UBTでは絶対にインパクトレンチでホイルボルトを締め付けることはしません。
これは基本中の基本で、メルセデスの整備要領にも明記されています。
量販店などではヴィンヴィンインパクトで締めているところを見かけますが、恐ろしい間違いです。
確かにインパクトレンチは便利ですが、問題は「締めすぎ」です。 既定のトルク以上に締りすぎてホイルを痛めます。
先日、メルセデスをお乗りのあるオーナー様がメンテナンスにいらっしゃいました。
その時にもう一台お持ちの国産最新超高性能スポーツカーについて質問が出ました。
「どうもホイル・ハブから音がするし、振動もある。 メーカーでない人間が脱着すると保障が効かなくなるけど、どうもXXパフォーマンスセンターの言うことが納得できない。 ブレーキパッドが鳴ってるというんだ。 UBTで自分のメルセデス(R129)と同様にしっかり見てほしい」ということで入庫しました。 医療でいえば「セカンドオピニオン」です。
そこでまずロードインプレッション。
どうもホイルの締め付け部あたりから「かちかち」音がします。ステアリングにも振動が伝わっています。
繰り返しますがこれは昨年新車で買った、国産の超高性能車です。
細かく見てゆくと、ホイルボルトの締め付け部分に「バリ」が出ていました。
素手で触ると手を切りそうなほどのバリでした。
これはアルミ鍛造の20インチ、レイズ製の非常に高品質なものです。
規定トルクで締めればこんな風になるはずがありません。明らかに「硬さ」で勝っているホイルボルトがホイルを削っています。
調べてわかったことですが、XXパフォーマンスセンター なんてたいそうな名前を付けているこの車の専用ファクトリーでは、インパクトレンチでホイルをガンガン締めているのです! しかもハブ位置で「上」に位置するボルトから!!(ありえません) しかもパンク修理でさえここに持ち込まなければ保障外になるのですが、実際の作業はすべて下請けのタイヤヤサンです。 これで「XXパフォーマンス」な仕事内容でしょうか?? 誠に疑問です。
この取り付け方法では正確なハブの中心にホイルが乗ることはありません。
ハブにホイルを乗せたとき、その整備は地球上なので重力は下に働きます。 微小でも「誤差」があるハブとホイル、ホイルは「下」に位置したところでインパクトレンチによって位置決めされてしまうのです。 そこから始まった誤差は5本のボルトを締め終わる時もずれています。締められたところから「ずれ」が生じ、その誤差は硬いホイルボルトがホイルを傷付けながら維持されてしまいます。 車両の中心と取り付けたホイルの中心が合いません。 中心どころか、垂直も出ていないものを見受けます。
そして制動時に「カチカチ」音がする…
そうです、何百馬力あっても、どんなに高性能なブレーキをつけても、それと止まっているホイルが設計通りに止められていないのです! これでは性能が阻害されるどころか、大変危険です。 これがXXパフォーマンスセンター(だけでなく、インパクトレンチを使っている大手量販店も) の仕事内容です。
「ボルトが止まればそれでいい」 UBTはそんなレベルで仕事はしません。
実際に作業する個人の目線で考えてみましょう。
自分だったら買えないかもしれない(買えたとしても) 高級車が目の前にある。
多少なりとも「憧れ」を感じることはないのでしょうか?
その車を整備するときに車に対する愛情、尊敬など感じないのでしょうか。
私はメルセデスが好きで、車たちが好きでこの仕事を選びました。
ですから入庫する車すべてに愛情とメルセデスに対する尊敬を持っていますし、持てる愛情すべてを注ぎます。
愛情さえあれば、基本を分かっていれば、決してホイルボルトにインパクトレンチなど使わないと思います。
他人を責めることは簡単ですが、一流メーカーのお膝元でこの状況・・・・ 私は大変ショックでした。
「基本」はどこに行ってしまったのでしょう?
最近の米国でのトヨタ車の暴走事故しかり、コストダウンは製品そのものだけでなく整備の質まで落とすのでしょうか?
あまりに驚いたので書いてみました。
UBTでは皆さまの1台1台をわが子のように愛し、そしてしっかり仕上げます。
細かなところから大きなものまで、安心してお任せください。
甘い考えかもしれませんが、「愛」はすべての基本です。