牛田智大さん コンチェルト @川口総合文化センター(2021.2.21) | 耳をすませば

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待ち焦がれてきた、夢のような3日間の最終日がとうとう来てしまいました。

 

 

新日本フィルハーモニー交響楽団 川口特別演奏会

2021年2月21日(日)14時~

指揮:大友直人

ピアノ:牛田智大

川口総合文化センター・リリア

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開催がお隣の埼玉県なので油断して

 

娘のお弁当をゆっくり作ったり、掃除機かけたりして

 

ふと時計を見たら

 

ハッ!ポーン もうこんな時間!

 

 

お昼を食べる暇もなく、大急ぎで出かけましたあせる

 

 

 

調べてみたら駅からすぐらしいので迷う心配もなさそうです(^^)

 

 

 

ここかな…?

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いけない!方向音痴の私、駅の反対側に出てました滝汗

 

 

 

こっちでした!

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今日もいい天気。上着がいらないぐらいの暖かさです。

 

 

 

近代的でお洒落なロビーと天井。

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お雛様も展示されてました。

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川口総合文化センター リリアホール。

(画像お借りしました)

 

 

「リリア」の語源は、川口市の花であるテッポウユリ(Lily)にちなんでつけられたのだそう。

 

 

 

チケットの座席が2桁の列だったので、オペラグラスを持ってきましたが、

 

なんと、前方10列をつぶして舞台を前に張り出したようです。

 

座席の前後の幅が、やや狭いな、という印象でした。

 

 

 

プログラム

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♪ショパン:ピアノ協奏曲第1番

 

♪チャイコフスキー:交響曲第5番

 

 

 

 

3日目なので、私の中でおなじみになったオーケストラの顔ぶれが舞台に登場しました。

 

ピアノは今日もスタンウェイ。

 

 

扉の方を眺めながら、彼の登場を待つ時間。

 

いつも心臓が高鳴ります。

 

 

牛田くん、大友さんの順に登場しました。

 

今日も衣装は燕尾服。

 

手には紺色のハンカチ。

 

髪は昨日までより幾分ナチュラルな印象です。

 

 

マエストロは指揮台に

 

ソリストはピアノの前に

 

それぞれの場所に着いて確認するように視線を合わせました。

 

 

始まりました。第一楽章。

 

弦は今日も美しい音色です。

 

両手を膝に置いたピアニストは、時々右足を静かに踏みならしていました。

 

 

スイッチが入るように大きく息を吸い

 

弾き始めます。

 

 

ほろほろと口の中でほどける卵ボーロのような、まろやかな音色でした。

 

例えるならばセピア色。

 

 

弦楽器の奏でる情熱のうねりに身を任せ、溶け込むピアノ。

 

流れるように、こぼれるように。

 

 

川面の煌めき、包み込むような慈愛と憧れ。

 

様々な情景と感情が胸に広がります。

 

軽やかな指の動きが生み出す音のフリル。

 

音色はやがて金色に変わりました。

 

 

目をつぶり、歯を食いしばるようにして演奏する牛田くん。

 

 

届かない恋心を嘆くショパンの叫び。

 

揺れて、滑り落ちて

 

くらくらと目眩を起こしているみたいな揺らぎ…。

 

 

 

やがて音楽は

 

夢見るような、穏やかな追憶へと聴衆を誘い、

 

そして再び切なく狂おしく、情熱の限り愛を叫びます。

 

 

レガートとピチカートを交互に繰り返すヴァイオリン。

 

せわしなく思いを巡らせるピアノ。

 

苦悩と焦燥。

 

焦れるような、迸るような苦しい情熱の炎をメラメラと燃やしたまま楽章のラストへ!

 

 

 

 

 

第一楽章の終わり、間を置いて第二楽章の始まりの瞬間

 

マエストロとピアニストは微かに微笑んで目を合わせました。

 

 

シルクのような弦楽器が郷愁を誘います。

 

ピアノが入る時にもう一度アイコンタクト。

 

 

透明度を増した音色が

 

優しい諦めのように、慰めるように…。

 

十分なた「タメ」を持って、豊かに歌い上げるピアノ。

 

甘美なせつなさに、思わず漏れたため息が白い百合の花に変わりそう…。

 

 

今この瞬間、会場にいる人すべてがきっと彼に恋をしたでしょう。

 

 

甘やかな音色は、男性的な情熱に変わります。

 

微かに憎しみを孕んだような、ねじ伏せるような激しい恋心。

 

 

自分がその人を愛しているとより実感するのは

 

相手との関係がうまくいっている時よりも

 

乞うほどに相手からの愛を求めているときだ思います。

 

振り向いて!

気がついて!

遠くに行かないで!

 

足りない。足りない。

あなたの愛がここにないから、満たされない…。

 

ああ…。

 

ショパンのそんな想いが伝わってくるようで

 

胸が熱い

胸が痛い。

 

 

やがて、

 

キラリン、と天使が振りまくような高音で場面が展開します。

 

 

とても優しい表情で演奏する牛田くん。

 

雲の上の天女の舞を見ているような気持ちになりました。

 

 

地上に響くヴァイオリン。

 

天上で歌うピアノ。

 

その2つを繋ぐホルン。

 

 

第二楽章の最後のデクレッシェンド。

 

少しずつ、少しずつ、オケとピアノの音色が消えていく部分は

 

次第に細くなって粉のように空気に溶けていく音そのものが目に見えるようで

 

最高に素晴らしかったです。

 

 

 

 

 

第三楽章。

 

 

雪溶け。芽吹き。春の訪れ。

 

前途洋々!春爛漫!

 

 

第三楽章は、生きとし生けるものの命の賛歌です。

 

果てしなく拓ける未来を

 

走り、笑い、踊ることの出来る肉体を

 

空の青、木々の緑、色とりどりの花

 

突き抜ける空、髪を揺らす風

 

そんなすべてを、喜び、讃えるように。

 

 

やはり少しJazzを感じるような軽快なリズムで

 

ものすごい早さで鍵盤の上を踊る指。

 

オケとピアノが手を取り合って踊るダンス。光のプリズム。

 

もう、ゾクゾクしました。

 

 

抱えきれない喜びが胸いっぱいに膨らんで

 

爆発するようにフィニッシュ!

 

 

 

 

 

ブラボーッ!!!

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

 

 

立ち上がり、マエストロと、コンマス、副コンマスと肘タッチ。

 

 

そして、ツヤツヤの黒豆のような瞳で

 

客席の方を見上げて深々とお辞儀しました。

 

その表情は明るく輝いていて

 

充足感と喜びに溢れていました。

 

 

最終日に牛田くんのこんな表情が見られて

 

本当に本当に嬉しかった。

 

 

 

3日連続のコンチェルト。

 

毎日本当に素晴らしい演奏を届けてくれた牛田くん。

 

ありがとう!

ありがとう!

ありがとう!

 

大友先生、新日本フィルの皆様、調律師の佐々木さん。

演奏会に携わったすべての方達。

 

本当に、本当にありがとうございました!

 

 

 

 

アンコールの前に、舞台袖から一緒に登場した牛田くんと大友さん。

 

燕尾服を着て、すらりと背の高い細身のお二人。

 

歩調も歩幅もピッタリで

 

何よりもお二人の持つノーブルな雰囲気やオーラがそっくりで

 

なんだか嬉しくなってしまいました。

 

3日間、一緒に音楽を創り出すことで、二人の持つ波動が共鳴したのかもしれませんね。

 

 

促すように、ねぎらうように、牛田くんの背中に手を当てて、そっと彼を押し出すような仕草をする大友さん。

 

今まさに、クラシックを牽引して下さっている音楽家と

 

これからのクラシック界を担っていく若き音楽家。

 

音楽を愛し、ともに創り上げ、

 

こうやって音楽はこれからもずっと受け継がれ、愛され続けていくのでしょうね。

 

 

 

アンコールは「雨だれ」でした。

 

さっきまで感動と熱狂で沸き返っていたホールが水を打ったように静まりかえり

 

慈雨のような柔らかな雨がゆっくりと胸にしみ込んで来ました。

 

オケの存在も、自分の隣に人がいることも忘れていまいそうなほどのしんとした静寂の中

 

牛田くんの紡ぎ出す音楽だけが、ただそこにありました。

 

それは 優しく、いとおしく、安らかな時間でした。

 

 

牛田くんは、完全に聴衆の心を持っていきました。

 

 

 

演奏が終わり、会場からの拍手、舞台の床を踏みならすオケの靴音で再び賑やかに。

 

牛田くん、何度も楽しそうにマエストロと肘先をぶつけ合っていました。

 

 

ああ、幸せ…。

 

もう、感無量キラキラ

 

 

 

 

 

 

後半のチャイコフスキー。

 

何度も聴いているうちに愛着が湧いてきて、すっかり大好きになったこの曲。

 

主題が様々に色や形を変えて登場します。

 

私が勝手に「白雪姫みたい」と思ってる、好きな場面がある第一楽章

 

朝靄の中、ホルンの響きと共に徐々に空が明るくなっていくように始まる第二楽章。

 

思わず身体を揺らしてしまうワルツの第三楽章。

 

力強く勝利を歌う第四楽章。

 

 

ショパンの協奏曲は管楽器の出番があまりないので

 

チャイコフスキーではそれぞれの楽器の魅力が堪能できました。

 

 

演奏が終わって、マエストロがパートごとにメンバーを立たせて紹介するときの

 

お一人お一人のちょっと照れくさそうな、晴れがましそうな表情が大好きです。

 

「ありがとう!」の想いを込めて、たくさんの拍手を贈りました。

 

 

 

今回も、黒いマスクをつけて大友さんが曲紹介をしてくれたアンコール。

 

弦楽セレナーデより「ワルツ」。

 

 

夢のように幸福だったこの3日間を思い出しながら

 

幸せで

 

終わってしまうことがちょっと寂しくて

 

また涙腺が緩みました。

 

 

ありがとう。

ありがとう。

ありがとう。

 

 

 

 

ああ、終わっちゃいました。夢の時間。

 

けれど、連日最高の音楽のシャワーを浴びて

 

私の中に滾滾と新たなパワーが湧いてきました。

 

 

 

もはや空気やごはんと同じくらい

 

私が生きていくためには牛田くんの音楽が必要です。

 

どんなビタミン剤より、薬より、点滴より

 

牛田くんのピアノが私を元気にしてくれます。

 

 

 

ありがとーっ!キラキラ

 

 

 

明日からまた、元気に頑張ります!