アメリカ横断ウルトラ・クイズのロケ隊は、全員が協力して作業を進めていました。
ロケ現場で、事前のセッティングは、それぞれの専門職が行いますが、ロケ終了後の片付けは手の空いた者が手伝うようになっていました。
例えば早押しセットは、一台毎に専用のジュラルミン・ケースに詰め込んでトラックに運びます。
ウルトラ・ハットも専用のケースに詰め込みます。
現場でステージが作られていた場合は、それを分解し、ケースに戻さなければなりません。
このような現場の撤収作業は、熱暑の砂漠状態であろうが、氷河のような寒い場所でも、全員が協力して素早く作業を行っていました。
このような作業の中で、技術を要する仕事がありました。
それは、ロケ現場に数多く張り巡られたケーブル(電線)の撤収です。
カメラのケーブル、音声を収録するケーブルなど、色別に分かれたケーブルが数多く現場に張り巡らされているのです。
これを一定の大きさに巻いて纏める作業ですが、これは誰でも簡単に出来る作業ではありません。
適当な大きさの輪に巻いて行くのですが、下手をすると折角巻いたケーブルが捻じれて次に使う時に不具合を起こしてしまいます。
私も最初の頃は、見様見真似で手伝っていましたが、技術スタッフから
「駄目駄目、余計な事はしないで!」
と、強く叱られてしまったのです。
それどころか、私が折角纏めたケーブルは、すべて解かれて、再び巻き戻されてしまったのです。
二度手間という訳ですね。
実はAD君でも、ケーブルがキチンと巻ける様になって初めて1人前と見られるほど、技術を要する作業なのでした。
私は、毎年ロケに参加していましたから、この位の事は手伝える様になろうと、コツを教わり、普通に作業が出来るようになりましたが、結構熟練を要する作業でした。
これが出来るようになると、技術スタッフがそれまで以上に近親間を持って、接してくれるようになったような気がします。
長い物には巻かれろ、という諺がありますが、
一方、長い物を巻くのにはコツがあるというお話しでした。