4/29 お家で巨人戦 | Takumaのブログ

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穿ってゆがんだ愛で綴るジャイアンツとサインあれこれ…

 

昨日より、「お家で巨人戦」と称して日本テレビ系でこれまで放送された巨人戦の名試合がYouTubeで完全放送されています。
ゴールデンウィーク最終日となる5月6日まで、毎日1試合ずつ。
 
これまでもG+では巨人戦の名場面が再放送されてきましたが、完全放送となればおそらく初の試みではないでしょうか。
試合後のヒーローインタビューの様子まで全て放送されるので、ファンは必見の内容です。
 
第1回目となる昨日は、1974年10月14日の巨人-中日戦(ダブルヘッダーの第2試合)。
長嶋茂雄選手の引退試合でした。
 
中日の先発はルーキーの金井正幸投手。
この試合がプロ初登板でした。(ウィキペディアではダブルヘッダーの第1試合で先発と書かれていますが、これは誤り)
 
この金井投手のような、普段はなかなかお目にかかることの出来ないOB選手のプレーがたっぷりと見られるのも、完全中継ならではの醍醐味ですね。
 
また、当日のテレビ中継枠に入っていなかった試合序盤は、実況も解説もありませんでした。
観客のざわめきやヤジ、名物ウグイス嬢だった務台鶴さんの場内アナウンスなども良く聴こえて、まるで当時にタイムスリップしたような感覚が味わえました。
 
この試合のジャイアンツの先発は高橋善正投手。
ダブルヘッダーの第一試合で当時のエース・堀内恒夫投手が登板したこともあって、第2試合の先発に選ばれた高橋投手でしたが、このシーズン先発登板は7試合で、僅かに2勝。
稀代のスーパースターである長嶋選手の正真正銘の引退試合の先発にはどうなのか?という声も当時あったようです。
余談ですが、引退後はずっと中野区に住まわれていた高橋投手ですが、最近郷里の高知県に帰られたようですね。
 
2回ウラ、第一打席に向かう長嶋選手。
後ろに映るベンチ上のスタンドには空席も目立ちます。
 
こちらはサードの守備につく長嶋選手。
その後ろのは超満員の観衆。
 
長嶋選手が引退を表明したのは、この試合の僅か2日前の10月12日(土曜日)。
当時、バックネット裏~ベンチ上あたりの席は基本的に全てシーズンシートだったので、何もなければ消化試合になるはずだったこの試合のチケットを、オーナーの企業が「この試合を観に行きたい誰か」に配ることもできずにこの試合を迎えてしまったのではないかと推察できます。
 
今だったら、2日前の引退発表でもきっとオークション等でいくらでも取引がなされることでしょう。
この時代ならではの光景だな、と感じました。
 
そして、スコアボードに並ぶ
 
3   王
5 長嶋
9 末次
 
の並び。当時を経験していない私にとっても身震いがするものがありますね。
 
試合は4回に一気に動きます。
1番の柴田選手が中日の2番手・藤沢公也投手から満塁ホームランを放つと、
 
続く2番・高田選手も一発を放ち、この回までに7-0と試合の趨勢を決します。
 
対戦相手の中日はこの日、ナゴヤで優勝パレードが組まれていたため、やむなく主力組はすべて抜けた控え選手のみで戦っていました。
そのため、V9の黄金メンバーを並べ立てたジャイアンツとの力の差は、映像で見ていても歴然といったところでした。
 
ちなみに、なぜ優勝パレードとこの試合が被ってしまったのかというと、この試合が雨天で1日順延されたため。
当時中日の主将だった高木守道選手はパレードの延期を球団に提案したものの、道路使用許可等の兼ね合いから延期は叶わなかったそうです。
 
また、この試合で解説を担当していたのは、長嶋選手のイチバンの好敵手であった元阪神・村山実さん。
その村山さんは中継中に何度か「遅れて途中からで良いですから、中日の主力選手にはこの試合に出て欲しいですよね」と語っているのも非常に印象的でした。
 
6回裏、この日の第4打席に立った長嶋選手。
勝っているため、現役最後になる可能性もあったこの打席。長嶋選手の顔もなんともいえず強張っているのが印象的です。
 
ショートフライで凡退した長嶋選手。
外野席の最上段にも座りきれないほどの観客が入っているのがよく分かりますね。
 
7回の映像には、さらに凄い光景が映っていました。
レフトスタンドの奥に建つビルの屋上に大量の人だかり。
なんとしても長嶋選手の最後を目に焼き付けたい、というファンの熱気が伝わってきます。
 
10-0と、勝敗が完全に決した7回裏に代打に出てきたのは、前年に南海から移籍してきた富田勝選手。
衰えの見え始めた長嶋選手の後釜の三塁にと川上監督が肝入りで獲得したのが、この富田選手でした。
 
中継の最中でも実況のアナウンサーや村山実さんがしきりに「来年からはこの富田がサードに入るわけですが…」と語っています。
そんな富田選手ですが、結局は翌年に入団したジョンソン選手に三塁の定位置を奪われ、オフにはトレードで日本ハムへと移籍。
 
ジャイアンツでは期待に応えられなかった富田選手でしたが、移籍先の日本ハムではレギュラーに定着して打率3割を記録するなど活躍されているんですから、野球というのは分からないものですね。
 
8回裏。ビルにのぼる人の数もさらに増えていきます。
 
こういった光景って、昔の中継で時折見かけることがありますよね。
1988年の「10.19」とか、1994年の「10.8」とか。
いまではありえない光景だけに、なんだかすごく憧れてしまう部分があるんです、個人的に。
 
そして、この試合が指揮官としてのラストゲームになる川上監督が1塁コーチャーズボックスで見守る中、長嶋選手が現役最後の打席に入ります。
 
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