アメリカ横断ウルトラクイズは1970年代に作られ17年間放送されました。
番組のクイズ問題の責任者だった私は、当時の古いクイズ問題を読み返して、現代と答えが変わっているものを時々発見し、クイズの答えは時代と共に変化するものもあると実感しています。
この様な作業の中で発見した話を本日はご紹介してみたいと思います。
第6回のルイビルで出題された問題の中に、次のようなクイズがありました。
問・映画「007ゴールドフィンガー」にも登場、アメリカ政府の金塊保管場所のあるケンタッキー州の街は何処?
ルイビルはケンタッキー州にあって、緑の牧場が果てしなく続く、競走馬の名産地です。
この場所のご当地問題として、上記のクイズが出題されました。
答・フォートノックス
解説
アメリカ陸軍の基地で、この敷地内にはFRBの金塊貯蔵施設があります。これは1936年に完成したもので、地下深くに建造された厳重な防空建築物なのですね。
第2次世界大戦中は、アメリカの大切な財産はほとんどこの金庫に保管されていたそうです。例えば独立宣言書、憲法の原稿、マグナ・カルタ、グーテンベルグ聖書、リンカーン大統領のゲティスバーグ演説草稿などです。
それだけ頑丈で安全な金庫という訳ですね。
世界最強のアメリカ陸軍の施設内に在って、防空建築物となればこれ以上安全な場所は考えられません。
そのため、世界中の国がこの施設の金庫に金を預けるという事になったのだそうです。勿論、わが日本国の財産である金のインゴットも預けてあると言われます。
ところが、近年この施設には数々の謎が囁かれるようになったのだそうです。
「007ゴールドフィンガー」に登場するくらいですから、物語の舞台としてはこれ以上恰好な場所はありません。
「007ゴールドフィンガー」の他、「ダイ・ハードⅢ」でも登場していますが、この場所には金の業界では有名な数々の噂が流れています。
例えば、中国がアメリカから返還された金が偽物にすり替えられていたと問題にした。ドイツが預けた金を確認しようとしたが、アメリカが拒否をしている、などがあげられます。
また、アメリカは世界から預かった金を売り飛ばして、実際には帳簿に記載されているほど保管されていないのでは? といった噂まであります。
勿論、真偽のほどは確認する術もなく、噂の域を出ませんが、フォートノックスには、現在この様な謎が数多く囁かれているのです。
世界中の金のインゴットが、この金庫に集中しているといわれる場所だけに、色々な空想や妄想が入り乱れて、噂の基になっているのでしょうが、我々が問題の裏付け調査をした時には、その様な噂は全くありませんでした。
正解に変化はありませんでしたが、時代の流れと共に事情が変わるというお話です。
一寸信じられないような噂をご紹介しました。