纏めるのが好きな日本文化 | 今だから話せるウルトラクイズ裏話

今だから話せるウルトラクイズ裏話

17年にわたって放送された「アメリカ横断ウルトラクイズ」。構成作家として最初から最後まで関わってきました。放送出来なかったエピソードや裏話を思い出すままに綴っていこうと思います。

メリカ横断ウルトラクイズのブログで、三大○○は要注意というお話を書いたところ、昔から日本の文化は同じような功績、人物、建物、場所などを纏めて銘々する事が多いのだというご意見を戴きました。
そう言えばウルトラクイズの問題でも、総称を一つの括りで問題を作っていた記憶がありました。
三筆四天皇と言ったように、優れた人達を何人か纏めて、その人達をクイズ問題にする、リレークイズの様な形式には恰好の問題ですね。

ちょっと調べたところ、第8回のバハマで正にそのものズバリの問題が出題されていました。

・白波五人男と六歌仙と七福神。女性が一人もいないのはどれ?

実に単純明快なクイズ問題です。
本来のクイズなら、それぞれ個々の名称を答えなければ得点になり難い題材でしょうね。
白波五人男って誰だっけ?

白波五人男


日本駄右衛門、忠信利平、南郷力丸、赤星重三、弁天小僧、この歌舞伎のお芝居でお馴染のメンバーです。

また、六歌仙は「古今和歌集」の序文に紀貫之が「近頃その名の聞こえたる人」、として挙げた六人の歌人の総称です。

六歌仙


個々の名を挙げるなら、在原業平、僧正遍昭、喜撰法師、大伴黒主、小野小町(女)、文屋康秀の六人です。

更に七福神は大黒天、恵比寿、毘沙門天、弁財天(女)、福禄寿、寿老人、布袋、と七人の福の神様です。

七福神


恐らく、リレークイズでこの名前を順番に問う問題を出したならば、全員の名が出てくるまでは、可成りの時間を要したと思います。
しかし、ここでの問題は全部を知らなくても、勘で正解を出す事が出来ました。

女性が一人もいないのはどれ?
という問題ですから、小野小町弁財天に気が付けば正解なのですね。
それ以上に「白波五人男」は、言葉通り受け取れば女性が一人も入っていないと解る訳です。
でも、若しかすると弁天小僧が本当は男装した女で、ひっかけ問題かな? と疑う人が居るかもしれません。
その様な疑心暗鬼な気持ちが、挑戦者には常に付き纏っていたと想像できるのです。
この時は、海底での早押しクイズでしたが、迷うことなく早押しボタンを押した人の得点になりました。
本来ならば、何問か出来そうな題材を一問の問題に使ってしまう、考えてみれば贅沢な問題でした。