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日本●(1-3)○中国

火の鳥NIPPON、今季の最終戦。勝てば銅メダルという試合だったが、正直メダルなんかどうでもいいと思って観ていた。中国にどこまで出来るのかを確認したかった。それもなるべく長く試合をしてもらえれば言うことはない、そんなことを考えながら観戦していた。

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結果的には、今日の中国はこれまで戦って来た中で一番強かった。WGPで対戦した時よりも凄みがあった。まず、タレントが豊富だ。シュ・テイなどは100点満点で60点くらいのトスでも難なく決めて見せたりする。それに加えてエン・シンゲツにチョウ・ジョウチョ、ソ・シュンライ等が脇を固めている。この相手にどうやったら勝てるのか? 少しでも長く戦って、そのヒントを見つけて欲しいと思った。ただ、強過ぎた。新鍋選手、内瀬戸選手の巧みなスパイクや荒木選手のミドルやブロックもある程度は通用し、第3セット中盤くらいまでは何とか食らいついていた。しかし、中国の圧倒的な破壊力に、徐々に押され始め、このセットを落とすと、最終になった第4セットはサーブで崩され、遂に力尽きた。ロシア戦、アメリカ戦の敗戦は、それ程“叩かれた”と言う印象は無かったが、フルメンバーの五輪金メダリスト中国はやはりレベルが違った。完敗だった。だが、前向きに考えよう。今季、新しい火の鳥NIPPONは、今現在のトップクラスとは、イタリアを除いて全て戦うことが出来、その実力を肌で感じることが出来た。始動間もないWGPのドミニカ戦こそあっさりと落としたが、オランダ戦を大逆転でモノにしてからは、結果に関わらず、列強に伍していた。ここまで頼もしい火の鳥NIPPONを見たのは久しぶりのような気がする。

今季の中田監督率いる全日本は、試合単位で“総力戦”といった臨み方は無かったような気がする。今日も今大会全勝で、既に金メダルを決めている王者中国との対戦で、今大会初めて佐藤美弥選手をセッターに据えて、最終となる第4セット終盤に点差が開くまでセッターを代えなかった。昨日のアメリカ戦でも、劣勢で点差が開いても冨永選手を中々代えなかった。これにどの様な意図があるのか、終ぞ分からなかった。選手個々の成長を促すことに主眼を置いているのか、それとも対戦相手ごとにデータに基づく最適と思われる選手を選んでいるのか。或いは2020年に向けてのロードマップが出来ており、それを協会及びスタッフと共有しているのかも知れない。

ただ、結果的にみると、勝敗はともかく総じて内容は良かった。昨年のOQT〜リオ五輪の流れを思い出すと、ここまで内容で互角に戦えたのは驚きでもある。
では、何が変わったのだろうか。もちろん選手は、主力含め大きく入れ替わっている。世界と渡り合うための早い攻撃に繋げるレセプションの特訓もテレビなどを通じて伝えられている。しかし、これらは今のデータ重視のバレーでは、試合を重ねる毎に相手に研究され、やがて通じなくなるわけで、これだけではとても2020年までは保たないだろう。そこで中田監督の言う『指示待ちの選手は要らない』ということで、選手に自ら考えさせる局面を与える、という意図が伝わり、上手く啓発出来ていたのかも知れない。そして、列強との対戦で結果を出せたことで、選手たちに自信がついて来たということか。
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今季の火の鳥NIPPONを見ていて、久し振りに楽しく、そして手応えを感じた。冨永こよみ選手、佐藤美弥選手の両セッターは、新しい火の鳥NIPPONを演出してくれた。鍋谷友理枝選手のプレーも含めたムードメーカーぶりも印象的だ。今季は彼女のオランダ戦での爆発から始まったと言っても過言ではない。復帰した新鍋理沙選手は、チーム最高得点の活躍で攻守に完全にこのチームの柱だ。内瀬戸真実選手は巧みなスパイクで、ほぼレギュラーの座を掴み取った。野本梨佳選手は今後頼れるWSとしての期待を持たせてくれた。リベロの井上琴絵選手も期待通りの活躍をしてくれた。しかし、何よりも驚いたのは、ベテラン荒木絵里香選手の頼もしさだ。確かにVリーグでもMBではトップの活躍をしており、まだまだやれるとは思っていたが、今がキャリアピークなのでは?と思わせる内容だった。
個々の選手については、また別の機会に書きたいと思うが、中田監督の全員ヒロインバレーは多くの選手に印象的な記憶を残させてくれた。これから暫し全日本はお休みし、Vの舞台でそれぞれがしのぎを削るわけだが、2020年に向けて更に個々の能力を高めてもらいたい。もちろん、今回火の鳥NIPPONに選ばれていない新星の出現も期待しつつVリーグを観ていきたいと思う。