ダイエットとは、すなわち我慢である――私を筆頭に誰もがそう思っているはず。

 ところが『一生太らない魔法の食欲鎮静術』の著者、プロボディデザイナーでありパーソナルインストラクター兼ヨガインストラクターの松尾伊津香さんは断言します。「本当の味わい方を一度知ったらむしろ太れない」と。

味わい

本当に味わって食べれば「太れない」



 食べ物はまず舌を通りますが、味覚に特化した神経は舌先3分の2だそう。松尾さんが言う味覚を研ぎ澄ますための3ステップは……。

1)食べ物を奥歯で噛む
2)すぐ舌先の方へ持っていく
3)舌で味を感じながら食べ続ける


 松尾さんの若かりし頃は食パンにバターを塗りまくり一斤一気に平らげたり(バターを山盛りにしたパンをトースターに入れ、溶けたバターが引火してボヤを起こした)、ご飯を3合平らげたり、無茶食いをしては無茶なダイエットをするというループにはまっていました。だからわかるのです、味覚を無視すると胃袋まで麻痺するということが。

舌先 

舌先を意識しただけで痩せるの?などと不審がらずに「エレガントな食べ方だわ」と考え方を変えてやってみると楽しいかも。

ゆっくり食事瞑想で、食欲の暴走を抑えられる



 一度でもダイエットに挑戦した方は痛感していると思いますが、食と心は繋がっています。

 遠い昔、高校受験の際に松尾さんは毎晩ミルキーを一袋平らげていました。勉強のストレスや焦りが異常に飴を舐める行為に化けたのでしょう。

 ニセの食欲に気づいていない方にこそ有効なのが、松尾さんが勧める食事瞑想です。

<食事瞑想のプロセス>
1)舌先に食べ物をあてる
2)胃の重さと温度を感じ取る


 これだけです。これだけかよ? とまた不審がる方がいるかもね。

 ゆっくり食べて胃の反応に敏感になると、「もっと食べたい!」という欲望の暴走を抑えられるというのです。いま流行りの「マインドフルネス」を、食事中にやるようなものですね。

 太り気味の方は早食い傾向があるので、いちいち感じて食べていれば自然と食べるスピードが遅くなり、血糖値も急上昇せず、それだけでも得策です。

 

健康に捉われすぎた食べ方は、もはやビョーキ



 また同書では、「健康にとらわれすぎると不健康になる」として、「オルトレキシア」という言葉を紹介しています。

「オルトレキシア」はまだ日本では広まっていない言葉ですが、日本語に訳すと「不健康食拒食症」となるそうです。健康的な食事を知れば知るほど食事ができなくなってしまう症状です。

 

 今の日本で食品添加物が100%入ってない食事をするのは無理に等しいし、糖質オフだのグルテンフリーだのと健康にこだわり過ぎるのはもはや病気。体重や脂肪とともに友人をなくすことは必須です。

 誰にでも経験があると思いますが、無性に××が食べたい!という欲求が湧き上がってくることがありますよね。

 松尾さんの場合、頭脳労働をした後は無性にお米が食べたくなります。おそらく想像以上の糖質を脳味噌が消費した結果の、真の食欲でしょう。そんな時、「でも糖質制限してるからお米は食べない」と無理にブレーキをかけてしまったら、虐げられた食欲の暴走が始まってしまうのです。


 松尾さんは言います。

食べていい、の基準を知識以外で与え、そのために舌を使ってほしいと。

 本書は、短期間で痩せたい、とか、とにかくあと3キロ減らしたい、といった即効性や短期決戦ダイエットを求める方には不向きです。ダイエットというより生き方指南的な趣きなので、リバウンドに苦しんでいる人や長期的に体型を戻したい方は一読してみてはいかがでしょうか。

 

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