さあ、今日は枚方から愛媛に移動します。
今夜の演奏会はこちら。
2026年10月10日(土)17時30分開演
愛媛県民文化会館40周年記念 伊予銀行 presents
読売日本交響楽団 愛媛公演2026
(指揮:小林研一郎/ピアノ:牛田智大)
牛田くんの愛媛公演はなかなかレア。
コンチェルトは、多分初めてだと思います。
私も、前回行ったのは2015年の西宇和会館のリサイタル。
当時牛田くんは中学3年生。
初披露のリストの『死の舞踏』の迫力に、度肝を抜かれた記憶。
この時が私の人生初の愛媛で、今回が2回目です。
これまでの私の愛媛のイメージは
・みかん
・バリィさん
・今治タオル
といったところです(〃▽〃) 乏しい…
今回の愛媛訪問、とっても楽しみにしてました。
なぜなら、交通手段をチャッピーに相談したところ
電車から海が見える、特急『しおかぜ』が絶対オススメって教えてくれたから。
岡山~松山間を走る『しおかぜ』は、瀬戸大橋を渡り、瀬戸内の海を眺めながら走るんだって!
そ、そんな夢のような電車ガ~!![]()
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どっち側に座れば海がよく見えるかも教えてもらい、1ヶ月前の発売日の午前0時、張り切ってチケットを予約しました(〃▽〃)
それに、今度の会場、なんと道後温泉から歩ける距離!♨️
(道後温泉が愛媛だということもよく分かってなかった(^^;))
枚方に向かう電車の中で、初めてガイドブックをちゃんと見たのですが
どのページをめくっても魅力的なものばかり。テンション上がる~!![]()
できればもっと余裕を持って、事前に下調べしたかった(^^;)
新大阪から新幹線で岡山へ。
いよいよ『しおかぜ』に乗りますよ!
これですね!愛媛のみかんみたいなオレンジ色。
岡山駅でお弁当を買いました。
ちょうど食べ終わった頃、瀬戸大橋。
海です!感激~![]()
青い海の向こうに見える山。天気もいいしなんて気持ちがいいんだろう。
ずっと海。窓から目が離せない。
山も見えます。そういえば、ジャックが何度か愛媛の山に登ってました。
瀬戸内海って、とっても穏やかなのね。
窓からの景色、どんなに眺めてても見飽きない。
大満足の電車の旅でした![]()
松山駅に到着。
材木をふんだんに使った駅舎の天井。
おおっ!みかんジュースの出る蛇口が本当に存在していました。
JR松山駅の前は現在工事中らしい。
道後温泉行の路面電車乗り場は、ここでいいのかな…?
路面電車で約25分。到着した道後温泉駅は、こんな素敵な洋館です。
これがハイカラ通り?なんてカラフル。
地図アプリを見ながらホテルへ。
実は、今回ちょっと思い切って老舗の温泉宿に泊まることにしたんです。
頑張って安いプランを探し出し、ポイントも駆使して、相場よりかなり安いお値段で泊まることが出来ました。
なんと、ホテルの売店にもみかんジュースの蛇口。
ドキドキしながら蛇口をひねってみました。
うわーっ、ほんとにみかんジュースが出てきました。
お…美味スィ~っ!![]()
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チェックインして、部屋で一息ついてたら、結構時間がギリギリに![]()
歩いて行こうと思ってたけど、もしも迷ったりしたらアウトなので、再び路面電車に乗りました。
路面電車もオレンジ色。
ここですね。愛媛県民文化会館。
1階ロビーは、天井も高く、とっても広々してました。
愛媛県県民文化会館 メインホール(2725席)
(画像お借りしました)
2725席!通常でも2000席超えればかなり大きなホールですが、これは異例の席数です。
瀬戸内の海のように爽やかなブルーのシート。
壁や天井はシンプルなライトグレーです。
舞台の上には、オーケストラの椅子と艶消しスタンウェイ。
椅子は背もたれのあるタイプ。
私の席からはかなり見通しがよく、「今日は当たりの席
」とウキウキしていたら
開演間近に座高の高い男性が前の席に座り、何も見えなくなりました。
ショック…![]()
なんて座高が高いんだ![]()
隣の女性より頭一つ分高いんです。
居眠りとかしてくんないかなあ…😅
自分の座高の高さを棚に上げ、心の中で身勝手な希望を抱く私。
プログラム
♪ショパン:ピアノ協奏曲 第1番
~ ~ ~ 休憩 ~ ~ ~
♪ドヴォルザーク:交響曲 第9番 「新世界から」
オーケストラが登場し
すらりと背の高い、若い男性のコンマスがピアノを打鍵して音合わせをしました。
ゆっくりゆっくり登場した牛田くん。
すぐ後ろを歩いてくる、86歳のマエストロのペースに合わせてるのではないかな、と思いました。
マエストロはオケの椅子の間を通り、舞台中央までやってくると
今日も指揮台の向こう側に立って、オケに向かって頭を下げから赤い指揮台に上がりました。
ショパン:ピアノ協奏曲 第1楽章
いいなあ、読響さんのこの音色。
地層のように パイ生地のように
幾重にも重なり、ひとつになった弦の色。
ピアノの前に座り、膝に手を置いて
じっと動かない牛田くん。
座ってるだけでサマになる。
少し伸びたサイドの髪を後ろに流し、耳がすっきり見えています。
牛田くんの黒髪、好きだな…。
ピアノの演奏が始まる瞬間、
それまで蓋に隠れて見えなかったマエストロが
牛田くんの方を振り返り、「お願いします」というようにアイコンタクトを取ったのが見えました。
残響の長い音色と共に
唸るような牛田くんの息遣いが聴こえました。
なるべく自分のカラーを消しているような牛田くんのファッションは
黒子に徹し、作曲家の意図をそのまま再現するかのような彼の演奏と通じているような気がします。
作曲家に 作品に
謙虚に忠実に 敬意を込めるように…。
今更だけど、いいピアニストだなあ…。
ちょうど1年前の今頃は
ショパンコンクールの真っ只中。
毎日毎日聴いたショパン。
その少し前は、ワルシャワフィルとの共演で、何度も聴いた協奏曲第1番。
あれから1年。
牛田くんのショパンが、前より軽やかになったと感じるのは
私自身の心境も関係してるのかもしれないな。
今日もお腹の奥がじんわりあったかい。
よく耳をすませて聴いていると
それぞれの楽器が素晴らしい仕事をしています。
ファゴット、フルート、ティンパニー…
離れた場所から手を伸ばすように、ピアノとデュエットするホルン。
第一楽章の中だけでも
いろんな要素、いろんな物語が詰まってる。
そんなふうに、音楽全体、オーケストラ全体を捉えている自分に気付きました。
考えてみたら、少し前までの自分は、ずっと牛田くんの音色ばかりに耳をすませていた気がします。
牛田くんの一挙手一投足。
表情。
息遣い…。
ある意味それは、盲目的な「一途な恋」の熱量に近かったのかもしれないな、と。
長年レポ記事を書いていると
いつの間にか「こんな言葉で表現しよう」と考えながら聴く癖がついてしまったように思います。
「素敵な言葉で残したい」という、エゴのようなものが働いて
目の前の音楽を、言葉の型にはめこもうとしている自分に気付く時
もう、レポ記事なんて書くのやめちゃおうかな、と思ったりする。
実はこれ、今まで何度も思ってきたことです。
そんなことも忘れて、ただ音楽に身を委ね、味わっていると
お腹の奥がじんわりあったかくなってくる。
これは不思議な発見でした。
それでもきっと、書きたくなるんだろうな。
この素晴らしい音楽を、言葉で再現するなんて絶対できないことだけど。
第2楽章。
毛糸玉をほどき、そっと引っ張るようなホルンの音色。
この楽章の始まりは、いつも朝もやをイメージするので
今日は夜をイメージしながら聴いてみようと思ったけれど
浮かんでくるのはやっぱり朝の光景でした。
湧き出すようなピアノの音色。
お湯みたい…。
肌に優しいなめらかな源泉。
そう、ちょうどここ温泉のお湯のよう。
ああ、癒される…![]()
牛田くんも、このあと温泉で癒されるといいなあ。
でも、明日もあるしなあ。
きっと温泉でくつろぐことよりも
明日の終演まで、気を抜かないんじゃないのかな。
それが牛田くんなんだよね。
(勝手な推測です)
ファゴット? オーボエ? クラリネット?
ピアノの蓋に隠れて見えないけれど
ふんわりと包み込んでくれる、この音色。
なんて優しい世界線…。
第3楽章の、重厚な弦の音が好き。
癒しの後の覚醒。
ピアノの音色が真っすぐに
土を持ち上げ、顔を出した筍のように
上へ上へとまっすぐに伸びていく。
次々に扉を押し開けて
新たな季節に飛び出した解放感。
若いエネルギーはどんどんどんどん膨らんで
喜びを爆発させたあとで
足元で咲く小さな花に気付いて愛でる。
ああ、手放しで幸せ!
演奏が終わると、会場は熱い拍手に包まれました。
立ち上がり、マエストロの方に歩み寄り
両手で握手しながら、日本人らしく頭を下げる指揮者とピアニスト。
ああ、なんて愛おしい二人…。
右手を差し出して、コンマス、副コンマスと握手。
正面に向き直ると、笑顔を浮かべて深々と頭を下げました。
おめでとう、牛田くん!
ありがとう、牛田くん!
2700席のほぼ満席の大きなホール。
その舞台に立って、今あなたには、どんな景色が見えてるの?
牛田くんが舞台を立ち去ると、マエストロが指揮台の上からおいでおいでと手招きをしました。
片手をオケの方にかざしながら、にこやかに登場した牛田くん。
今日はアンコールがありました!
弾いてくれたのはトロイメライ。
大げさではないけれど
一音一音が宝物のように丁寧に紡ぎ出されます。
誠実に、丹精込めて生み出される音色…。
マエストロは、舞台下手のひな壇に上り
その上の椅子に腰かけて聴き入っていました。
弾き終わった彼が姿を消しても、椅子に座ったマエストロが手招きしたので
小走りで登場して挨拶してくれました。
謙虚であり続ける姿勢。
作品への真摯な取り組み方と、共演者へのリスペクト。
ちょうど60歳年の離れたお二人の共通点は
「いわき市出身」というだけではないですね。
このお二人と同じ時代に生まれ
素晴らしい音楽に触れることが出来たことに
言いようのない幸せを感じました。
第二部のオーケストラは大所帯。
様々な楽器と黒い衣装の団員が、舞台を埋め尽くす光景は壮観です。
音合わせが済んで、ホールが静寂に包まれると
姿を現したマエストロは、舞台下手で立ち止まり
右手を胸に当て、ちょこんとお辞儀をする様子が可愛らしかったです。
コンマス、副コンマスと握手を交わし
今回も、指揮台の向こうに立ってオケに頭を下げてから台に上がりました。
ドヴォルザーク:新世界
聴き慣れた沈鬱なメロディが、リレーのように楽器を変えて繰り返されます。
ショパンの時より、アクションが大きくなったマエストロ。
襟足で切り揃えた銀色の髪が、タクトに合わせて揺れてます。
何度もこの曲を聴いているうちに、
「この楽器のこのフレーズが好き」
そんな瞬間が次々訪れます。
やっぱり長く愛される曲には、魅力とパワーがあるんですね。
専門的なことは分からないけれど
それぞれの楽器が毛並みの違う音を出し
重なり混ざりあって生まれる立体感と音の色彩。
膝を曲げ、前かがみになってタクトを振るマエストロ。
ホールの一番後ろまで響かせろ、というように
振り返って高く後方を指さします。
それに合わせて大きくなる音楽。
オーケストラって、すごいなあ。
それをまとめる指揮者って、やっぱりすごいなあ…。
クラシック音楽って、言葉のないコミュニケーションなんですね。
第2楽章の静謐な冒頭は、教会のパイプオルガンが似合いそう。
日本では「家路」が有名で
昔、よく父が口ずさんでいたし、夕方のチャイムで聴いたことがあるけれど
祈りのようでもあったんだ、と初めて思いました。
第3楽章は彗星になって、ハイスピードで宇宙を駆け抜けているみたい。
視界の端で、次々流れる白い星。
つんのめるように、指揮台の前の方に立って指揮をするマエストロ。
目が離せない。
コバケンが オーケストラが
一音一音に すべてのフレーズに
愛情と真心を込めて演奏しているのが伝わってくる。
しっかり聴きたい。真心こめて受け止めたい。
待ってました!クライマックスの第4楽章。
自然と体がリズムを取って、手に汗握る。足踏みしたくなる。
今まで特に好きでも嫌いでもなかった『新世界』を、
こんなに面白く、こんなにかっこよく感じたのは初めてかもしれません。
こんなにいい曲だったんだ!
演奏が終わると、マエストロは自ら手を差し出して
コンマス、副コンマスだけでなく
最前列の奏者全員と握手を交わしました。
それぞれのパート名を呼んで奏者を起立させ
みんなで拍手を贈ります。
団員たちの晴れやかな表情。
こんなに丁寧に、感謝を込めて団員を紹介するマエストロって、ほかにいるのでしょうか。
そう。いつも大ベテランのコバケンさんから感じるのは
「ねぎらい」というよりも「心からの感謝とリスペクト」。
スタッフが持ってきたハンドマイクを受け取って、客席に向かって今日も話してくれました。
「読響さんの演奏、本当に素晴らしかったです」
そして、突然隣のコンマスの男性にマイクを向けたので
一瞬驚いたコンマスが
「皆さま、本日はありがとうございました」
と、挨拶すると、会場からあたたかな拍手が起こりました。
「東京やヨーロッパに行っても、こんなあたたかな拍手をもらったことはありません。
先ほどのソリストの方のトロイメライもそうですが、この燃え立つような演奏も、皆さまが一緒に創り出してくださっているんですよ。」
そう言った後、パート紹介で、自分はホルンをちゃんと紹介したかと気にしていました。
この方って、どこまで団員思い、そして、聴衆思いなんでしょう(T T)
「アンコールは、もうご存じかもしれませんが、『私の愛する息子、お前も父親のように戦地に行ってしまうのかい?』という『ダニーボーイ』です。」
そして、
「ちょっと最初の方弾いてみて」
と、コンマスに最初のフレーズを演奏させて、ご自身でもメロディを歌いました。
キーが高くなるところを再現して、
「ここが、いいんです。」
と。
あと、読響さんのことを
「精神がいい」
ともおっしゃってました。
分かります。なんかとっても、分かる気がします。
その、読響さんのあたたかな演奏を聴きながら
胸の奥からあたたかいものがこみあげてきて
ボタボタっと次々涙がこぼれました。
はるばる愛媛まで来てよかった。
本当によかった。
明日の山口でも、こんなあたたかなトークと演奏で、聴衆を泣かせるんだろうなあ。
子供の頃から大のおばあちゃんっ子だった私。
おばあちゃんのことが大好きで大好きで
「ずっと元気で長生きしてね」っていつも思ってた、あの頃の気持ちを思い出しました。
『炎のコバケン』と呼ばれているけれど
私に言わせれば『愛のコバケン』です。
牛田くんXより
Performed in Hirakata (Osaka), Matsuyama, Hofu, with Mo. Ken-Ichiro Kobayashi & Yomiuri Nippon Symphony Orchestra. Chopin Piano Concerto No.1… pic.twitter.com/ck1dQK0U4n
— Tomoharu Ushida Official (@TomoharuUshida) October 12, 2026
(つづく…)































