、それに付随した4篇からなる本作は、登場人物が各篇で絶妙に絡んでいく過程が秀逸で、思わず「ああなるほど」と感心してしまう。
だが、ただそれだけである。
わざわさ最終話を書き下ろしてまで一冊に纏める必要があったのだろうか❓
そもそも、「アイネクライネナハトムジーク」と題するからには、少しはクラシック音楽に関した素材があるのかと思いきや、ボクシングがメインである。
挙句に最終章「ナハトムジーク」に至っては、ナジーム・ハメドである。
これには苦笑せざるを得ない。
かと思えば、日本人のヘビー級世界チャンピオンを臆面も無く登場させるあたり、とてもボクシングに精通しているとも思えない。
各章のサブタイトルも一貫性が無く、何か全体を通して中途半端なのである。
中途半端といえは、『メイクアップ』に登場するいじめっ子・小久保亜季の結末もそうだ。
果たしてどちらのパターンが現実のものになったのだろう❓
まぁ、この章だけが孤立していて、ストーリー的にはどうでもいいのだが……
とにかく、これまでの伊坂幸太郎を期待して読んでしまうと、相当物足りなさを感じることだろう。ここは、ザックリと作者など気にせず読んだ方が良い。
とは言え、この本を手に取る読者の殆んどが伊坂目当てだろうから、それも無理な話かもしれないが……
ならば、せめて文庫本になるまで待って欲しい。この単行本に1512円はもったいない❗️
