かばん一杯に貯めたレシートをあさってようやく計算が終わった。2012 年夏のカナダ横断釣りすごろくの旅の内訳は以下の通り。

敢行日数:84 日間
ガソリン代:3026.00 カナダドル
車の修理代:176.20 カナダドル
モーテル宿泊日数と費用:18 晩で 1531.50 カナダドル
食料と飲料代:725.55 カナダドル
衣料代:86.31 カナダドル
釣り関係:693.43 カナダドル
衛生関係:73.95 カナダドル
仕事関係:75.87 カナダドル
郵便物局止め費用:70.00 カナダドル

総計:6458.81 カナダドル

この他、スマートフォンでのデータ使用量は基本料金分程度が毎月余計にかかったので、合わせて6600カナダドルほどを使ったことになる。1カナダドル 80 円とすると、52 万8千円となる。

84 日間のうち仕事以外で過ごした日数は二ヶ月ほどだったので、二ヶ月の釣り旅行に 53 万円弱というのは、カムチャツカに一週間釣り旅行で 40 万から 50 万円かかったり、アラスカのファンシーな釣りロッジに一週間滞在で 6000 ドルかかったり、アイスランドのアトランティックサーモンの釣りに 120 万円かかったりするのに比べれば、かなり安く上がったと言えるのではないだろうか。

ちなみにこの間の収入は、最後の方で釣りに集中するあまり依頼を断りすぎたので予定より少なく、アパート代などの支出を加えると全体で一週間分くらいの収入分の赤字となった。逆に言うと普通に仕事していればいつまでも旅を続けられたことになるが、郵便物のこともあったし、さすがに疲れて来たので帰還した。バイをしながら風の向くまま気の向くままの旅がらす生活を捨てて柴又に帰りたがる寅さんの気持ちが少しはわかった気がした。

食事は、朝食がホットドッグバンズ二個とバナナ一本にインスタントのスティックコーヒー、昼食はホットドッグかバナナドッグ二個、夕食は基本がカップ麺にソーセージ一本か二本でデザートに青リンゴ一個というものだったので、おかげでずいぶんダイエットできたが、釣りがうまく行った時やモーテルに泊まる時はフライドチキンミール (セブンイレブンのものが一番うまかった) などを夕飯に食べた他、ニューブランズウィック州にいた間はソービーズに野菜たっぷりなランチボックスが売られていたので買って夕食にしたりしたし、その他にも時々マックの朝食を取ったりしたが、チップを払うレストランは一度も利用しなかった。

モーテルに泊まった晩以外は全て車中泊で、チェロキースポーツの後部座席を前に倒し、後部スペースの対角線上にアルミパイプで自作したベンチ (元々はインフレータブルボート用) を置き、その上にこれも元はボートの底板として自作した折りたたみできる合板を置き、さらにこれもプチプチシートやボール紙などで自作した折り畳めるゴザ状のものを敷き、その上にヨガ用マットを敷布団代わりに敷いた。冬用の寝袋を掛け布団代わりにしたが、オンタリオ南部以外では特に朝方が冷え込んだので7月でさえ必要だった。寝心地は畳で寝るのに似ていて、腰が沈まないので腰痛とは無縁で過ごせた。足はまっすぐ伸ばしても大丈夫なだけのスペースがあったが、膝を立てると天井のロッド収納用のシートに当たってしまった。またこのように縦方向のスペースはギリギリなので、乗り込む時や運転席に戻る時はアクロバット的な体の柔らかさが要求された。肥満なアメリカ人には絶対無理だろう。

うまっこのブログ
寝台の上の韓国メーカー農心のカップ麺はもう一箱買ったので計 24 個あったが、食べ切った後はニューブランズウィック州のアジア系コンビニで買ったうどんのカップ麺でしのぎ、その後はオンタリオ州の中国系スーパーで各種カップ麺を買った。スーパーストアなどにもカップ麺はあったが、キムチ味ばかりだったので敬遠した。


車中泊と言えば、往路のアルバータ州で、貯水池への流入水路の脇に停めて後部ベッドで眠っていた時、警察官の懐中電灯で起こされたことがあった。これは別に違反スペースに停めていたからではなく、きっと通りすがりの人が、車の運転席に誰もいないので水路に落ちたかと思って通報してくれたのだろう。警察官も私を見つけ次第、「警察です、問題ありません」と言って何も尋問すること無く本部に無線で報告しながらすぐに去って行った。この他、ハイウエーの支道のトウモロコシ畑の横で車中泊しようとしていた時に、一台の車が通り過ぎる際にクラクションを鳴らした後、少し離れた所からこちらの様子を伺っているようだったので、泊まるなという意味か、車の故障かと心配しているのかのどっちかとは思ったが、とにかく直ちにそこを離れてハイウエーのプルアウト (路肩に余分に作られた停車スペース) に移動した。それ以降はウォールマートやハイウエーのレストエリア、プルアウトなどに泊まるようにしたので咎められることは一度もなかった。

モーテル泊の場合はエクスペディアで検索して一番安いのを選んで前の晩かその日のうちに (どこに泊まるかは釣果次第なのであまり早く予約することはできなかった) 予約を入れたが、ハイシーズンの7月になると場所によっては前の日でも予約できないことがあった。たいてい午後早いうちにチェックインして洗面台で洗濯をして翌日 11 時前にチェックアウトするまで洗濯物を干す時間を目一杯長くしたが、部屋によっては異常に湿度が高くてドライヤーでもなかなか乾かない所もあった。洗濯物を干すには輪ゴムを三つ編みにしたものが重宝した。ジーパンなどはコインランドリーで洗濯したが、割と大きなタウンでもコインランドリーが無いことが多く、モーテル内のものを利用した。

モーテルで利用したのはトラベロッジ、エコノロッジ、スーパー8、その他個人経営のものだったが、同じチェーンモーテルでも場所によって料金やサービスがまちまちだった。経営者に韓国人が多かったのが印象的だったが、特に家族経営の所は安い割に冷蔵庫が普通の家庭サイズだったりして驚いた。またチェーンモーテルでもダウンタウンのド真ん中にあるようなところだと駐車スペースがないので隣のブロックの教会に停めさせられたり、エレベーターが無いのに最上階の4階の部屋を割り当てられ、非常階段並みの狭い階段を肩に食い込む荷物一式を担いで上り下りしなければならなかったりしたので、予約するときは地図を確かめた方がいいと学習した。

ガソリンは住んでいるブリティッシュコロンビア州が一番高くて、産油州である隣のアルバータ州がさすがに一番安かった。そのせいか、州境手前のロッキー山中で燃費を気にしてスピードを抑えて走っている脇をアルバータナンバーのピックアップトラックがビュンビュン飛ばして追い抜いて行った。ブリティッシュコロンビア州以外ではオンタリオ州北西部のスタンドが一番高くリッター 1.49 ドルもしたが、輸送費や競争の無さを考えればしょうがないだろう。オンタリオ州のその他の地域は安く、特にトロント周辺は安かった。また意外にもニューブランズウィック州は安かった。

ガソリンと言えば、満タン給油を同じスタンドで1日2回という、生涯に一度のことをこの旅では経験した。それは8月初旬、復路でのことで、場所はアルバータ州だった。州南部のブルックスというタウンで早朝に給油後、レッドディアーリバー沿いに下流へ向かいながらサスカチェワン州との州境近くまで行く途中で数カ所釣りを行い、来た道を戻って夜にまた給油したというものだった。往復約350キロだったが、いかにチェロキーの燃費が悪いかがわかる。