アメリカ横断ウルトラクイズで、我々はアメリカの中をアチコチと歩き回り、ロケをする場所を探しまわりました。
お蔭で、アメリカの成り立ちや、現状、問題点などを随分勉強させられました。
その中で、視聴者が興味を持ちそうな場所を訪れ、クイズ会場となる場所を決めていたのです。
中には、一般常識で考えても不思議な場所があったりします。
その代表的なのは第9回の時に訪れたラスベガスのミード湖です。
ラスベガスと言えば、砂漠の中に忽然と現れるギャンブルの街です。
そこから、南東の方角に約40キロほど走った場所にミード湖はありました。
砂漠と言えば雨が全く降らない乾燥地帯というのが、一般的な常識でしょう。
そんな場所に何で湖があるのか、これが第1の不思議。
次に湖の水は何所からやってくるのか、これが第2の不思議。
そこで、この謎を解きながらミード湖の成り立ちを説明しましょう。
ミード湖は世界最大の人造湖なのです。
長さが185km、周囲が885kmと言いますから、とてつもなく大きいことがお解かりかと思います。
しかも、湖畔一帯がキャンプ場や水上スポーツ、釣りなどが楽しめるレジャー施設になっているのですから、アメリカ人のやる事は桁外れにどデカイのが解ろうと言うもの。
では、ここの水は何所からやってくるのか?
そのような疑問が沸いてきます。
実は遥か離れたロッキー山脈の山奥を水源とするコロラド川が砂漠地帯を流れていたのですね。
そこで、これを堰き止めて、砂漠の中に大きなダムを作ろうという計画が出来上がったのです。
そうなると、この工事に携わる人材が必要になります。
アメリカ中から労働者が、この砂漠地帯に集まってきて、建設ラッシュになったわけです。
そこで完成したのが有名なフーバーダムなのです。
この時、砂漠の中の作業員を慰安しようという目的で、ラスベガスが出来たという話も聞きました。
こうして完成したフーバーダムで発電された電力は、カリフォルニア州、アリゾナ州をはじめ、電飾で飾られたラスベガスの電気も全てここの電気が使われているそうです。
時に完成したのは1936年と言いますから、ラスベガスの歴史もそんなに長いわけではなかったのですね。
さて、ミード湖の水ですが、遠く500kmも離れたロスをはじめ、南カリフォルニア一帯の水源として使われているのだそうです。
つまり、このダムが完成したお蔭で、ロスもサンディエゴも、現在のような発展が出来たのかもしれません。
このような現代アメリカの事情を調べながら、ウルトラクイズは番組を作っていました。
でも、当時はそのような本質は陰に隠れて 「ジャンケンに勝てばアメリカに行ける」みたいな馬鹿馬鹿しい部分だけが目立って、軽薄な印象もありましたが、本質は結構真面目な番組だったのですよ。
現在では、池上彰さんの易しく学べるお勉強番組がヒットしていますが、手法は違っても、本質は似ているように思いませんか?
こういうのを勝手な押し付けというのでしょうね。