3歳牝馬が、東京競馬場の芝2400メートルを舞台にスタミナを競う、第72回オークス・G1(22日)の枠順が19日に決定。桜花賞馬マルセリーナは、過去9勝とトップタイの好成績を残す「9番枠」からスタートする。手綱を執るのは、51歳の安藤勝己騎手。走るたびにパートナーの成長を感じている超ベテランは、2冠制覇へ自信を見せた。馬券は、21日に前日発売される。
 桜花賞で、50代ジョッキーとして初めてのクラシック制覇を成し遂げたマルセリーナの安藤勝己は、枠順に一喜一憂する陣営が多い中、余裕の表情で話した。「東京の2400メートルなら、どの枠でもいい」。一昨年は、同じ松田博資厩舎のブエナビスタで桜花賞、オークスを制覇。勝利のイメージはできている。

 「思った以上に強かった」。わずか3戦のキャリアで頂点を極めた桜花賞の内容が、自信の源になっている。それまでに見せなかった反応の速さと瞬発力で、4コーナー16番手からごぼう抜き。「だんだんと追っていって伸びるタイプだっただけに、ビックリした。鋭い脚も使えることが分かった」と振り返る。

 乗るたびに新たな面を発見できる。それが、マルセリーナの魅力だ。「デビューした頃は、体がボテッとしていたし、自分から動こうとしなかった。それが、シンザン記念、エルフィンSと経験を積んで、随分変わってきた」。オークスでは、どんな走りを見せるのか、安藤は楽しみでならない。

 桜花賞馬が成長を遂げる一方で、鞍上もコンディション作りに余念がない。サッカー界の英雄ディエゴ・マラドーナと同じ51歳。この年齢で現役を続けるアスリートは、あまりいない。最近は騎乗数を制限し、週に2、3回、滋賀・琵琶湖周辺を約5キロ走って体力の維持に努めている。「年を取ると、息が持たなくなってくる。でも、走るようになって、楽になった」

 初体験の2400メートルへの対応にも、自信を持っている。「もともと、2000メートル以上あった方が競馬がしやすいと思っていた。桜花賞が阪神の外回りになってから、そこで上位に入った馬は、オークスでもいい競馬ができている」。09年ブエナビスタ、10年アパパネと、連続で桜花賞馬がオークスを制した。経験豊かなベテラン・アスリートにとって、マルセリーナを2冠馬に導くことは、困難な使命ではない。

 ◆松田博師、初G1も9 〇…マルセリーナの9番枠は、71回の歴史の中で9勝。5番枠と並び、最多の数字を残している。松田博調教師にとっては、初めてのG1制覇となった88年オークスのコスモドリームも9番だった。「ゲートに後から入る偶数枠の方が良かったけど、真ん中ならいいんじゃないか」とコメントしたが、同調教師がオークスを勝った時は、93年ベガ(13番)、09年ブエナビスタ(7番)も奇数枠。逆に、吉兆と言えるかもしれない。

 ◆クラシック最年長優勝騎手 桜花賞で安藤勝が記録した、51歳0か月14日。オークスを勝てば、51歳1か月25日に更新される。GIレースでのレコードは、岡部幸雄・元騎手の53歳11か月28日(02年天皇賞・秋=シンボリクリスエス)。

 ◆安藤 勝己(あんどう・かつみ)1960年3月28日、愛知県生まれ。51歳。76年10月、地方の笠松競馬(岐阜)でデビュー。オグリキャップ、ライデンリーダーなど、数々の名馬の手綱を執り、通算3299勝を挙げた。02年、JRA騎手試験に合格し、翌03年3月に移籍。大舞台に強く、04年ダービーをキングカメハメハで制するなど、G122勝をマークしている。昨年1月、史上初めてのJRA、地方でそれぞれ1000勝という大記録を達成した。19日現在、JRA通算1072勝(重賞75勝)。



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雑記帳 ポニーが一日駅長…京阪電鉄天満橋駅
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一日駅長を務めたポニーのピノ君=大阪市中央区の京阪電鉄天満橋駅で
 京阪電鉄天満橋駅(大阪市中央区)に20日、日本中央競馬会所属のポニー、ピノ君(雄、3歳)が登場。一日駅長を務め、親子連れらの記念撮影に応じるなどした。

 沿線で京都競馬場の最寄り駅、淀駅(京都市伏見区)が28日から高架化するのを前に、PRのため起用された。高架化で競馬場と駅は直結。アクセスはよりスムーズになるという。

 ピノ君はこの日、紺色の制服に帽子をかぶって駅頭に立った。28、29の両日は、淀駅でも駅長業務をこなす。関係者は「利用者増加につながれば」と、小さなピノ君に大きな期待を寄せている。



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 今年2月、3歳春のクラシックを間近に控えて、福永祐一騎手にインタビューする機会があった(『福永祐一が語る“女傑”レーヴディソールの凄味』2月6日配信)。その際、原稿に収め切れなかった話の中に、印象に残るやり取りがあった。

 当時はまだ、春の牝馬クラシックの主役とされたレーヴディソールが健在。桜花賞とオークスの二冠を確実視され、オークスをスルーしてダービーに挑戦しても勝ち負けになると言われていた。福永騎手にはその辺りの手応えをうかがって、インタビュー終了間際に聞いたのが、「当面の目標となる桜花賞で、最大のライバルとなるのはどの馬か?」ということだ。

 すると、福永騎手は、少し考えてから、1頭の馬の名前をあげた。

 マルセリーナだった。
 
 その頃、マルセリーナは新馬戦を快勝したものの、シンザン記念で3着。その後、オープン特別のエルフィンSを勝って2勝目を挙げ、桜花賞出走権は得ていたものの、単なる1勝馬に過ぎなかった。

 それでも、福永騎手が最も手強いと見ていたのは、レーヴディソールとは未対戦の彼女だった。暮れのGI、阪神ジュベナイルフィリーズで戦ったメンバーなど、実績上位馬が他にいるにもかかわらず、だ。

 それからしばらくして、レーヴディソールは故障して戦線離脱。結局、レーヴディソールのいない桜花賞をマルセリーナが勝つのだから、やはりプロの目は確かだと感服せざるを得ない。

 実はレーヴディソールとマルセリーナは、ともに栗東の松田博資厩舎の管理馬。もちろん、その関係もあって「あの馬は走る」というマルセリーナの評判を、福永騎手は以前から聞かされていたこともあるだろう。だが、福永騎手がマルセリーナの評判どおりの強さを本当に実感したのは、おそらく2戦目のシンザン記念ではないか。

 このレース、1番人気は福永騎手が騎乗した牝馬のドナウブルー。しかし彼女は5着と敗れ、3着に食い込んだのが、6番人気のマルセリーナだった。

 牡馬相手とはいえ、GIIIで3着という数字は一見平凡な成績に写る。それでも勝ったのが、その後の毎日杯でも良血トーセンレーヴやコティリオン(NHKマイルカップ2着)に完勝したレッドデイヴィス。さらに2着が皐月賞馬になるオルフェーヴルである。

 この2頭相手に、勝ち馬から2馬身差ほどの3着。今思えば、このとき彼女は、後に桜花賞馬となる、その素質の片鱗を見せていたと言っていいだろう。

 父がディープインパクト、母はフランスのGI馬マルバイユという血統。まさにGIを勝つに相応しいスケールだ。まもなく開催されるオークス(東京・芝2400m)への期待も高まるばかり。


 距離適性よりも能力勝負になりがちなオークスは、近年、桜花賞の結果がそのまま反映されやすいという傾向がある。そう考えるならば、マルセリーナがオークスも勝って二冠馬となる可能性はかなり高い。

 そして、何よりも心強いのは、彼女がだんだん父ディープインパクトに似てきたということだ。栗東の専門紙トラックマンによれば、主戦・安藤勝己騎手も「一戦ごとに強くなっている」と高評価を与え、それを実感するのが、鋭さを増している最後の直線での切れ味だという。

 実際、桜花賞で直線を向いたときの位置取りは、最後方から2、3番手。並の馬なら、ほとんど絶望的な位置取りだ。そこから、前が開いたという幸運はあったにせよ、一気に弾けて前にいる馬たちをゴボウ抜きした。

 あの弾け方を「オヤジそっくり」と評価するのはやや気が早いが、ひと皮むければ、その域に達しそうな期待は抱かせてくれた。それが、オークスで実現したとしても不思議はない。

 レース後の勝利騎手インタビューで、安藤騎手の「オヤジみたいに跳んだね」という言葉が聞かれるかもしれない。