桜井章一さんの本の中に
羽生善治さんが登場します。
20年前から桜井さんに会いたいと思っていた羽生さんが
40歳になった時に道場に来た時のエピソードです。
その話の中で、農家のおばあちゃんが出てきます。
詳しくは是非、書籍を読んでいただきたいのですが
羽生さんが地方へ対局に出かけた時に
農家のおばあちゃんと出会います。
そのおばあちゃんは始めて出会った羽生さんに
「水、飲まないかい?」
と静かに言ったそうです。
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なぜ、私がのどが渇いていたか、わかったのだろう。
私は、おばあちゃんの背中を丸めた後ろ姿に
思わず頭を下げた。
いまだにその姿は瞼の裏に残っている。
私は子どものような気持ちでおばあちゃんの
後を追った。
何だか嬉しかったのだ。
おばあちゃんは坂を下り、
畑に入ると農作業をはじめた。
その姿はまるで土の中に生きる生き物のように、
土となじんでいた。
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羽生さんが何を感じ、その言葉に
桜井さんが何を感じたのか。
生きる、ということの原点が
そこにあるような気がします。
次回は、勝負師、羽生善治の「感じる力」について
書いてみます。