Vienna Synchron Playerでサンプルスタートオフセットを変更する方法 | ultimate-negiのブログ

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Pro Tools関係の情報を中心に、その他思ったことなどをメモ代わりに書いています。

VSLというメーカーが使用しているVienna Synchron Playerというプラグインがあります。VSL専用のサンプルプレーヤーで、このプラグインを使って、このメーカーが出している様々なライブラリを使用することができます。

 

このVienna Synchron Player(以下VSP)はかなり細かくコントロールを設定できるのですが、そのなかのひとつに「サンプルスタートオフセットの変更」というのがあります。言葉の通り、収録されている波形サンプルの開始位置を指定するというものです。

 

例えば、「あいうえお」というセリフが収録されていた場合、普通に頭から再生すると「あいうえお」ですが、開始位置を変更することで「あ」を飛ばして「いうえお」と再生させることができる、というものです。

 

いわゆるサンプラー専用機であれば、これをMIDIコントローラーなどを利用してリアルタイムに開始位置を変更しながら「あいうえ、うえお、お」みたいなセリフを喋らせることができたりします。しかし残念ながらVSPには開始位置をリアルタイムに変更する機能はありません。そこで力技でそれっぽいことを設定する方法を備忘録として書いておきます。

 

用語としては色んな言い方があると思いますが、VSPの場合は"Wave Start Offset"と記載してありますので、ここでも以下そのように記述します。

 

1. まずはパッチを作成

新規作成でも既存のものを編集でも良いのですが、パッチを作成します。画像のように青色の"Articulation"スロットの右端をクリックすると、緑色の子スロットが作成されます。子スロットを作るのは管理がしやすいという理由だけなので、他の方法を使っても構いません。子スロットでは都合が悪いという人は、さらに孫スロットを作成することもできますので、自分が管理しやすい方法を模索してみてください。

 

 

2. 子スロットの数を増やす

緑色の子スロットの下のグレーの"+"部分をクリックすると、子スロットを増やせます。必要な数だけ増やします。

 

 

3. Wave Start Offsetを変更する

各スロットに同じパッチをロードします。今回は開始位置をずらしたバージョンを全部で4つ作成したいので、4つのスロットを用意して、そこに同じパッチをロードします。

 

1スロット目はデフォルトの頭から普通に再生するパッチ。

2スロット目は開始位置を50ms(*1)後ろにずらした設定をします。

 

開始位置をずらしたことで再生時に「プチッ」とノイズが出る場合は"Start Offset Attack"を増やしてください。

 

 

*1 マニュアルには最大で1000msまで設定できるとありますが、僕の環境だと1000msにすると100%クラッシュします。500msくらいまでなら大丈夫でしたので、お使いの環境に応じて設定してください。

 

 

4. 他のスロットも同様に設定する

他のスロットも同様に設定します。ここでは3スロット目は"100ms"、4スロット目は"150ms"と50msごとに設定しています。またパッチの名前が同じで紛らわしい場合は、スロットの名前をダブルクリックすると名前を変更できます。
 

 

5. 設定完了

以上で設定が終わりました。打ち込む時は以下のキースイッチでパッチを変更します。
 
C1 + C2    :デフォルトのパッチ
C1 + C#2  :再生開始位置を50ms後ろにずらしたパッチ
C1 + D2    :再生開始位置を100ms後ろにずらしたパッチ
C1 + D#2  :再生開始位置を150ms後ろにずらしたパッチ
 
もちろんこのキースイッチも自由に変更可能です。
 
 
このやり方の欠点は、当然ながら読み込むパッチの数だけ余計にメモリを消費することです。ただ幸いなことにVSPはそもそもメモリ消費量が少ないので、10や20追加したところでそんなに大きな問題にはならないと思います。