母はおやつの時間になると決まってこういった。
「男の子は心も強くなくてはなりません」。
そして微笑みながらバウムクーヘンを日射しのかかったテーブルにそっと置く。
大人になってから知った。
バウムクーヘンとは、そのかたちが切り株に似ているだけではなく、生地を絡ませる心棒が樫の木で出来ているためだと。
僕の祖国では、樫の木は特別なもので、森の木のシンボルだった。そして「強さのシンボル」とも言われていたようだ。
母はきっと、バウムクーヘンに想いを馳せて語りかけていたんだろう。
「あのバウムクーヘン」には「男の子は心も強くなくてはなりません」の意味もあったんだろうな、って知った。
そして、強さのシンボルなんだね。
すごく粋なことしてたんだね…。
かっこいいぞ、隊長。
※誉めると絶対ボケるので、いまごろ
「いや、美味しかったからだけです」って言ってると思う( ̄▽ ̄;)