アメリカ横断ウルトラクイズがスタートした頃には、まだ海外へ出て行く日本人が珍しい時代でした。
今のように若い人達が、気軽に海外旅行に出かけるなんて夢みたいな話しだったのです。
そんな時代にクイズに正解すれば、ニューヨークまで旅が出来るというのですから、クイズ・ファンにとっては夢中になるのは無理もありません。
クイズに参加する資格として、パスポートを所有する事という条件がありました。
そのために海外旅行の予定も無いのにパスポートを取得する人が増えたのも、ウルトラクイズが話題になったためと言われています。
さて、ウルトラクイズがスタートして5、6年目のことです。
ロサンゼルスでクイズが終った日、時間が出来たので街にお酒を飲みに出かけたのです。
日本人がよく集まると言われるクラブへ行くと、我々の席に日本人のホステスさんが何人か付きました。
ロサンゼルスでクイズが終った日、時間が出来たので街にお酒を飲みに出かけたのです。
日本人がよく集まると言われるクラブへ行くと、我々の席に日本人のホステスさんが何人か付きました。
世間話をしている内に、そのホステスさんの1人が言うのです。
「いま、ロスにウルトラクイズのロケ隊が来ているのを知ってる?」
我々は驚き、しかし惚けて聞きました。
「何でそんな事が解るの?」
「へえ。ロスに住んでいて日本の番組をよく知っているね?」
「そりゃあ知っているわよ。私がこんな所でホステスをやっているのは、あの番組のせいだもの」
「ええっ!」
「私にとっては恨みの番組!どんな奴が作っているんだろ?ぶん殴ってやりたいわよ」
「あの‥‥?」
我々はウルトラのスタッフだという事を言い出せず、顔を見合わせました。
すると彼女は笑いながら、身の上話を始めたのです。
すると彼女は笑いながら、身の上話を始めたのです。
「実は2年前にウルトラクイズに申し込んだの。ところが羽田でジャンケンに負けてさ、パスポートは持っているし、お金も持っていたのでそのままアメリカに来ちゃったの。でもその内お金が無くなって、そのまま居ついてしまったってわけ。ウルトラって罪でしょ。私も馬鹿だけど、アハハッ」
だって。
だって。
明るく笑っていた女の子でしたが、その後どうなったのでしょうね。