業務改革を推進する上では、経営層だけでなく、現場が危機感を持ち率先する事が肝要です。
会社の10年後の姿にコミットする経営者はともかく、現場の大半は当期・当期で動いていますから、やれロボットだIoTだSAASだといった所で、危機感も変わりたい気持ちも一切醸成されないのが実情ではないでしょうか。そんな風潮もあってか、近年ではエバンジェリストといいますか、経営者と現場の有望な若手がコミュニケーションを取る場を持ち、若手に経営者の真髄を叩き込み、現場の改革の旗振り役にする動きもみられます。
ただ破産間近の企業ならともかく、割と優良な企業において、こうしたエバンジェリスト制は本当に有効なのでしょうか。どうも私としては、現場にそっぽを向かれてしまう気もします。彼らがどんなにホラーストーリーを声高に叫んだところで、何か薄っぺらく信用できない。社長やコンサルに騙されてるんじゃないの?とすら思うかもしれません。
私としては、従来の危機感をエンジンとした業務改革はもはや古いと思うんです。これから業務改革が必要なのは、破産寸前の企業ではない。割と安泰なんだけれども、何かの拍子でデジタル化の波に一気に呑み込まれてしまう可能性のある企業が、先手を打ってちょっとずつ業務をデジタル化していく、危機感に煽動されない「より前向きな業務改革」だと思っています。
そしてその為に必要なのは、危機感ではなく「嬉しさ」、所謂カスタマー・エクスペリエンスだと思います。可能な限り苦痛な思いをする事もなく、嬉しさの積み上げで行っていく業務改革。これは所謂IoTやRPAといったデジタル技術においては実現可能だと考えています。こうした技術は、従来のSIと比べて自動化が圧倒的に安価である事に価値があるからです。そして、従業員の「嬉しさ」というものをできる限り人間の認知学・心理学等に基づきデザインしていき、喜びの絶頂の中で自然と業務改革が進んでいく。それが来たるべき業務改革なのではと思います。
近年やたらとカスタマーエクスペリエンスという言葉が流行しており、コンサルタントの中でもデザインシンキングなんかがもてはやされています。この兆行は、マーケティングにせよ戦略策定にせよ業務改革にせよ、個人の存在というものが以前より非常に大きなファクターを占めてきた事に起因すると思われます。
