アメリカ横断ウルトラ・クイズといえば、「自由の女神」と言えるくらい、自由の女神は番組の象徴的な存在でした。
初めて番組に登場したのは第2回で、その後3回と9回を除くすべての回で、第1問が「自由の女神」という問題でした。
それほどアメリカと自由の女神は切り離せない関係にあったのですね。
しかし、我々スタッフにとって、この自由の女神さまほど頭を悩ませたものは有りません。
何故なら、本やパンフレットなど印刷物で紹介された事のない事象から問題を作る、というカセがあったからです。
たった1つの銅像に関する知識で、その様な問題を考えるのは至難の技です。
何故、そんな厳しいカセを設けたかと言えば、正解を発表する前に証拠品を持った人が挑戦者の中にいたとします。
そのような情報はアッという間に東京ドームの中を駆け巡り、正解発表を待たずに勝敗が決まってしまいます。
そうなるとあの興奮も熱気もそがれてしまい、全く面白くない場面になってしまいます。
それを防ぐ手段として、正解が印刷物に無いものという決まりを設けたのです。
それからというもの毎年この条件は変わりませんでした。
この決まりで1番苦労を強いられたのは、クイズ問題を作る作家の皆さんでした。
記憶によれば、回を重ねる毎に苦しみは増し、第16回の時には選考を通過した問題だけで300問もありました。
その中で採用されたのが次の問題でした。
問・ニューヨークの自由の女神像がアメリカ合衆国の硬貨に描かれたのは、1,986年100周年記念の時が初めてである。○か×か?
正解・○
○に進んだ人、10,842名。
×に進んだ人、15,279名。
数の上では×の方が上回り、断然有利のように見えました。
しかし、判定は○で、がっかりした人達の罵声が東京ドームに渦巻きました。
後日談ですが、アメリカでは1,793年に初めて硬貨が発行された時から、自由の女神をモチーフにした硬貨は幾度も発行されていました。
しかし、これらは横顔、座った姿、立像など女神の伝説上の姿で、あのニューヨークの「自由の女神」では無かったのです。
「自由の女神」がアメリカの硬貨に初めて登場したのは、1,986年の100周年記念に発行された記念硬貨が最初だったのです。
