行ってきました。
2023年4月8日(土)15時開演
沖澤のどか/牛田智大
山形交響楽団
青森・八戸公演
八戸公会堂(青森)
世界で活躍する青森出身の指揮者、沖澤のどかさんの凱旋公演。
2019年のブザンソン国際若手指揮者コンクールで優勝した彼女が、青森県でプロのオーケストラと共演するのは初めてとのこと。
9日の青森公演は早々に完売。
八戸公演も公演日直前に完売になりました。
青森出身の沖澤さん、福島県出身の牛田くん、山形交響楽団
という、東北にゆかりのある音楽家達の三つ巴です。
沖澤のどかさんと牛田くんは、コロナ禍で演奏会の中止が相次いだもどかしかった期間の後
やっと再開された演奏会で一度共演しています。
さて。
本州最北端にある青森県。
訪れるの、私人生初めてです(〃∇〃)
9日の青森公演と智に泊まりがけで行ければ良かったのですが
モタモタしてるうち青森公演はあっという間に完売になりチケットが取れず![]()
このところの忙しさにかまけて下調べもせず
今回もかなりギリギリの時間で会場に向かいました。
私の中での青森県のイメージはというと
・りんご
・ねぶた
・津軽平野
といったところでしょうか?
この日の八戸の天気予報は雨。
最低気温4℃。
春の装いの人達に混ざり、しっかり着込んで電車に乗り
北海道・東北新幹線「はやぶさ」で青森へ。
しかし、新幹線って、どんどん鼻先が長くなってますね。
私達が子供の頃って、こんなイメージじゃありませんでした?
あ、「私達」とか言っちゃってスミマセン(^^;)
東北の新幹線ってちょっと複雑。
はやぶさ・はやて・やまびこ・こまち・なすの
と、いくつか種類がありますが
はやぶさ・はやては新青森行き。
こまちは秋田行き。
やまびこは盛岡まで。なすのは郡山まで。
そして、はやぶさ・はやては遠くまでハイスピードで飛ばすため、郡山や福島には停まりません。
(合ってますでしょうか…?(^^;) )
今回私が乗ったのは、はやぶさと秋田がドッキングした新幹線。
緑の車体のはやぶさと、赤い車体のこまちの連結が盛岡駅で切り離されます。
MORIOKAというその響きが
ロシア語みたいだった
(松任谷由実『緑の街に舞い降りて』より)
ユーミンの感性って素敵ですね♪
窓から見える景色は
東京で散った桜がちょうど満開です。
あっという間に景色が流れていくので、なかなかうまく撮れません。
まだ雨が降る様子もなく、のどかな東北の春の風景を眺めていたら
♪白樺~青空~南風~
と、千昌夫の『北国の春』を思い出しました。
そういえば、演歌って東北の歌が多いですよね。
『津軽海峡冬景色』『雪国』『津軽平野』『みちのくひとり旅』『北の宿から』…
考え始めたらどんどん出てきます。
北風・雪国・冬景色…
東北の厳しく長い冬と演歌はよく似合う。
冬が長く厳しいからこそ、そのあとで訪れる春が待ち遠しいのでしょうね。
八戸のひとつ前は二戸(にのへ)という駅でした。
アナウンスで「七戸(しちのへ)」と言う言葉も。
へー!八戸だけじゃないんだ!
自分的に大発見だったので、今朝ジャックに報告したところ
「そうだよ。全部に『ヘ』がつくんだよ。ちなみにこれが俺の屁だ。」
と言って、「ブッ!
」
…![]()
![]()
サイテーかっ!![]()
よくもまあ、そんな自由自在に…。
到着しました。八戸駅。
青森弁で歓迎してくれてます。和む~♡
広々とした駅構内
青森の郷土玩具・八幡馬(やわたうま)
八戸三社大祭の山車
照明のデザイン、最初カモメ?と思ったけれどウミネコらしい。
素敵なネーミング。『青い森鉄道』
二戸には、盛岡行きの『いわて銀河鉄道』というのがありました。
会場最寄り駅の本八戸に行くのにPASMOで改札を通ろうとしたら切符を買うように、とのこと。
PASMOで買おうとしたら、なんと現金のみ。
駅員さんが切符に穴を開けてくれました。
駅の看板にもウミネコ。
八戸にある蕪島(かぶしま)は、ウミネコの繁殖地として国の天然記念物に指定されているんだって。
ヒッチコック…
会場は本八戸駅から徒歩4分。
駅舎の看板の字体がかっこいい。
予報通りパラパラと雨が降り始めました。
着きました!
大きな看板。完売御礼です。
いくつもの立派な花が飾られていました。
ホワイエにはホールの椅子の歴史が展示されてました。
このホール、何度か改修しているんですね。
八戸市公会堂(1542席)
(画像お借りしました)
2020~2021年に、約1年半かけて改修工事を行ったというこのホール。
白い天井、赤い椅子、薄い色の木の壁。
シンプルで、明るく広々とした印象です。
横にラインの入ったホワイトグレーの舞台正面の壁は、ちょっとガレージのシャッターみたい。
舞台の左奥に置かれたピアノのロゴは、見慣れたスタンウェイじゃない。
シゲルカワイのようです。
プログラム
♪メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」作品27
♪ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品58
~ ~ ~ 休憩 ~ ~ ~
♪ベートーヴェン:交響曲第5番 ハ短調 作品67「運命」
満員御礼なだけあって、座席は人でギッシリです。
牛田くんの人気ももちろんですが
地元青森の星、沖澤さんの凱旋公演とあっては、みんな足を運びたくなりますよね。
ご親戚や友人・知人もたくさんいらしていることでしょう。
会場にはそんなあたたかな熱のような空気が流れていました。
団員達が席に着き、コンマス登場。
山形交響楽団の演奏を何度か聴いたことがありますが
コンマスの男性の靴の踵が金色で、底が赤かったのが印象的。
秘かに「待ってました!」と嬉しくなりました。
なんか縁起いいものを見た気分(*^.^*)
沖澤さんが登場しました。
フロックコートみたいに膝まである丈の長い上着と、白いボウタイのブラウス。
つるんとしたおでこを出して、髪を後ろでひとつにまとめています。
小柄で可愛らしい沖澤さんが指揮台に上るとき
手を伸ばしてコンマス・副コンマスと握手をする様子は
エスコートされるプリンスのように可憐でした。
2020年の牛田くんとの共演から約2年半。
その間に結婚・出産をしたという沖澤さん。
そのせいでしょうか。
凜としつつ、可愛らしさと清潔感がある中に
柔らかさ、おおらかさも感じられ、とても素敵です。
1曲目の「静かな海と楽しい航海」。
「青い森鉄道」や「あきた銀河鉄道」に続き、ここにも素敵なネーミングが!と思ったら
ゲーテの詩『海の静けさ』と『楽しい航海』の2つに基づいているそうです。
同じ曲名のカンタータ(管弦楽と合唱)を1815年にベートーヴェンが作曲しているそう。
こんなところにもベートーヴェンがかくれんぼしていたとは。
艶やかなシルクのようなヴァイオリン。
柔らかなビロードのようなオーボエ。
穏やかな夜明けの海を連想します。
山響さん、やっぱり素敵ですね。
やがて陽が昇り、海も船も動き始めます。
さあ、舵を切って航海へ!
活気づいた音楽は、最後はファンファーレのように力強く終わりました。
舞台の端で出番を待っていたピアノが運ばれてきました。
ピアノの下に移動用の機械を入れて、ハンドルをグルグル回して
フォークリフトのように持ち上げて運びます。
スポットライトを浴びて輝くピアノ。
ピカピカで綺麗です。
扇状の形の設計のせいか、客席の広さに比べると少し狭く感じる舞台。
コンマスとピアノの椅子の位置がメチャメチャ近い。
登場しました、牛田くん。
今日は少しだけ表情が固めかな。
手には黒いタオル。
ピアノの前に座り、タオルで両手を拭いました。
ペダルの上にそっと両足を乗せて
静かに両手を鍵盤の上へ。
静寂の中からすくい上げるように紡ぎ出された音色の印象は
『誠実』。
ベートーヴェンだからなのか、シゲルカワイだからなのか
この1ヶ月、何度も聴いてきた独墺ソナタのリサイタルの時とは明らかに音色が違います。
短いメロディを奏で、バトンをオーケストラに渡しました。
ピアノの囁きに応えるように、同じメロディを奏で、展開させていくオーケストラ。
牛田くんは、その音楽に耳を傾けながら、両手を膝に置いてまっすぐに座っています。
浮かぶ風景は朝の森。
日の出と共に徐々に光に満ちていきます。
季節は夏。
澄んだ空気。
小鳥の鳴き声。
今度はピアノが、再び同じフレーズを刻みます。
互いに相手の言葉を繰り返しながら
心地よい会話を繰り広げていくように。
華やかすぎない透き通った音色は
葉っぱの上で転がる朝露のしずく。
やや硬質で凜としたクリアな音は、ベートーヴェンにピッタリです。
マイナスイオンに満たされた森で、動き出す動物たち。
木々も花も虫たちも
そこにいるすべてが調和して存在する世界。
ベートーヴェンは、夏の朝の森を散歩しながらこの曲を作ったのかも。
そんなふうに想像したら、作曲家の足音が聴こえてくるようで嬉しくなりました。
軽やかに繊細に、自由に舞い踊る右手。
元気よくはじくような左手。
まるめていた音のリボンを一気に広げたみたい。
カデンツァ。
白い手の薄桃色の指先が触れた鍵盤から、キラキラと音の光がこぼれて広がります。
転がり出す丸くて小さなガラス玉。
透明な粒が、大自然の森羅万象を映して様々な色に光ります。
なんて凜々しく気品あるベートーヴェン。
指がもつれないのが不思議。
泉のように こんこんと溢れ出す音楽。
ジェットコースターのように賭けが上がり 駆け下りて
生命力をみなぎらせ
オケとピッタリ息を合わせて第1楽章のフィニッシュ。
まだ第1楽章が終わったばかりなのに
会場から大きな拍手が起こりました。
私も思わず拍手しました。
マナーどうこう以前に、素晴らしすぎて勝手に手が動いちゃう。
いやもう「ブラボー!」と叫びたいくらい。
牛田くんは、座ったまま軽く右手を胸に当てました。
第2楽章。
近付いてくる軍人の足音のような男性的なオーケストラ。
ため息をつく悩める乙女のような女性的なピアノ。
ベートーヴェンらしいちょっと威圧的で重厚な弦楽器の音色に対し
月明かりで祈るような悲しげなピアノの音色。
足音は次第に遠ざかり
一人取り残された乙女は自身の運命を嘆きます。
はらはらとこぼした涙のようなトリルは、やがて狂気へと変わり
まるで地震速報の警告音。
不安をかき立てます。
ああダメだ、と弱気になって
解決しないままフェイドアウトするように
第2楽章が終わりました。
突然芽吹きだした春のような第3楽章。
一斉に花開く蕾。
大地から空に向かって伸びる蔓。
風にそよぐ若葉。
こだまするように対話するオケとピアノ。
勢いとスケールを増していく音楽。
ああ、生きている!
瑞々しい命の輝き。生きるエネルギー。
一音一音がキラキラと
輝きながら新しい命を宿してホールに広がっていく。
手を繋ぎ、裸足で走るピアノとオーケストラ。
眩しいくらいの若さと緻密さ、力強さ。
この4月、新しいスタートを切った人達に
迷い 悩み 疲れた人達に
なんて頼もしいエールだろう。
やっぱり音楽の力はすごい。
最高!(≧▽≦)
力強いフィニッシュを迎えると
大きな拍手と、ブラボーの声が飛びました。
立ち上がって、マエストロとガッチリ握手。
コンマス、副コンマスとも握手。
肘タッチではなく、強く手を握り合うその姿に感動しました。
乗り越えたんだね。長くもどかしかった時期を。
体を二つに折るように、深々と挨拶。
顔を上げると、マエストロとオーケストラに手をかざし拍手を贈りました。
素晴らしかった!
ありがとう!
ありがとう!
おめでとう!
熱気に沸く聴衆。
カーテンコールで挨拶をすると、そのまま戻ってしまったので
今日はアンコールはないのかな?と思ったら
再び登場してピアノの前に座りました。
交差する右手と左手。
あっ!
大好きな大好きなシューマンのピアノ・ソナタ第1番第2楽章。
高知と石巻でベートーヴェンのこのコンチェルトを聴いたとき
アンコールはどちらもこの曲でした。
だから今日も、この曲だったらいいな、と秘かに思ってました。
嬉しい…。
(T^T)゚。
今日の音色は繊細というよりはくっきりと
男性的で情熱的。
ああ、来てよかった。
聴けてよかった。
この曲を聴きながら、今日もこっそり祈りました。
どうかどうか 牛田くんがずっと幸せでありますように。
休憩後のテンポ良い『運命』も素晴らしかったです。
ホルンはよく見ると古い型のもの。
もこもこしたあたたかな音色でした。
沖澤さんの指揮はクセがなく、清潔感があって好感が持てました。
故郷青森県での凱旋公演。
ご本人にとっては感慨深い演奏会のはずなのに
私情を挟まず、どこか淡々とした雰囲気からは
『自分が主役になるよりも、より良い音楽を届けたい』という誠意や熱意が感じられ
牛田くんと通じるものがあるようにも感じました。
最終楽章の「ド・ミ・ソーファミレドレド」のメロディは
まさに苦悩を突き抜けた歓喜の境地で
聴いているこちらも高揚感が半端なく
明日を生きる強いエネルギーをもらいました。
ベートーヴェンって、やっぱりスケールが違う。
なんかデトックスした気分(*^.^*)
オーケストラのアンコールは初めて聴く曲でしたが
袖から沖澤マエストロが登場する前に
会場と一緒になって、オケのメンバーがドンドンと足を踏みならして称賛をおくっていたのが印象的でした。
地震・コロナ・長い冬…。
いろんなことを乗り越えて、訪れた新しい季節の始まりに
青森出身の若きマエストロが運んできた春の風。
地元の人達の嬉しい気持ちとあたたかさが伝わってきて
ブラボー!の声が飛び交う中
私も一緒に心を込めて青森の星に拍手を贈りました。
ホールを出る頃には、雨も上がっていました。
ファン友さんから聞いて初めて知ったけれど、ここはお城の跡地だそう。
桜の花が見えて、吸い寄せられるように隣の公園に行きました。
綺麗!もう一度桜を楽しめるなんて♡
よく見ると満開の一歩手前。八分咲きくらいかな。
八戸駅でお土産を買おうと思ったら、夜7時前なのにもう閉まってました。
かろうじて売店で買ったお弁当を新幹線の中で食べました。
美味しい(*^.^*)
今日は本州最北端の青森での演奏会。
今頃、さらに熱く盛り上がっていることでしょう。
もう少ししたら、きっと大成功の知らせがあるでしょうね(^^)
楽しみに待ちたいと思います♡































