残念ながら最も軽視されてしまいがちですが、自動車を語るとき最も重要なのはタイヤとホイルです。
ここがしっかりしていない車は何をやっても意味がありません。 基本中の基本です。
こちらはあるお客様のお車のタイヤ・ホイルです。
Carlssonの18インチに、YokohamaのAdvan Sportsという組み合わせです。
何度も指摘していますが、R129に限らずタイヤを選択するとき、その「耐荷重」は非常に重要です。
このタイヤはその点十分な合格点を与えられる製品です。
しかし購入してすぐにハンドルに微振動が伝わり、どうも気持ちが悪い、車がフワツクと入庫されました。
このような場合、おおくは「ホイルバランスが取れていない」と疑われます。
しかしその前に他に原因はないのでしょうか?本当にタイヤ・ホイルのバランスなのでしょうか?
違います。 このような場合、まず最初に空気圧設定を疑いましょう。
このお車は2.6kgほど入れなければいけないのに、2.0kgを下回っていました。購入してすぐ、しかも
空気に比べて抜けにくい窒素ガスが封入されていたので、おそらく一番初めから設定が低すぎたのでしょう。
余談ですが、タイヤに使われているゴムの分子は空気(および窒素)を通します。 よくお祭りで買ってきた風船が翌日しぼんできているのを見ることがあると思います。 程度の差はあれ、これと同じです。
分子構造上完全に密閉し、「空気を抜けなく」するのは不可能です。 現在あるのは、「空気が抜けにくい」タイヤなのです。 そのために「月に一度の空気圧点検」が重要なのです。
さて、話は戻ってしこちらのお車です。多少改善されたとはいえ、まだまだ「メルセデス」らしくありません。
そのほかにチェックするところを進めます。
大きく3つのチェックを行います。
1)タイヤ・ホイルの車体への取り付けの問題。 (ハブゼンターにきちんと取り付けられているか そのボルトは?)
2)タイヤ・ホイルの組み付けの問題。 (ホイル、タイヤの「癖」を読み取り、適切に組み付けしているか? 漫然と組んだだけではないのか??)
3)タイヤ・ホイルの品質の問題。 (そもそもちゃんと造られている製品なのか?)
の3つがほとんどです。
ひとつひとつ見てゆきましょう。
1)タイヤ・ホイルの車体への取り付けの問題。
まずどのように取り付けられているか見てみました。
こちらはノーマルのハブです。 すべての基準となる純正ホイルは中心部に「ハブセンター」と同径の穴が開いており、しっかり中心が出ます。そのため余計な振動が出ることは皆無です。(タイヤに異常のない場合)
このお車のCarlssonのホイルには、Carlsson製ではない社外のスペーサーが取り付けられていました。
まずこれが大きな間違いです。 なぜか??
まず中心のハブにしっかり乗りません。クリヤランスが大きすぎ、乗せただけでガタついています!
またスペーサーについているハブの役目をする部分は超肉薄で、しかもゆがんでいました。
ホイルに合わせるとここもガタがあります。
CarlssonのホイルはLorinzerとおなじRonal社製。 このメーカーの特徴はハブセンター部分を大きく造り、そこにハブリングやオフセット調整アタッチメントをつけて各車種、各オフセットに対応しつつ「出来るだけ」中心をちゃんと出す努力を図っていることです。 (ちなみにAMGは「絶対に!」この方式は採用しません。)
の社外品では中心が出るわけがありません。 UBTが市販スペーサーを毛嫌いする理由がここにあります。
純正ホイルよりかっこいい!=でも振動がでちゃう これではメルセデスに乗る意味がありません。
またこのホイルはそもそもR129用ではなく、M14指定のホイル(すなわちR230やW140など用)です。
ホイルボルトもM14とM12ではこんなに違います。(左M14 右R129用M12)
M14用の穴にM12を通してみると
こんなにボルト穴が大きいのです。
またホイル球面とボルト球面が密着して初めて安全が確保されますが、M14とM12では完全に密着しません。
直径12センチのボールを直径14センチの料理用ボール(ステンレス桶 中心に8センチほどの穴があると仮定)に入れたことを想像してください。 面ではなく「線」、もしくは「点」でしか密着しないばかりか、直径12センチのボールの中心と、直径14センチのボール(桶)の共通の中心を出すことはできません。
こちらの簡単なイラストをごらんください。 ちゃんと付いているように見えるホイル・・・でも実際にはこんな状態で取り付けられているのです。 これではいつ緩んでもおかしくありません。
締めこんでいくことで中心が自然と出る設計のものに、そうでないものを使うのです。
しかもホイルの中心を担うハブにホイルが乗らない・・・・
自動車は回転部品の集合体ですが、その部品の中で最も大きな回転部品である「タイヤとホイル」が、設計された中心に乗らずに「勝手な軌道で」ぶんぶん回るのです。
これでは振動が出ないほうかおかしいです。それに緩みやすく大変危険です。
取り付け部分を見ただけで、これだけの問題が見つかりました。
次はタイヤ、ホイル自体の真円度をチェックします。