今月初旬に秋田県を訪れた。目的は未だ釣ったことのない日本のスカルピン、すなわちカジカのうち、大卵型と呼ばれる、海に降らずに川にとどまって大型の卵を比較的少数産む種類だった。

 

まずは大館を流れる米代川の中流へ行ってみた。ホリデー小継の穂先三本にアカムシ針3.5号ハリス0.6号約10センチを直結し、針の上約3センチにガン玉をかませた、いつものスカルピンリグにキヂをつけて岸辺の石周りをしらみつぶしにチェックしながら川を上った。

 

だがトロ場でウキゴリがヒットした以外は全く魚っ気がない。唯一出会った別の魚は時間の経った死体で、皮肉にもカジカのものだった。どうやら上流にはいるらしかったが、ヤマメイワナの禁漁期なので行くことは憚られた。

 

そこで、南下して雄物川の支流へ移動した。ここの近くで今年の春に、田んぼの用水路の升の中にたくさんのカジカの死体を見つけていたので、きっと川の方にもいるはずだと踏んでいた。

 

だがまたしても探れど探れど何も出て来ない。堰の近くまで来て遡上が難しくなったので、この川でのカジカは諦めて移動しようと護岸に上がった。

 

そこでふと下流側を見ると、護岸の前に流れのほとんどない小さなトロ場ができていた。草むらの近くにはアブラハヤの未成魚らしき小魚も群で泳いでいた。

 

 

最後の望みでその石の隙間を上流側からチェックしてみる。するとアブラハヤの群の近くに来た時に、カジカが顔を出した!

 

だがキヂを咥えるのには失敗。もう一度入れてみると、今度はパクッと咥えこんだので、アワセてようやく日本初のカジカを手にすることができた。

 

初めて釣ったカジカ大卵型

 

胸ビレ条数は13本

 

初カジカ大卵型の俯瞰

 

初カジカ大卵型の腹面

 

初カジカ大卵型別影

 

かつてカジカと分類されていた種類は大卵型、中卵型、小卵型に再分類され、そのうち小卵型はウツセミカジカの種内変異群であることが明らかにされてきたので、いずれは大卵型と中卵型は別の種名を与えられるのだろう。日大の研究グループによると、大卵型は関西以東、中卵型は関西以西と道南、小卵型は北陸・中部地方の一部河川と琵琶湖流入河川に分布するという。

 

北米で多くの種類のカジカを釣ったが、カジカは釣りの腕やその他の条件に関係なく、そこにいさえすれば釣れるので、カジカ探しは労が報われるという意味で楽しい。日本百目達成後は別の種類のカジカも探すことにしよう。