大佛次郎記念館から霧笛橋を渡って徒歩1分。(霧笛は大佛次郎の作品名から。)

 



武井武雄といえば、大正11年に創刊されたコドモノクニ!レトロで摩訶不思議な雰囲気のあるイラスト。

 



今回のメインは「親類」と呼ばれる300名の会員に制作実費のみで頒布された武井武雄刊本作品 全139点の展示!



様々な印刷技法を駆使して、独自の世界観で作られた小さな本は「本の宝石」と呼ばれている。

エッチング、版画、レーザーカット、凸版印刷、プラスチックのステンドグラス風印刷、陶芸を作り写真に撮ったり、ありとあらゆる試みが!

中にはパピルスの本まで。(「ナイルの葦」がそれ。)なんと‥パピルスを育て紙にするところから!材料が揃うまで3年4ヶ月かかったという‥。



会費滞納や古書として本を売り払ったら退会処分。300人に入れない会員待ちを我慢会員と名付けていたとか。

滞納が多くて面倒になり、頒布会を開催して手渡しに。(300人近い人々が一堂に会する会とは恐れ入った。)

本が増えたら保管用の箱が欲しいという「親戚」の声を受け、見たこともないような木の箱を作って頒布😵


戦時中、母と2人の子を相次いで亡くし、その悲しみを忘れる為に木の箱を彫り続けたそうだが、悲しみが癒えず、その後アトリエの一部を除き、家を壊して、一から建て直したという。木の箱も飾られていたが、細かな彫刻のなされた素晴らしい箱だった。一彫り一彫りに哀しみがこめられているようで、たまらない作品。


総数一万点以上の郷土玩具を集めた美術館を作りあげもした。北原白秋はこの館を「蛍の塔」と名付けた。それらはすべて戦時中に灰に帰す。夥しい数の様々な郷土玩具に埋め尽くされた館の写真だけが、そのよすがを伝えている。彼の人生には大きな喪失ばかりが目立つ。

けれど、そこから這い上がるように創作へ向けるエネルギーのすごさ。どうやってその喪失を埋めたのだろうか。面白い、やってみよう!こんなものを作ってみたい!ただただその好奇心と完成へ漕ぎつくまでの緻密な計算と忍耐力と創造の喜びだろうか。

 

岡谷にあるイルフ児童館にもいつか足を運んでみたいものだ。

 

会期:2023年6月3日(土)~7月23日(日)(残念ながら終了)

会場:神奈川近代文学館

 

神奈川近代文学館サイト↓

https://www.kanabun.or.jp/exhibition/17937/

 

 


併設のカフェには「梶井基次郎のレモンスカッシュ」が🍋



スパイスが効いていて爽やか!横浜らしい景色が一望できる席で、展示の資料を眺めつつ、ゆったりと夏の日の午後を過ごす。

 



 

 

 

 

追記:この展示で武井武雄に興味が湧き、岡谷のイルフ童画館へ行ってきた時のブログはこちら↓