京都には,希少な老舗工房が造り出す一品が数多くあります。それらは、世界から賞賛される道具や、古来からの伝統の形、技法など、守り続けたい日本の文化そのものです。【店頭チラシより引用】
その中から当日実演されていた職人さんの一部をご紹介しましょう。

かるた
かるた:大石天狗堂(前田直樹氏)
このカルタは、一セットを通しで裏の黒い紙を一枚づつ、手作業で貼っていくそうです。柄が、そろわなければいけないので、セットごとにしていくとのこと。いまは、絵柄は印刷が多いそうです。それにしても裏だけの手張りであっても、15000円以上はするそうです。

金細工1
金網細工:金網つじ(辻賢一氏)
ステンレスや銅線を編んで金網造っていきます。ステンレスはかなりの堅さがあり、編んでいくのに結構力がいるとのこと。実際に触らせていただきましたが、ステンレス線で編むのはとても堅く曲げづらく、相当力が強くないと無理でした。 しかし、職人さんは軽やかな手つきで、亀甲文様を編んでいました。

金細工2
金網ばかりでなく、ザル、茶こし、豆腐掬いなど銅製やステンレス製などの作品が展示されていました。
金細工3
茶こしや、豆腐掬いの中心部は、菊花模様になっており、特に、湯豆腐などでは、豆腐の上にその影ができて美しい影ができます。
この豆腐掬いで、4500円前後。けして手が出ないわけではないのですが、今家で使っているのも、銅製のいいものなので…。

つづいて、京瓦の製造です。浅田製瓦工場(浅田晶久氏)
瓦工業1
大きなものは、お寺の鴟尾から小さなものは携帯ストラップ、根付けのようなものまで瓦で作ります。土に彫刻を施していきますが、焼いたときに3割ほど縮むことを考えて掘っていくそうです。とくに、屋根瓦とか大きな鴟尾はきっちりどれぐらい縮むか計算をした上で焼かないと、屋根に上げたときに全く寸法が合わないことになってしますそうです。だから土を変えたときは大変だそうです。縮み具合が土によって違うからだとか…。 また、浅田さんが焼いた鴟尾は、唐招提寺の鴟尾より1.3倍ほど大きなものだったそうで釜の中に入れたら上に隙間が数センチしか空かなかったとのこと。それでも焼いた跡の縮み具合は計算通りで、屋根に乗ったときほかの瓦との寸法はぴったりだったそうです。すごいなぁ…
瓦2

土色のものは現在乾燥中で、この後、釜に入れて焼くのだそうです。窯で焼くと煙でいぶされて、いわゆるイブシギンの輝きを放つとのこと。
鍾馗さん
これは、京の町家の屋根の上に必ず乗っている魔除けの、鍾馗(しょうき)さん。イブシギンの輝きが美しいです。

続いては、截金細工(大塚華仙氏)
截金1
金箔で彩る装飾美。截金の技術が日本に渡ってきたのは、飛鳥時代で、主に仏像彫刻や仏画の装飾に用いられたそうです。截金は、四枚焼きあわせた金箔を竹篦で細く切り、日本の筆先につけて模様を描いていく技法。一本の筆には、フノリとニカワを混ぜて作った糊を、もう一本の筆には水をつけ、糊をつけた筆先の先端で金箔を置きたい部分をなぞりながら箔を載せていく。水をつけた筆は、細い絹糸のような箔をすくい上げたながら箔を操り絵を描いていきます。下書きもないのによくぞまあちゃんと描けるものです。すごいですねぇ…。

職人さんてスゴイですねぇ。ほかにも京ゴマの職人さんや、京提灯の職人さんなどがきていましたが、ちょっと時間がなくゆっくり見学できなかったのが残念でした。京の職人さんていいな。